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生徒会の可能性とこれからを考える:NCRCイベント


5月19日、早稲田大学戸山キャンパス(東京・新宿)で、子どもの権利条約ネットワーク(NCRC)主催「生徒会の可能性とこれから」と題したイベントが開催され、パネルディスカッションが行われた。このイベントでは、生徒会を「社会参加の拠点」の一つとして定め、全国的に広がる生徒会団体の現状と課題について、議論するというもの。

早稲田大学の喜多明人教授からは実施に際して様々な思いが語られた。
主権者教育を追い風として、生徒会の“可能性”を引き出したい。高校生が行っている活動を社会に広げていけるような意義を持ち、子どもの権利条約との関連性の中で子どもの社会参加の必要性が言われているが、学校運営参加に加えて、生徒会が抱えている問題について率直に話し合いたい。そして活動に対する支援する大人の立場・必要性・あり方を議論したいという思いを込めている。また、高校生の活動に大人が関わることによって、高校生が「利用されている」「胡散臭い」と思われていて、支援の在り方も問われていると考えている。これらの取り組みは、80年代の管理型教育が進行し生徒の活動が停滞する状況で、生徒参加を支援していこうという流れが起きた。生徒会は学校の中の活動かもしれないが、社会参加へのつながりであると考えている。

説明する栗本さん(右)と青木さん(左)

その後、全国高校生徒会大会と日本生徒会に関する概要説明を栗本拓幸さん(浅野・高3)から、首都圏高等学校生徒会連盟の現状について青木憲伸さん(明治大学付属中野・高3)から説明があった。

今後の全国高校生徒会大会について、栗本さんは、関東関西以外にも九州や東海など多くの連盟組織があるが、今後はどのように全国大会を運営していくのかを考える必要がある。また、全国規模の生徒会イベントは2013年当時皆無だったが、続々と開催されている。単なるイベントとして埋没しないために全国大会の個性は何なのかを考える必要がある、と語った。青木さんは、独立性を持った地域団体のシンクロは、地方を変える力になる可能性を秘めている。地方によって抱える問題は多種多様なものがあり、同様の問題を解決したという事例も多くあるのは事実だが、生徒会団体は様々なスケールで集まるタイミングはあるが、深いところまで落とし込んで議論できるわけではない。全国で解決策を集約して日本生徒会を開催することで新たな生徒会活動が見えてくるのではないかと語った。

引き続き、猪股大輝さん(早稲田大学)から、高校紛争時代からの生徒会外務活動の布石について説明したのち、最近の外務団体の変化について、現状と課題の報告があった。

2002年に中学校生徒会懇談会からの分離によって、新たな生徒会外務団体が点在されるようになるり、さらには2011年から翌12年にかけて、携帯電話によるメールサービス、その後SNSが爆発的な普及を迎える。ただ、高校生の独立傾向が強いこともあり、首都圏だけでも多くの団体が乱立発生していた。それらの状況の中で、合同で集まって会が出来ないかということから2012年に首都圏の「生徒会大会」が開催される運びとなる。首都圏の大会参加者や関西の団体も巻き込んで発展形として2013年に全国高校生徒会大会が初めて開催されることになった。これらの活動が安定しなかった理由と課題は、高校生・役員の流動性や独立思考が強いことや、大人による支援が思ったほど厚くない現状などが挙げられた。

大学生以上の大人側からの支援について、生徒会活動支援協会の荒井翔平より「ネットワーク構築型生徒会団体の現状と展望」と題して、生徒シンポジウム並びに生徒会活動支援協会の設立経緯、限界と展望について共有があった。生徒シンポジウムは、2008年当時の生徒会広報誌ネットワーク・多摩生徒会協議会などのメンバーが中心とり、都心部で開催されていた討論イベントを多摩地域でも開催しようと企画したことが始まりであった。生徒会支援の限界が来ていることは、生徒会のマンネリ化が永遠の課題になっていることや支援団体自体の知名度、認知度が上がっていかないことだと考えている。さらに今後の展望として、生徒会役員自体が社会に貢献できる人材(後輩)を育成しているという視野も持ってほしいと説明した。

生徒会全体の今後と行政・生徒会支援との協働事例として、生徒会活動支援協会の高橋亮平より、教育と社会参画をパッケージに集約したものが生徒会であると考えており、今後も社会参画の重要性を伝えていきたいと考えている。また、千葉市における生徒会アドバイザーとしての取り組みを説明した。

【文・写真】荒井 翔平/一般社団法人生徒会活動支援協会理事長

投稿者プロフィール

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荒井 翔平
1991年東京都生まれ。東京都市大学環境情報学部環境情報学科卒業。一般社団法人生徒会活動支援協会代表理事、一般財団法人国際交流機構理事、私立大学環境保全協議会運営委員などを務める。2009年に生徒会活動支援協会を立ち上げ、生徒会活動に関わる様々な支援に取り組む。2010年に幅広い分野で社会的活動を行う、一般社団法人日本学生会議所を設立。