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全国高校生徒会大会を振り返って


筆者は全国高校生徒会大会実行委員長としての活動を行ってきた.子どもの権利条約ネットワー5月イベントに登壇させていただいたご縁もあり,今回この様に寄稿させて頂けるという機会を得た.そこで本稿では「全国高校生徒会大会とは一体何なのか」ということを簡単に説明していきたいと考えている.

全国高校生徒会大会の沿革と第5回大会について

全国高校生徒会大会は“日本各地の高校生有志が集い,数日間に渡る議論や発表を通して,各学校の生徒会を活性化させる事を目的とした合宿形式のイベント”である.開催は例年1回で3月末~4月初めが会期となっている.2013年春に第1回大会が開催され,第1回大会参加者有志によって2014年春に第2回大会が開催された.この形式(明確な引継ぎを行わず,あくまでも有志によって開催する形式)は最新の第5回大会まで引き継がれている.

筆者が実行委員長を務めた第5回大会は2017年3月27日から29日まで開催された.主会場を衆議院第二議員会館多目的会議室とし,全国から114名の高校生有志が集い,議論と発表を行った.大会は第1に自校の事例を深めるステップ,第2に自校事例を基に「生徒会の理想像」を考えるステップ,第3に各専門分野から「理想の生徒会像」を目指すステップ,第4に一連の議論を集約する事を目的にした発表のステップ,以上の4ステップで構成した.

第5回全国高校生徒会大会集合写真

第3のステップの専門議題には以下のものを設定した.災害と生徒会/地域交流のこれから/“外務活動の意味”/生徒会団体(連盟)の運営/“生徒会長の野望”/生徒会の組織論.

“災害と生徒会”では東京都が発行した防災対策をまとめた冊子『東京防災』を基に,参加者が所属する生徒会においてどのような減災対策が取れるかを議論した.東京防災は東京都が発行した災害対策用の冊子であるが,内容が非常に利用しやすいため,議論に利用をした.“地域交流のこれから”では各校生徒会が行っている地域貢献活動を参考にしながら,これからの生徒会活動が行っていく地域貢献活動のあり方を議論した.“外務活動の意味”では参加者各々が外務活動を通じて得たものを共有しながら,外務活動の意義に関して論じた.“生徒会団体の運営”では議題参加者を生徒会連盟・団体の運営に限定した議論を行った.生徒会連盟・団体を運営する中での悩みやノウハウを共有し,解決策を探った.“生徒会長の野望”では,将来の生徒会長希望者と現役生徒会長を参加者として議論を行った.生徒会長希望者が思い描く『生徒会長像』と現役生徒会長から見る現実を照らし合わせながら,理想の生徒会長になるためには何をするべきかを議論した.キーワードとしてあげられたのは『悲劇のヒロインにならない』ということであり,最も盛り上がったテーマだったと感じている.“生徒会の組織論”では組織としての生徒会の運営方法から,学校内での生徒会の立ち位置までを包括的に議論し,生徒会を動かすための知恵を出し合った.

全国高校生徒会大会の運営

全国高校生徒会大会実行委員会の組織図

全国高校生徒会大会は高校生有志のみによって構成される実行委員会が運営している.第5回大会の際は24名の高校生が実行委員会に参加をし,6つのセクション(“部”と呼ばれている:総務・広報・企画・経理・人事・事業)に配属をされ,各自が自主的に活動を行っていた.この実行委員会の特徴としては完全に高校生の自主性によって運営されていることにある.実行委員長や各部部長を選出する過程も然り,運営のための協賛金集めの過程も然り,運営をしようとする高校生の意識によって成り立っている事にあると言えるだろう.

全国高校生徒会大会が抱える課題

全国高校生徒会大会が抱える課題としては主に3つのものが挙げられる.第一に参加校の”格差”,第二に高額な”参加費”,第三に大会そのものの”イベント化”である.

第一に挙げた参加校の格差とは,現状参加校がいわゆる「進学校」が大半を占めている事を意味する.日本国内には5,000を超える高等学校が存在するが,全国高校生徒会大会への参加経験がある学校は約200.全体の5%にも満たない.確かに,筆者自身の経験上もいわゆる「進学校」の方が生徒会活動であるという印象は否めない.しかしながら,全国高校生徒会大会が行っていくべき活動は『全国の高校で行われている生徒会活動の底上げ』であり,決してごく一部の高等学校のみを対象としたものではないだろう.この観点から,参加校数が多くない現状には少なからず危機感を覚えている.

そして現状,全国高校生徒会大会参加者はその交通費,宿泊費等『実費負担』をして全国から参加をしている.この負担は決して(高校生やその家族にとって)小さくないものであり,何とか改善することが出来ないかと考えている.

最後に,大会のイベント化について簡単に説明をしたい.全国高校生徒会大会はあくまでも「参加者が所属する各校に何かしら還元をする」事が目的であり,大会開催が目的ではない.ただ,この”大きな目的”は当事者からは非常に忘れやすいものであり,大会のイベント化という問題が浮上しつつある,と言うことができる.

以上が全国高校生徒会大会の概要である.説明が不十分な箇所もあるので,詳しくは公式ホームページを参考にして頂ければ,と思う.末筆ながら,NCRC5月イベントに登壇する機会を頂いた喜多さんを始めとするNCRCの方々に心から感謝申し上げます.

【文】栗本 拓幸(全国高校生徒会大会2017実行委員長/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員)


本稿は「子どもの権利条約ネットワークニュースレター」128号に掲載された原稿を一部修正したものです.

栗本 拓幸
1999年東京都生まれ 。生徒会活動支援協会理事として生徒会発展を目指し活動中。ほか、特定非営利活動法人Rights理事等を務める。中高一貫校で4年間に渡って生徒会活動に携わる。同時に校外で全国高校生徒会大会実行委員長、神奈川県高校生徒会会議代表などを務めた。日本生徒会機構を立ち上げ文部科学省や校長会等にロビーイングを行う。