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ラーコモラボ通信第77号に理事長 荒井のレポートが掲載


第2回全国学生協働サミット

11月7日、パシフィコ横浜で「第19回図書館総合展」が開催されておりました。今回、生徒会活動の一つ、特に委員会活動として取り組んでいる各学校の模様を情報収集するすべく、生徒会活動支援協会理事長 荒井と理事 栗本が現地を見学しておりました。そのような中、図書館総合展の一プログラムとして開催された「第2回全国学生協働サミット」に参加し、当日の模様をレポートした内容が、主に大学図書館関係者向けに配信される「ラーコモラボ通信 第77号(2017年12月28日配信)」に掲載いただきました。

ラーコモラボ通信」は、その名の通り“ラーニング・コモンズ”やさまざまな教育機関における事例、関連する情報など、多岐にわたる内容が網羅されている、月刊メールマガジンです。今回(12月号)は、380部が配信されています。

執筆の機会を賜りました、アカデミック・リソース・ガイドのふじたまさえ様をはじめ皆様、記事中の内容について質疑応答にご協力いただきました都留文科大学の日向良和先生、天問堂の白石隆大様・野田雅基様ほか皆様にこの場を借りて、心から感謝申し上げます。

今回の図書館総合展「ポスターセッション」で発表された各団体・学校の一覧やポスターの内容などは、公式ウェブサイトに掲載されていますので、是非ご覧ください。

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○ レポート ○
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●イベントレポート「【第2回全国学生協働サミット】フォーラム・交流会に参加して」
(荒井翔平:一般社団法人生徒会活動支援協会 理事長/教育機関職員)

2017年11月7日(火)にパシフィコ横浜「図書館総合展」の会場内で開催された「第2回全国学生協働サミット」(主催:図書館総合展運営委員会/企画運営:第2回全国学生協働サミット 実行委員会)のフォーラム・交流会に参加しました。会場は、200名の参加者で満員となりました。

今回のフォーラム・交流会においては、2つのテーマに沿って、それぞれ4大学が事例共有・話題提供を行った後、限られた時間の中ではありましたが、意見交換を行いました。開会に際して、野末俊比古先生(青山学院大学)は“学生協働のイベントは全国各地で展開されています。今回は「ネットワークづくり」をテーマにします”と宣言されました。
会場の参加者と登壇者の間では、スマートフォンなどの電子機器とコミュニケーションツール[1]を用いて出されたさまざまなコメントや質問を司会進行の日向良和先生(都留文科大学)と藤森さん(都留文科大学 学部3年)がリアルタイムで取り上げてくださりフォーラムが進行しました。また、フォーラム後には引き続き交流会も開催され、参加者による活発な意見交換が行われました。

【展開されたテーマ】

今回展開された2テーマは、次の通りです。

1.ヨコのネットワークについて
例えば学生同士で、学生と図書館員とで意識・情報をどう共有しているのか?など、学内外のつながりにおいて困っていることや工夫していることは何か?

2.タテのネットワークについて
例えば、先輩から後輩へノウハウをどのように引き継ぐのか、新入生をいかにリクルートするのか?など縦のつながりにおいて困っていることや工夫していることは何か?

【プレゼンテーション】

簡単に各大学が行った事例共有・話題提供のプレゼンテーションについて、内容を簡単に紹介します。大学内での団体名や内容などについては省略していることをお許しください。

1.ヨコのネットワークについて

・図書館サポーターは、学内ボランティア組織がいくつかあるうちの一つ。週1回の活動とミーティングをそれぞれ実施している。広報誌、しおりづくり、図書館長との座談会などを展開。年度末には振り返りと次年度計画を考えるワークショップを開催。(愛媛大学)

・メンバーは月に1回(朝8時30分~9時30分)、学生と職員の混合でミーティングを実施。プロジェクトを計画する段階から職員が付く。職員側もできるだけ学生の裁量を認めることを常に意識している。キャンパス間に距離があるのがつらいところ。(九州大学)

・サポーター21名。新入生に対してのガイダンスも学生が実施。年1回、職員と学生とが混じってグループワークを実施、ファリシリテーション研修を展開。学生に振り返りシートを図書館へ提出してもらいアイデア共有。(立正大学)

・キャンパス間が離れていることから、情報共有が難しい。現状では、チームコミュニケーションツールであるSlack[2]とファイル共有ツールのDropboxを利活用。(神戸大学)

2.タテのネットワーク

・新入生ガイダンスは講義時間の一部を借りて実施。4年生もチームに関わる仕組みを構築している。しかし、実際には学年が縦に割れてしまっているのが課題。(帝京大学)

・学内には図書館に限らず、さまざまな場所でピアサポーター制度が存在。学生ライブラリースタッフは、アルバイトでもあるが、大学のスタッフでもある。上級生が職員と連携を取りながら、マニュアルをベースにした研修を展開。(立命館大学)

・「働ける大学」というモットーもあり、学生アルバイトとしての定期的な雇用を目指している。課題は集まる学生数に減少傾向がみられること。その理由は、募集に協力的な教員が少ない、高給なアルバイトに流れてしまうため。また、マニュアルの更新が滞ることもあり、職員によるフォローが必須。(嘉悦大学)

・講義受講者の有志で構成。学内団体や組織ではないが、書店との連携やビブリオバトルなどの取り組みで学生の読書を推進。(流通科学大学)

【感じたこと】

今回、8大学の取り組みに関する共通点を見出してみると、やはり複数のキャンパス間の物理的な距離に関するところや、効果的な人的サイクル(引継ぎ)の方法の問題が大きかったように思います。簡単に解決できるものではないと思いますが、インターネットでの電話会議やSlackといったツールを活用するなど、課題解決に向けた各大学の努力が大きく見えてくるものがありました。努力と同時にそれぞれ独自性を持ち、ニーズを探りながら試行錯誤されていることも改めて認識しました。

大学の組織でも人事異動があるのと同様に(同様の扱いにしてよいのかは別として)、学生は最短でも4年という周期で卒業していきます。取り組みに学生を集めることが難しいという発表もありましたが、一方で参加に対するインセンティブを与えられていないことも事実としてあるように思います。

高校生対象のワークショップを行っていて如実に感じることは「楽しくて形になる」ことができた取り組みは継続して展開できるものだということです。ここでいう「形になる」というのは物をつくるということだけではなく、自分の声が反映されることや具現化されること、ということも含まれます。つまり、潜在的であったとしても何らかのインセンティブがなければ学生は参加してきません。

現在の取り組みが、他の取り組みに勝るインセンティブを与えられているかをもう一度見つめて頂きたいと思います。もし見つけることが難しいのでしたら、単純に一緒に活動している人に対して「なぜこの活動に参画しているのか」を訊くことが一番簡単な方法です。「楽しい」を理由にされることが多いとは思いますが、その裏に隠されている楽しい理由を引き出して、それを前面に打ち出すことに成功すれば、取り組みはもっと評価されると考えます。

自身は図書館と直接的な関係がある職務ではありませんが、教育機関に勤務する人間として、新しい示唆を頂きました。図書館に限らず、学生協働を進めていくには、やはり学生と職員との信頼関係の上に成り立っていると考えていますが、まだ信頼関係が構築できていない職員も少なからず存在しているように思います。今後は、さまざまな分野・部署において学生協働が成立することが望ましいと感じています。ただ、それはまだ私の理想で留まってしまっているのではないかとも感じており、永遠の課題のようにも思います。

【これからに向けて】

今の学生・生徒たちがよりよい社会を自ら創っていけるよう、これからの図書館・教育機関とその関係者がさらに切磋琢磨して頂けることを願っています。その基盤が学びの場(勉強に限らない生涯学習)であり、図書館・教育機関が大きな要素であることは言うまでもないことだと思います。

メインタイトルであった“学生協働”は「活動」かもしれませんが、キャリアを育む場であるとも考えられています[3]し、私も同意見です。本来であれば学校・大学の運営全般に学生が関わることが必要だとも考えますが、実際のところ学校・大学の一部である図書館に直接的に関わることができる経験はかけがえのないものになるだろうと確信しています。

このフォーラム報告を執筆するにあたり、自身で作成したレポート[4]を読み返しながら[5]、当日の発表を拝聴しておりました。取り組みを継続していってほしいのは大学側のある意味での目論見だということもありますが、目的を果たしたり、ニーズが減少したりということがあれば、協働の結果(もちろん議論という過程が必要にはなりますが)であえて数か年で打ち切る取り組みもあってよいのではないでしょうか。今回は時間の都合もあってか、現在の取り組みについてフォーカスが多くあてられていたように思います。
フォーラムの後には交流会も開催され、参加した団体は多くの意見交換ができたと思います。頂いたコメントから、どのように次の活動をバージョンアップしていくのか、今後の展望などがもっと聞ける機会になれば、さらにサミット自体が発展する場になると考えます。

なお、本稿に記した意見は筆者個人に属するものであり、所属機関の公式見解を示すものではないことを申し添えます。

[1]第1回と同様に株式会社天問堂の協賛でリアルタイム投票・投稿ツール「イマキク」「スグキク」( https://imakiku.com/ )のサービスが使われた。
[2]Slackとは、ビジネス向けのSNSやチーム内コミュニケーションツールなどが盛り込まれているサービスで、日本語版が2017年11月に運用を開始した。
[3]平尾元彦(2005.3)「キャリアから考える学生協働」『大学教育』(12)、 pp.22-27.
http://www.lib.yamaguchi-u.ac.jp/yunoca/handle/D500012000003
[4]荒井翔平、堀口健、林真紀(2013.4)「図書館を学生と共働で創るための活動-モニター活動の取り組みから見えること-」『東京都市大学横浜キャンパス情報メディアジャーナル』(14)、 pp.97-101.
【PDF】 http://www.yc.tcu.ac.jp/~cisj/14/14_15.pdf
[5]当時は、共働というキーワードを用いて学内レポートを作成。協力という形ではなく、学内の仕組み上、共に働くというワードを考えていました。

☆寄稿者紹介☆ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
荒井翔平(あらい・しょうへい)一般社団法人生徒会活動支援協会 理事長(2009年より)。東京都市大学環境情報学部在学中に、図書館と学生の協働について考える学内委員会に参加。現在は教育機関に勤務する傍ら、選挙権年齢引き下げと主権者教育に関する取り組みや、高校生や生徒会役員向けワークショップの企画・立案、ウィキペディアタウンのレクチャーへの協力などをライフワークにしている。
http://researchmap.jp/ARAI_Syohei/

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投稿者プロフィール

荒井 翔平
1991年東京都生まれ。東京都市大学環境情報学部環境情報学科卒業。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、一般財団法人国際協力機構理事などを務める。2009年に生徒会活動支援協会を立ち上げ、生徒会活動に関わる様々な支援に取り組む。2010年に幅広い分野で社会的活動を行う、一般社団法人日本学生会議所を設立。