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会議を終えて改めて振り返る「日本生徒会代表者会議2019」(寄稿)


2019年3月の日本生徒会代表者会議2019の開催を終え、記録として目的や参加校などを記録しておきたいと思う。

開催目的

  1. 生徒会におけるリーダーシップについて議論するとともに、参加者各々のリーダーとしての能力を発展させ、社会人になった後にも活用することを目指す。
  2. 会議後の活動で、参加者各々が困難に遭った時に相談し、扶助しあえる仲間を得る。
  3. 各団体における参加者数の増加促進を通して、志高きリーダーが生徒会外務活動で活躍する場を創造し、リーダー同士の人脈形成に寄与する。

参加校

青森山田、穎明館、群馬県立前橋、工学院大学附属中、工学院大学附属高、栄東、札幌市立札幌開成中等教育、滋賀県立草津東、東京都立杉並総合、成城、拓殖大学付属第一、東京都立国分寺、東京都立立川、日本女子大学付属、文化学園大学付属杉並、武蔵野大学付属千代田、森村学園、横浜市立横浜総合、立教女学院(計 19 校 50 音順)

当日スケジュール

  • 9:30~ 受付
  • 10:00~ 開会式・アイスブレイク
  • 10:30~ 会議①「良きリーダーとは」
  • 12:00~ 昼食休憩・交流会
  • 13:00~ 会議②「どのように参加者増員を目指すか」
  • 14:30~ 会議①②についての発表
  • 15:30~ 「代表者共同宣言」作成・閉会式
  • 16:00~ 自由意見共有会

運営役員一覧

  • 今池陸晃 (穎明館中学高等学校生徒会長 多摩生徒会協議会 10 期議長)
  • 菊池隆聖 (武蔵野大学付属千代田高等学院生徒会長 Doers 代表)

概要

6 グループに分かれ4~5名程度のグループディスカッション形式で議論を深めた。午前中は「良きリーダーとは」をテーマに設定。まず各自理想のリーダー像を列挙し、それに近づくためにどのような方策が考えられるか話し合った。理想のリーダー像として参加者が挙げたものは、会議の終了後に「代表者共同宣言」としてまとめることにした。「代表者共同宣言」は理想のリーダーたるために、我々参加者が努力することを宣誓したものである。

午後はグループを再編し、同様にグループディッスカッションを行った。生徒会長(またその代理・同伴)が多いグループと、外務団体の運営従事者・代表が多いグループの2通りあった。前者では生徒会活動において、全校生徒が高い志を持って積極的に参画するためにできることを話し合い、後者では参加者増員のために何ができるか話し合った。

本議事録では、議論の最後に行われた発表において提案された意見を「具体的方策」として書かせていただいた。また、議論中私が各グループを回った中で聞いた意見で、是非特筆すべきと感じる興味深いものに関しても含めることにした。

具体的な方策(良きリーダーとしてすべきこと)

  1. 1つの事案につき、2人1組になって取り掛かってもらい、互いが苦手分野をカバーし、教えあいながら活動するようにする。互いに人員育成することにも繋がる。
  2. 直接会って会話をするよう心掛ける。LINE 等の SNS は便利な反面、声色などがわからず、相手の受け取り方が多様だからだ。できるだけ掲示板やポストイットを活用し毎日一回は生徒会室に顔を出すなど、ルールを決めるのもおすすめ。
  3. ブレーンストーミングによって、皆がやりたいことをできる環境づくりに努める。出てきた意見はできるだけ実行する姿勢を見せ、次に意見が出しやすいようにする。
  4. 自分しかできない仕事だけしか、自分ではやらない。1人でも仕事をこなせるリーダーより、大勢に助けてもらえるリーダーのほうが、全体として仕事量が多くなる。また仲間1人ひとりが、チームが自分を必要としていることを実感できる。
  5. 笑顔で「ありがとう」と口に出して言う。「自分が頼られている、チームに必要とされている」と感じることで、次も一生懸命やろうと思ってもらえる。また愛嬌を持っていると、接しやすいリーダーになることができる。
  6. 成績をよくする。勉強から得られるものも多く、特に数学などにみられる問題解決能力の向上が期待できる。ほかにも、仲間の憧れとなり、こんなリーダーみたいになるために、自分も頑張ろうと思ってもらえるのではないか。良きリーダーであるためにも、勉強は大切だ。
  7. 計画を立て生徒会室内のカレンダー等に書き込み、共有する。計画を確認することができるのと同時に、仲間の協調性を促進することができる。
  8. スティーブ・ジョブズ氏などを参考に、面白い演説を作る。「このリーダーに付いていきたい」と思わせることができる。
  9. 生徒会活動の時はすべて敬語で話す。良好な人間関係を保ちながら、メリハリをつけて意見すべきところは意見することができるようになる。

具体的方策(学校生徒会において、学校内を動機づけるために)

  1. 生徒会主催のイベントを成功させる。一般生徒が生徒会活動に一歩踏み出す契機となるのは、生徒会に対して「カッコいい」と思った時だろう。
  2. 「生徒会スタッフ」の配置。会則により役員に人数制限がある場合、有効になる。選挙で落選してしまったひとが関われるようにする。また、各生徒が外務団体への参加におけるステップにつながるのではないか。
  3. 外務団体に生徒会の先生に参加してもらう。生徒会活動に積極的な他校の先生に感化されることで、自校の先生を積極的にさせることができるのでは。
  4. 参加者が一様に意欲を持てるように、イベントに工夫を加える。例えば体育祭なら、体育にあまり興味がない人でも楽しめるように、「応援団のダンスパフォーマンス」や「パン食い競争」、「借り物競争」などをスケジュールに組み込む。
  5. 目標を明確化、広報する。例えば「今年はどういう風にイベントを盛り上げるか」明示する。校内放送や説明会を行うのもよいだろう。

具体的方策(生徒会外務団体において、参加者を増員するために)

  1. SNS 利用方法の工夫。日本の高校生において、Twitter や Facebook よりも利用者が多いと考えられる Instagram や LINE を利用すべきだ。LINE の公式アカウントを作成するのも良い。(公式アカウントを作成できるのは18歳以上と規定されているので、連盟や生徒会活動支援協会の先輩方に協力していただこう。)Instagram などにおいて、ハッシュタグをつける。また HP を利用すると適切に運営されているイメージを持ってもらえると考えた。以上の方法で事前に情報開示、透明化を図り、新規参入者の増加を見込める。
  2. 公式 HP について、検索エンジンを最適化(SEO)し、検索結果一覧の上位に持ってくる。ノウハウが必要になるので難しいが、様々なサイトや本が SEO について解説しているので、ご確認いただきたい。公式 HP 上の情報が正確であるという印象を閲覧者に与えることができる。広告費を削減することにも繋がる。
  3. 生徒会内部の人を通して誘う。公立中学校の同級生で、現在他校の生徒会役員をやっている人に声をかけるなど、なるべく近場でコンパクトにまとめるよう、工夫する。距離や経済的な理由から参加できない人をなくすために、地域密着型で、近場の人が参加できる連盟を作るのも良いと考えた。ミニ会議を開催する。近場の学校なら年間スケジュールも似通っているはず。時間がなくても、放課後に少し寄り道して対話することができる。CSCL のように全国から人が集まる場合は、それぞれの地域で同時開催、ビデオ通話繋ぐのが良い。
  4. 諸事情により参加できない人に関しても、議事録の公表で対応する。(CSCL でもやってます!最後まで根気強くご覧になってください。)
  5. 参加者の声をまとめた冊子を作る。既存の参加校が、自校に還元できた例を提示することによって、外務団体のメリットを理解してもらう。外務団体のイメージ向上にもつながるのではないか。
  6. 興味をそそるような議題タイトルの設定をする。問題意識を明確にし、参加者の共通目標を作る。的が確固たるものであれば、志を同じくした人が集まってきやすい。会議のレベルも、より高いものになる。
  7. 交流会等を開催し、運営の人脈を広げる。新規参入も見込める。(バーベキューの経験者によると、「バーベキューは準備が大変だった。調理をしてくれてあまり食べられない人が発生してしまうので、お勧めできない。ボーリングくらいがちょうどよいのでは。」ということだった。)
  8. 堅苦しすぎず、なおかつアットホームになりすぎない雰囲気づくりに努める。堅苦しすぎると打ち解けた密な議論を展開できない。一方で、議論の最中はある程度緊張感をもって挑みたい。
  9. 紹介動画を作成する。生徒会. jp に掲載させてもらったり、連絡先に送信したりすると、団体の全体像や雰囲気が把握できる。新規参入を増やせるのではないか。
  10. 開催時期がテスト期間と被らないように予定する。
  11. 封筒で案内状を送信するのはやめたほうが良い。参加者の多くが経験があったようだが、その経験から判断すると、封筒は費用が嵩むうえに、それを見て参加する人は少ないように感じる。
  12. 運営が他団体に積極的に参加する。運営についてアドバイスを送りあったり、自分の団体に誘ったりできる。
  13. 生徒会関連のテーマに縛りすぎず、身近に感じられるような話題を扱う。一定の知識があれば、誰もが話せるような、国際・社会問題に関連するものにする。「SDGs を達成するために高校生にできること」など。文化祭実行委員会なども一緒に議論すると様々な意見が出て、良い。また、生徒会役員でない人も誘いたい。生徒会として必要なスキルは他の場面でも使えることが多いからだ。
  14. 企業や大学と連携する。協賛品として企業からいただいた記念品を参加者に渡したり、HP に法人名を協賛として掲載し、外務団体の信用を高められたりする。

代表者共同宣言(理想のリーダー像)

1.仲間とともに、積極的に活動しよう。
仲間に仕事を投げるのではなく、一緒に仕事をする。自らが積極的な姿勢を保てば、仲間を鼓舞することにもつながる。個人のリーダーとしての資質と同様に、仲間からのフォロワーシップも大切だ。仲間からのフォロワーシップを得られなければ、一人で仕事をするようなことになってしまう。
2.信頼し、信頼されよう。
この人になら真剣に取り組んでくれそうだ、と思わせるような人格を持てば、新企画の提案も多く受けることができる。リーダー自分ができる仕事であっても、相手に任せることができれば、自分の負担を軽減することにもつながる。
3.仲間の上に立つな、前に立とう
上に立って指図している印象を与えてしまうと、反発が起きやすい。明確な上下関係が存在する会社ならまだしも、生徒会においては同級生であることがほとんど。自分はリーダーだからと胡坐をかいていてはいけない。みんなにとって、身近な存在でいよう。身近な存在であれば、報告・連絡・相談が行き届きやすい。生徒会を開放的な環境に保つこともリーダーの大事な仕事である。
4.みんなにとって、身近な存在でいよう。
 身近な存在であれば、報告・連絡・相談が行き届きやすい。生徒会を開放的な環境に保つこともリーダーの大事な仕事である。

5.仲間の自由を保障しよう。
また1~5のことを達成したリーダーは「議長型リーダー」と呼称した。人づきあいが上手でなければならない。良好な人間関係の構築によって、仲間が仕事に充実感を感じ、自主的に仕事をできると良い。自分の自由意思によって動いていると考えられるとき、人は最大限の力を発揮できる。
6.自信を持ち、仲間を先導しよう。
時に「俺についてこい!」という姿勢で仲間を先導することも必要である。そのようなタイプのリーダーを議長型リーダーと区別して、ワンマンリーダーと呼称した。6~8はワンマンリーダーとして、チームをうまく先導するために必要なことをまとめた。人を動かす力を持ったリーダーだ。周りの意見を集約して、最終的には自分が判断をすることも必要。根拠のない自身も、時に信用につながるのではないかと考える
7.憧れの対象であろう。
企画力、マネージメント能力、細かな気配りをすれば、結果として人望や憧憬を受けることができる。憧れの対象であれば、「リーダーについていきたい!」と思わせられる。「みんなも頑張れば、こういうところにたどり着けるよ。」ということを示す手本にもなる。また、一般生徒がかっこいいと思えば生徒会に関わる契機になる。
8.自己表現能力を高めよう
人に指示を与えるときは、なるべく具体的に。ただ、完全に指示してしまうと仲間の自主性を軽んじることになる。どの部分を指示通りにやってほしいのか、担当者の裁量はどこまでなのか、はっきりと表現する能力が必要である。自分のやるべきことを説明できるまで詳細に把握すると、自分1人で計画を立てたり、整理したりするのも簡単になる。
9.中庸を取ろう。
仲間の意見が割れたときに、仲介に入ったり、+αの意見を提供したり、中庸をとることは大切だ。リーダーが自信満々であっても、仲間との間に温度差があってはいけない。議長型リーダーとワンマンリーダーの中庸という意味でもある。身近な存在でありながら、憧れの対象であるというのは非常に難しい。仲間とは程よい距離感を保ちたい。もしそれが難しいなら自分はワンマン、副リーダーは議長型というようにバランスをとるのもよいだろう。
10.適材適所。仲間の強みを生かそう。
仲間の特性を理解し、チームとして最大限の力が出せるように気を配る。なぜその人員配置にしたのか上手く説明すれば、配置された本人は自分の特性をチームに生かそうと頑張るようになる。
11.計画を立てつつ、臨機応変に活動しよう。
予め余裕をもって計画を立てれば、仲間の裁量に任せて、ある程度臨機応変に活動することもできる。強い企画力を持ち、即決したい。リーダーが計画を立てれば、仲間はやるべきことに集中できるようになる。
12.仲間と自分の人間的成長を促進しよう。
生徒会活動を終わらせることは、唯一の最終目標ではない。生徒会を引退した先の人生においても、生徒会での経験を生かせるような場の形成に努めるべきだ。
13.生徒会をも超える、幅広い情報共有を促進しよう。
CSCL で出会った他の生徒会リーダーに相談、協力しながらこれらの目標を達成していく。CSCL の参加者1人ひとりが自身の事業をうまく運営するため、以上を達成した良きリーダーになる努力することをここに誓う。

編集後記 ~会議を終えて~

「言葉遣いに気を付ける」、「情報伝達を正確かつ迅速に」等々、方向性を定められた。それだけでなく、実現のための具体的な方策なども、的確に明示できた。例えば「言葉遣いに気を付ける」については「私はありがとう、と口にするよう気を付けている。ありがとうは魔法の言葉だ。」と参加者同士でアドバイスしている様子などが見られた。具体的な方策を明示することによって、自校に即刻還元することができるはずだ。様々な意見が飛び交っていた様子から、雰囲気作りには成功したといえる。堅苦し過ぎず、一方で適度の緊張感を保った雰囲気が終始一貫してみられた。

「限られた時間の中でも、近場の学校同士で放課後に開催するミニ会議」はこの会議の中で初めて耳にした。とても画期的なものだと思う。案を出しただけで終わらないように、ぜひ皆さんに着手していただきたい。また、企業や大学との連携について、私は考えたこともなかったが、実際に学生団体LINDEAL では地元企業と連携して上記のようなことを行っているそうだ。是非他団体も挑戦してみてほしいと思った。

生徒会活動に学校関係者を動機づけるために「生徒会役員選挙で落選してしまった人を生徒会スタッフとして、生徒会に取り込む。」との意見があった。そうすると当然、その生徒会スタッフは生徒会役員にとって、かつて選挙で役職を争った相手だったということになるだろう。その人を上手く生徒会内部に取り込むための人間関係の構築は、まさに「良きリーダーとして何をすべきか」ということにつながってくるのではないだろうか。参加された各リーダーの器の大きさ、技量に期待したい。

CSCL 設立当初、「参加者増員のためにできること」という議題は、「近年、生徒会外務団体に広くみられる参加者数の減少を是正するための解決策」を意味し、設定した。広報活動を開始すると、外務団体の運営従事者以外も多く参加していることが見受けられた。そこで、軌道修正した。生徒会活動に携わる人が、高い志を持って活動できる環境づくりに(リーダーが)努めた結果、「活動にかかわる人の数が増え、高い志と自主性を持った仲間を得られた」という境地を最終目標として、議論することにした。それなら学校内部のことも含めて議論できる。外務団体においては、「それが参加者増員につながって、多様な意見が飛び交うようになること」を想定するというスタンスを取った。しかし、開始早々参加者との意識のずれに気づかされた。外務団体での例を多用してしまったせいで、外務団体の参加者増員だけを意味するのだと、参加者は誤解してしまっていた。

CSCL 運営は、当初から Doers 代表 菊池隆聖くんと私の2人しかいなかったため、多くのボランティアに協力していただいた。当日の誘導や受付に協力してくれた参加者には心より感謝する。また午後の議論で、参加者との意識のずれを感じてから、迅速に修正してくれたのは、まぎれもなく、日本中から来た生徒会リーダーたちだった。積極的な質問によって、すぐに意識のずれに気付けたし、懇切丁寧なサポートによって、軌道修正を手伝っていただいた。また、広報活動には、後援団体の一般社団法人生徒会活動支援協会のご協力をいただいた。当日の運営でも、相談に応えてくださったり、写真撮影などで裏方に徹してくださったりした。議長として厚く御礼申し上げる。

【文】今池 陸晃/CSCL2019 議長