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「生徒会の全国大会」参加高校生を募集!18歳選挙権時代「新しい生徒会」の可能性とは


「生徒会」と聞いて、皆さんはどんなことを連想されるでしょうか。

「いい子ちゃんだけがやるんでしょ!」、「先生におべっか使っている奴らが…」なんていうイメージを持っている人いませんか?

いわゆるこうした「生徒会」のネガティブなイメージを払拭するような、「新しい生徒会」とも言うべき、高校生たちの様々な活動が行われています。

今日は、そんな中で、全国から「生徒会」活動に関わる高校生たちが集まる「生徒会の全国大会」についてご紹介したいと思います。

第8回となる「全国高校生徒会大会(NSCC)」は、毎年、全国から100名近い生徒会役員の高校生たちが集まり、各学校における生徒会活動について情報交換するとともに、これからの生徒会活動について意見交換などを行っています。

今年は、理事長をつとめる一般社団法人 生徒会活動支援協会も共催させてもらうこととなり、初日には、世界の生徒会活動の最前線について共有させてもらうと共に、これからの時代に求められる「新しい生徒会」について考えてもらうワールド・カフェなどのプログラムも行わせてもらうことになっています。

募集締切が2020年2月23日(日)24時と迫っていますが、是非、興味を持った生徒会に関わる高校生たちには、全国の同世代にはどんな優秀なやつがいるんだ!、他の学校ではどんな活動をしているんだろう?、世界の最先端の生徒会とは?といった想いとともに応募してもらえればと思います。

是非、今年も全国から多くの高校生たちが集まってもらえればと思っています。

このコラムをお読みいただいた教育関係者や保護者の皆さんからも「面白そうだよ!」「言ってみたら?」と声をかけてください。

「生徒会」については、これまでも、『政治とまちづくりを変える「新しい生徒会」。全国組織が文科省へ提言、松下政経塾で合宿…』や、『データ調査をしたら「生徒会長選挙実施はわずか7%」だった。千葉市の先導的取り組み』など、いくつかの記事を書いてきました。

若者参画先進国であるスウェーデンには古くから生徒会の全国組織が存在し、各学校の生徒会から代表者を送ると共に、生徒会役員の研修、生徒会顧問の研修についてまで当事者である高校生達が行なっていたりもします。

18歳選挙権の実現により、若者の社会参加や政治参加の重要性については、少しずつ認知はされているのだと思いますが、教育現場における生徒たちの自発的な活動や自分たちのルールに係る活動など自治活動については、まだまだ環境が整っていないように感じることが多くあります。

2022年4月からは、成年年齢についても18歳に引き下げられます。

こうした状況の中で、主権者としての高校生たちをどう育てて行くかは、大きな課題であり、一般社団法人 生徒会活動支援協会としては、その中心的なプログラムとして、生徒会活動を「新しい生徒会」として見直していくことが重要なのではないかと考えているところです。

一般社団法人 生徒会活動支援協会は、顧問に、小玉重夫(日本シティズンシップフォーラム代表/東京大学 教育学部長)、鈴木寛(東京大学 教授/慶応義塾大学 教授/前文部科学大臣補佐官)、長沼豊(日本特別活動学会 会長/学習院大学 教授)、川上和久(国際医療福祉大学 教授/一般財団法人青少年国際交流推進センター 理事長)、鈴木崇弘(城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科 研究科長)といった方々に就任いただき、「新しい生徒会」のあり方を提示すると共に、これまでも、総理大臣や大臣を多数輩出する「松下政経塾」での「高校生徒会リーダー合宿」の開催、良質な活動の評価と全国での共有のための「日本生徒会大賞」の表彰、また、筆者は、千葉市の子ども若者参画・生徒会活性化アドバイザーなども務めるなど「地域生徒会」の可能性に取り組んできました。

今回の全国大会でも、多くの高校生たちと共に、「新しい生徒会」のあり方を考えていければと楽しみに思っています。

資料: 第一回日本生徒会 提言書(2017年)

第一回日本生徒会 提言書~日本の生徒会をより活発なものとするために~

文部科学大臣
松野 博一 様

第一回日本生徒会 提言書

~日本の生徒会をより活発なものとするために~

日本生徒会一同

1. 提言の背景

我々日本生徒会一同は、生徒会活動に可能性を感じています。それは学校生活の様々な点を生徒の手で自ら変える事ができるからです。そして、日々の生徒会活動を通じて活発にしようと努力を重ねてきました。しかし学校生活をより良いものにしようと活動を行うなかで多くの課題を感じていることもまた事実です

我々、日本生徒会一同は、全国の高校生の生徒会役員との議論を通じて、上記の課題が全国各地の生徒会に共通する事柄であることを認識しました。本提言書では、我々が理想とする生徒会像を考え、現状の生徒会を理想の生徒会に近づけるための提言をまとめました。本提言書をもとに、日本全国の生徒会がより活発に活動することができるようになることを望みます。

2. 我々が目指す生徒会

我々が目指す生徒会は以下の様な生徒会です。

 一.生徒が主体的に動く生徒会

 二.生徒の活発な議論を可能にし、生徒目線で学校生活に対する提案を考えられる生徒会

 三.私たち生徒会が考えた提案を、学校側との適当な協議の上に実現できる生徒会

 四.生徒会に関することについて、特に反対されたことなどに関して学校側に情報開示を求め、必要があれば学校側と議論の場を持つことができる生徒会

 五.学校側と対等な立場で話し合いの場を持ち、学校に関する問題について議論し決定に参加できる生徒会

 六.広範囲の生徒と協力しながら、生徒目線で意見を発信できる生徒会

 七.発信した意見をもとに大人と対等な立場で議論できる生徒会

3. 提言

私たち日本生徒会の参加者一同は、「我々が目指す生徒会」を達成するために以下の項目の実現を提言します。

 1) 学校長・教職員と生徒会との議論及び情報共有の場の設置

 2) 全国的な生徒会組織の設置

 3) 地域ごとの生徒会組織の設置

 4) 地域行政に高校生の声が反映される仕組みの構築

 5) 教職員・生徒に対する生徒会活動への理解をすすめる取り組みの実施

 6) 生徒会の権限の明確化

 7) 生徒会活動に関する全国的な実態調査の実施

 8) 生徒会支援のための取り組み

 9) ホームルーム運営への生徒会参加の仕組みづくり

 10) 生徒会役員に対するインセンティブの提供

提言の理由及び内容

1) 学校長・教職員と生徒会との議論及び情報共有の場の設置

生徒会活動を行なう上で、提案した議題がどのような過程で学校長・教職員の間で議論されたかがわからないまま却下されることが多い。また、教職員間、教職員と生徒会間の情報共有の不備から活動上様々な不都合がある場合が多い。こうした点を改善し、生徒会が提案した議題の裁可に対して生徒会が関与するために上述のような場が必要である。学校によっては、議論内容に、生徒会活動に関する件以外に、学校生活に関する件を含めてもよいし、参加者に保護者を加えてもよい。

2) 全国的な生徒会組織の設置

生徒会活動には、一生徒会だけでは解決できない多くの学校に共通する課題がある。こうした課題を解決し、全国的に活動を活発化させていくためにも、全国的な生徒会組織を設置し、我々の意見を文部科学省等に届ける仕組みが必要である。

3) 地域ごとの生徒会組織の設置

現在、各地で生徒会のネットワーク組織が活動を行っているが、参加する学校は依然一部に限られている。こうした活動を通じて、同じ課題に取り組み、悩みを共有する仲間を作ったり、他校の活動を知ったりすることは、自校の生徒会活動を活発化するために有効である。そのため、こうした活動は全ての高校生徒会を対象に行われるべきであり、地域ごとの生徒会組織が必要である。

4) 地域行政に高校生の声が反映される仕組みの構築

あいさつ運動や地域清掃運動など地域と生徒会が連携する取り組みは増えてきているが、高校生が当事者として地域行政に提案するなど高校生の声が聞かれる機会はほとんどない。地域行政に高校生の視点を取り入れるため、提言や参画など高校生の声を反映するための仕組みが必要である。

5) 教職員・生徒に対する生徒会活動への理解をすすめる取り組みの実施

生徒会活動を行なう上で最も大きな問題は、教職員・生徒の活動に対する無理解、無関心である。この点を改善するため、生徒会に関する理解をすすめるための教員研修を実施したり、生徒会活動の意義をまとめた文章を文部科学省が発行したりといった取り組みが必要である。

6) 生徒会の権限の明確化

生徒会活動を行なう上で、我々が何を出来るのか、教職員との間で認識の齟齬が生まれ、結果的に活動がうまくいかないことが多い。生徒会が実際に何をできるのか、より具体的に権限を明確化することで活動が活発化すると考える。

7) 生徒会活動に関する全国的な実態調査の実施

生徒会活動を行っていく中で、物事をどのように進めていいかわからず、うまく実施できないことが多い。実態調査を実施することで取り組むべき事柄や方法が明確化したり、教職員と議論する際の材料となったりする。また、生徒会活動の現状を把握しより実践的な提言を作る上でも必要不可欠である。

8) 生徒会支援のための取り組み

生徒会活動に、専門家などの新たな視点を取り入れる事は、活動の活発化のためにも重要である。そのため、生徒会活動に関する専門家の意見を聞くことが出来る仕組みを作るなどの様々な取り組みが必要となる。

9) ホームルーム運営への生徒会参加の仕組みづくり

現在、一般生徒が当事者として生徒会活動に関与する環境が整備されず、生徒会が一般生徒から遊離してしまっていることが多い。生徒会が生徒の意見を代表した組織であるためには、各ホームルーム単位での活発な議論が不可欠である。この運営に対して一部生徒会が参加し、ホームルームで生徒会活動に関する活発な議論を促し、生徒が主体的に生徒会活動に関与する環境作りを行なうことが生徒会活動の活発化に繋がる。

10) 生徒会役員に対するインセンティブの提供

生徒会は現在、慢性的な担い手不足に苦しみ、選挙も実質的には形骸化してしまっている。こうした問題点を解消するために、生徒会活動に取り組む役員に何らかのインセンティブを設けることが必要である。一例としては役員の活動に一定の給与が発生するような仕組みづくりなどが考えられる。

読むより聴いている方が楽!っていう人は、TBSラジオの音源もあったので、『「原点は、生徒会にあり!」若者の政治参加について、高橋亮平が語る』(https://www.tbsradio.jp/152741)などもどうぞ。

投稿者プロフィール

高橋 亮平
高橋 亮平
1976年生まれ。明治大学理工学部建築学科卒業。一般社団法人日本政治教育センター代表理事、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員、株式会社メルカリ経営戦略室政策企画参事、神奈川県DX推進アドバイザー、熊本市生徒会・校則見直しアドバイザー。中央大学特任准教授、明治大学世代間政策研究所客員研究員、市川市議、松戸市政策担当官・審議監、千葉市アドバイザーなどを歴任。国民投票法改正案につき衆議院法制審議会で参考人を務めるなど18歳選挙権実現の第一人者。AERA「日本を立て直す100人」や米国国務省から次世代のリーダーとしてIVプログラムに選出。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミア新書)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。