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外務活動を「オンライン」で開催してみて:「第8回全国高校生徒会大会」レポート


3月26日(木)に行われた第8回全国高校生徒会大会(NSCC8/共催:第8回全国高校生徒会大会実行委員会・一般社団法人生徒会活動支援協会)がオンラインにて開催された。

概要

当日は、生徒会活動支援協会理事長の高橋亮平による講演「これからの生徒会を考える」の後、約3時間30分に及ぶ議論がなされた。今回のNSCC8では、事前に参加者を45人を8つのグループに分けた。当日の議論のテーマは、「広報」「企画の通し方」「参加者意識の不足」「地域との交流」の4つとなった。

当日は、これらのテーマをもとに議論が進んだ。オンラインでの開催ということで、各班のLINEグループで意見を出し合い、そこで上がった意見を班ごとについたの実行委員が議論会場にて共有し、その様子をYouTube LIVEにて配信するというNSCCでは初めての形式で開催された。

NSCC8のテーマは、「『今』を見つめる~あなたが”これから”を創る~」。2つの議論テーマ「今を見つめる(現状把握)」「これからを創るために行動をする(ステップアップ)」とともに議論のパートとして議論のマネージメントを行った。

今を見つめる

まず、「今を見つめる(現状把握)」のパートでは、生徒会活動を考えるにあたって”自分”をアピールするためには?というテーマで意見を出し合った。議論では、自分を見つめなおすことで自分の長所・短所や実績、他の人にはなくて自分にはある唯一無二性を探すことなどが意見として挙がり、これは生徒会活動にも当てはまることだと結論付けた。これらの現状把握がステップアップするための必要条件となるそうだ。

ステップアップするために

現状の活動

次に、ステップアップの先進事例として、各学校の”面白い活動”を参加者から募った。集まった”面白い活動”は以下の通り。

  • 幹部の教員との話し合う環境づくり
  • 学校公式LINEを開設
  • 民法テレビ局との連携した広報活動(文化祭時期など)
  • PTA会長や議員との交流会がある
  • 校歌の作成
  • 生徒総会でなく、ホームルーム長の会議などを使って校則改定について話し合う機会を設ける
  • 学園祭での参加者アンケートの実施
  • 受験生のための学校説明会(制服紹介など)
  • 週2回のあいさつ運動
  • 投書箱のオンライン化
  • 食堂でのメニューなどを生徒会が決定する
  • クラス長や委員会の委員長の集まりで出た意見をクラス内で共有する(教員以外で)

実行するために

これらの”面白い活動”を思いついても実行に移せないことも多々ある。その主な理由として、「生徒会員の関心の低さ」や「マンパワーの不足」などが挙げられた。

まず、「生徒の関心の低さ」については、各校、広報活動をはじめいろいろな方法で対策を講じている。広報活動は、どの学校でもやっているようなSNSによる情報発信や広報誌の発行は勿論のこと、ティッシュやビラの配布や挨拶運動など様々な活動が各校でなされている。Googleフォームなどのオンラインツールを使用した意見箱や広報専用の委員会の設置や広報活動を超えた生徒会員との活動で「公聴会」という参加自由の話す機会を設けること、そして関心を集める最も有力な方法として、生徒から出た要望を生徒会が実現することが挙げられた。また、普段の生活で会員とのコミュニケーションをとる際は、個人的に部活動設立などの「身近な生徒会に関係する内容」の相談を受けることで「生徒会役員」という堅いイメージを払拭し、”役員としての自分”と”普段の自分”を切り替えないことで、より距離感を近くに感じることができたり、他にも、生徒会役員内での仲の良さをアピールすることで、親近感が湧くという。このように、”日々の生活”が生徒の関心の低さについては勿論のこと、生徒会活動全体で重要になると結論付けた。

次に、教員への企画説明やプレゼンの方法として、以下の方法が有力だと意見が出た。

  • 大きなきっかけを作る(実績など)
  • 具体的な数字を出す(アンケート等の結果など客観的根拠の提示)
  • メリットを具体的な形で見せる
  • 教員に提案する際、事前にデメリットの解決案を考えておく
  • 計画段階では、より生徒に親身な教員・似たような考えを持っていたり、理解してくれそうな教員に相談する
  • 生徒総会でなく、ホームルーム長の会議などを使って校則改定について話し合う機会を設ける
  • 教員と交換条件をつける(バーターをだす)
  • 保護者などの学校・生徒の二者以外を巻き込む
  • 生徒の意見を社会的な風潮として見せるために、街頭調査などの学校・生徒・保護者以外の第三者の意見を取り入れる
  • 過去の事例を参考にすることで「それならできるかも!」という気にさせる

これらは、教員と生徒との相互の信頼関係があってこそ成り立つことが前提となる。やはり教員とのコミュニケーションでも”日々の生活”が重要になってくるようだ。

内務活動から外務活動へ

次に、校外へ向けての広報活動に焦点を当てて討論を行った。校外への広報活動の良い点は、生徒視点で学校の実情を伝えることができるという点が各班から上がった。しかし、問題点もある。例えば、広報の対象が絞りにくいことだ。具体的には、受験予定の小学生・中学生向けであれば、生徒会役員などが受験対策講座を開講したり、学校についてのプレゼン、校内ツアーの開催など受験にまつわる企画の開催、他校と合同で開催される高校進学フェスへのブースの出展があげられるだろう。地域住民向けであれば地域のデパートや商店街などでの定期演奏会開催、他校向けであれば文化祭のポスターを相互で掲示したり、合同企画などをするといったように、対象が違えば企画内容も様々である。積極的に広報活動を行うことで、いろいろな人にどのような活動を行っているのかを知ってもらうことができ、自然と活動の幅が広がることにつながり、最終的には活動の理解を得ることができる。また、それにより、学校のことをよく知ってもらえ、知名度や印象がよくなることが期待されるそうだ。

より活発な生徒会にするために

最後に、生徒会活動を役員として行っている人であれば誰もが一回は味わったことのあるであろう「意識の低さ」に関する議論を行った。この「意識の低さ」は生徒会員はだけで探った。
討論で挙なく、中には役員の意識の低さも目立つ学校もあるという。今後活動していく上で、役員の意識を上げる”意識改革”のようなことはできないかという話になり、解決筋をがった意見は以下の通り。

  • イベント参加時には友達の友達~のように参加の輪を広げる
  • 生徒会長が個人の能力などを見極め、タスク管理を徹底する
  • 生徒会長が先陣を切って活動する
  • 役員が生徒会員をはじめ学校にどれだけ影響を与えるかを考える
  • 生徒会活動として、やりたいことをはっきりする
  • 仕事を自ら探す姿勢を育むことで「仕事をやっている!」という自信にする
  • 生徒会室という空間を快適なものとすることでやる気にする
  • 活動が役員だけで盛り上がるのではなく、生徒全員が参加・盛り上がることのできるようにする
  • 「生徒の声を聴く」ことをするためには、まず、生徒会役員が「生徒が意見を言うことのできる場所」を作ることで会員の参画を促す

疑問と事例を交互に出し合う

また、各議論の途中に生徒会役員内で疑問に思っていることを出し合い、事例のある学校の例を共有した。

校則改正はどのようなプロセスで行うか。また気を付けることなどは何か。

  • 有志の生徒で組織する校則改正委員会(特別委員会)の設置
  • 改正してほしいかどうかあのアンケートを実施。その際、生徒に校則改正後の懸念点も生徒に考えてもらう
  • 長期のスパンで実施。複数の代の”共同プロジェクト”として行う
  • まずは役員が校則を守る
  • 歴代校則改定などの事例を参考にする
  • どの立場の人からでも理解を得られるよう、矛盾なく、論理的な内容・手順で

地域との連携を図るためには

  • 学校のある自治体と協力して活動を行う(例:駅の清掃活動など)
  • 老人ホームや子供会、自治会での行事運営のサポートをする(例:餅つき大会や夏祭り)

生徒会で行うアンケートどのように

  • Googleフォームなどのオンラインツールを使用。そのようなツールを使用することで集計がしやすくなる
  • ホームルームの時間で全員回答するようにする
  • マークシートを使用。集計は機械で行う(教員に機械を貸してもらう)
  • クラスごとで集計し、それを生徒会が集める
  • (アンケートの内容で)記述回答の欄を減らす。記号で回答することで集計が楽になる

参加者から会の終盤に「自立や自由はそれなりの責任を伴う。学校内外限らず、生徒会役員としてある前に一人の生徒であることを考え、常識を持ってしっかり行動することが大切なのではないか」などと言った意見が出た。

会を終えて

NSCC8は直接的なオフラインの議論ではなく、オンラインでの議論になり、参加者も例年の規模とまではいかなかったが、活発な議論になった。新型コロナウイルス感染症による政府の「非常事態宣言」を受け臨時休校となった学校が数多く存在し、同時に、外務活動も困難な状況が継続している。その中で、“オンラインで講演と議論の双方を外務イベントで開催した”のは全国で初の事例だろう。「このような事態だから外務活動もできない」ということではなく、このような機会だからこそできることがあると思う。既に「マスクを手作りして寄付する」という活動やLINEを使用してイベントを行う団体もある。このような取り組みが広まり、外務活動が今までとはまた違った形で開催されることを期待し、また生徒会活動支援協会としてもそのような活動をする団体を支援・情報発信をできるように努めたい。

改めまして、参加者の皆様につきましては、本大会にご参加いただきまして誠にありがとうございました。感謝申し上げます。

【文】川名 悟史/一般社団法人 生徒会活動支援協会 運営委員

投稿者プロフィール

川名 悟史
川名 悟史
2002年埼玉県生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会専務理事。埼玉県立春日部高等学校卒、上智大学総合人間科学部教育学科に在学。高校在籍中は、生徒会会計、文化祭実行委員会会計局・ホームページ局長として活動。第8回全国高校生徒会大会経理部長を務めた。現在は、教育社会学や教育行政学を領域に研究している。