【生徒会選挙】信任投票事務マニュアル:判定基準の確認と公正な開票手順
生徒会役員選挙では、立候補者数が定員以下となった場合、学校の選挙規程に基づいて信任投票を行うことがあります。ただし、無投票で当選とする学校もあり、扱いは一律ではありません。
信任投票は、「1人しか出ていないから簡単」、「全員当選するだろうから簡単」と思われがちですが、実は「不信任の判定基準」「無効票の扱い」「開票作業の公正さ」をめぐってトラブルが発生しやすい特徴があります。
このマニュアルは、生徒会の選挙管理委員と担当教員を対象に、信任投票の準備から開票、結果発表、投票用紙の保管までをまとめて紹介するものです。初めて担当する人は、最初から最後までを通して読み、学校のルールを確認・修正すると共に、ルールが作られていない学校は、当日は「3. 開票は確認・分類・計数・記録の順に進める」以降を確認しながら作業してください。
当選基準や無効票の扱いは、学校の生徒会会則・選挙規程・選挙要項に従います。規程に定めがない場合は、投票後に判断するのではなく、投票日前に学校の正式な手続きで決定・周知できるよう、担当の先生と相談するようにしましょう。
1. 投票前に判定基準と役割を確定する
開票後の判断を避けるため、次の項目を投票日前に文書で確定します。
当選基準の分母を明確にする
「過半数」と書くだけでは、何を基準に計算するのか分かりません。規程を確認し、次のどれを分母とするのか明記してください。
- 選挙権を持つ生徒の総数
- 実際に投票した人数
- 無効票を除いた有効投票数
たとえば、「有効投票数の過半数の信任票を得た候補者を当選とする」と定めた場合、信任票が有効投票数の半数を超えなければ当選条件を満たしません。ちょうど半数は「過半数」には含まれません。
投票率の条件を設ける学校では、必要な投票率と、その分母となる有権者数の確定方法も確認します。基準を選挙管理委員会だけの判断で変更してはいけません。
白票・疑問票・無効票の扱いを決める
少なくとも次の扱いを、投票前に決めて周知します。
票の状態 | 確認する内容 |
白票 | 無効票とするか、別の扱いが規程にあるか |
両方に記入 | 無効票とするか |
枠からはみ出した印 | 投票者の意思を判別できる場合に有効とするか |
書き直した跡 | 訂正方法が認められているか |
文字や落書き | 信任・不信任の意思を判別できる場合にどう扱うか |
白票を自動的に信任票とみなすと、記入忘れとの区別がつきません。規程に明確な定めがない限り、投票者に「信任」「不信任」のいずれかを選んでもらう形式にし、未記入票の扱いを事前に示すほうが分かりやすくなります。
開票担当者の役割を分ける
当日までに、次の役割を決めておきます。候補者本人や、その選挙運動を直接担当した生徒は、票の判定を行う役割から外すのが安全です。
- 開票責任者: 開票開始の宣言、手順の管理、結果の確定を行う
- 開票担当: 投票用紙の仕分けと計数を行う
- 審査担当: 疑問票を規程に照らして判定する
- 記録担当: 投票者数、投票総数、各票数、判定理由を記録する
- 立会人: 開票作業が決められた手順で行われているか確認する
2. 投票用紙は迷わず記入できる形にする
投票用紙には、役職名、候補者名、記入方法、無効となる例を記載します。投票者を特定できる氏名、学籍番号、出席番号などは記入させません。
【生徒会長候補】 [◯◯ ◯◯](〇年〇組) 上記の立候補者について、いずれか一つの記号を○で囲んでください。 [ 信 任 ] [ 不 信 任 ] ※どちらにも〇がないもの、両方に記号があるものは無効票となります。 |
印刷前に、候補者名、役職名、記入方法を複数人で確認します。投票用紙の発行枚数と予備枚数も記録してください。また、さらに増刷されることのないようにデータを含めて管理しておく必要があります。
3. 開票は確認・分類・計数・記録の順に進める
開票中は、投票用紙を開票室の外へ持ち出しません。作業を中断する場合は、投票箱と未確定の票を封印し、責任者と立会人が管理します。
ステップ1:投票箱と封印を確認する
開票責任者と立会人が、投票箱や封印に異常がないことを確認します。確認結果と開票開始時刻を記録してから、投票箱を開けます。
複数の投票箱を使った場合は、クラスごとの投票傾向が分からないよう、規程に従って票を混ぜてから仕分けます。
ステップ2:投票総数を数えて名簿と照合する
投票用紙の総数を数え、受付で記録した投票者数と照合します。数字が一致しない場合は作業を先へ進めず、投票箱、未使用票、予備票、名簿の記録を確認してください。
差異の原因が分からない場合は、食い違った数字と確認内容を記録し、選挙規程に定められた責任者へ報告します。数字を合わせるために記録を書き換えてはいけません。
ステップ3:信任票・不信任票・疑問票に分ける
票を次の三つに分けます。
- 信任票
- 不信任票
- 疑問票
この段階では、判断に迷う票を無効票と決めつけません。疑問票として分け、審査担当へ回します。
ステップ4:疑問票を事前の基準で判定する
審査担当は、事前に公示した基準に照らして、疑問票を信任票、不信任票、無効票のいずれかに判定します。判定が難しい場合は、選挙規程に定められた方法で決定してください。
疑問票ごとに判定と理由を記録します。開票後に基準を追加したり、候補者によって基準を変えたりしてはいけません。
ステップ5:二組で別々に数える
確定した票を、二組の担当者が別々に数えます。50枚や100枚という一定枚数ごとに束を作り、二組の結果が一致するまで再確認してください。
最後に、信任票+不信任票+無効票が投票総数と一致することを確認します。
集計表には、投票者数、投票総数、信任票、不信任票、無効票、当選基準、判定結果を記載します。開票責任者、記録担当、立会人が内容を確認し、学校の定めに従って署名または記名します。
4. 当選条件を満たさなかった場合も規程どおりに処理する
候補者が当選条件を満たさなかった場合は、「無効選挙」と決めつけず、生徒会会則や選挙規程に定められた手続きへ進みます。
- 開票責任者が集計表と疑問票の判定記録を確認する。
- 選挙管理委員会と担当教員が、手続きに漏れがないか確認する。
- 事前に定めた公表方法で結果を知らせる。
- 規程に従い、再選挙、補欠選挙、欠員などの扱いを決定する。
得票数や割合を公表するかどうかも、結果を見てから変えず、投票前に決めておきます。候補者への配慮は必要ですが、公表項目を結果に応じて変えると、公平性への疑念を招くおそれがあります。そのためにもこうしたことまで想定して事前に決めておくことが大切です。
5. 投票用紙と記録を封印して保管する
開票後は、信任票、不信任票、無効票を区分して封筒や箱に入れ、封印します。集計表や疑問票の判定記録は、投票用紙とは分けて保管してください。
保管期間、保管場所、閲覧できる人、廃棄方法は学校の規程に従います。定めがない場合は、選挙前に学校の責任者と決めておきます。廃棄するときは、投票内容を復元できない方法を選びます。
チェックリスト
- 当選基準と無効票の扱いを事前に公示した
- 有権者数と投票者数を記録する名簿を用意した
- 投票用紙の発行枚数と予備枚数を記録した
- 開票責任者、担当者、審査担当、記録担当、立会人を決めた
- 投票箱、仕分け用トレー、集計表、封印用品を用意した
- 疑問票の判定方法と記録欄を用意した
- 結果の公表方法と、公表する項目を決めた
- 投票用紙と記録の保管期間、廃棄方法を決めた
用語集
- 有権者数: その選挙で投票する権利を持つ生徒の人数
- 投票者数: 実際に投票した生徒の人数
- 有効投票数: 信任票と不信任票を合わせた数。学校の規程に別の定義がある場合は、その定義に従う
- 無効票: 事前に定めた基準により、信任・不信任のどちらにも数えない票
- 疑問票: 記載内容が不明確で、審査が必要な票
- 立会人: 開票が決められた手順で行われているかを確認する人
このマニュアルで判断できない事項は、その場で新しいルールを作らず、生徒会会則・選挙規程を確認したうえで、選挙管理委員会の責任者や担当の先生へ確認しましょう。
