「全国生徒会大会2026」教員・教育関係者向け連動企画「開かれた学校時代」の生徒会活動のあり方を考える
3月30日31日両日で実施された生徒会の全国大会「全国生徒会大会2026」。
一般社団法人生徒会活動支援協会では、その初日にあたる30日に教員・教育関係者向け連動企画として、「「開かれた学校時代」の生徒会活動のあり方を考える」を実施しました。
今回は、その中から協会専務理事の猪股 大輝 東洋大学助教から報告した「「開かれた学校時代」の生徒会活動のあり方を考える 」の内容について共有します。
現代の学校には、「特色ある学校づくり」や「社会に開かれた教育課程」などの標語のもとに、社会と連携・協働しながら、地域や児童生徒の実態に合わせて学校ごとに目指すべき教育を実現することが求められています。この意味で、現代は、地域や社会に対して「開かれた学校」づくりが求められる時代と言えます。
こうした中で、特別活動は、現行学習指導要領でも生徒会活動の内容(3)「ボランティア活動などの社会参画」が設定され、次期学習指導要領論点整理では、「社会参画する力を育む」中核領域とされるなど、重要な役割が与えられようとしています。
また、昨今の生徒会活動では「ボランティア」以外にも他校や地域と連携した活動事例が多数見られるようになってきました。今回の企画では、このことを受け、学校内で完結しない生徒会活動のあり方を考えるとともに、顧問教員の支援や環境づくりの方途を考えました。
特に、今回の企画は、「全国生徒会大会2026」に合わせて行なった教員・教育関係者向け連動企画として上記の動きも踏まえ、「全国生徒会大会2026」を通じた「生徒会活性化」のあり方を考えるべく特に「生徒会団体」活用の可能性に着目し実施しました。
この中で猪股報告では、「生徒会団体」の歴史について重点的に扱われました。まず、大衆が通う学校への生徒自治活動の普及は、20世紀前半のアメリカにおいて民主主義を「なすことによって学ぶ」ためのものとして始まったこと、この当時から、学校内での実践にとどまらず、学校外と連携した活動がが行われていたことが紹介されました。
その1つ「全米生徒会連盟(National Association of Student Council)」は、1931年にオクラホマの生徒会長Warren Shullが設立した団体で、現在も全米中等学校長協会の支援のもと生徒会リーダーへの奨学金提供や年次大会開催しているそうです。
もう1つ、「全米自治委員会(National Self-Government Committee Inc.)」は、1904年に弁護士Richard Wellingが立ち上げ20世紀前半に活動した生徒会支援組織であり、ニューヨーク州や市へのロビー活動や同市の生徒会連盟や顧問連盟づくりを通じて生徒会活動普及・発展支援へ奔走したそうです。
これらについて、詳細は猪股大輝(2026)「20世紀前半アメリカにおける生徒自治制普及団体の活動」『日本特別活動学会紀要』34号)もご覧ください。
https://doi.org/10.51044/tokkatsu.34.0_35

さらに、「生徒会団体」については、日本でも戦後教育改革期(占領期)に生徒会活動普及、他校連携や社会参画も活発化していたことも紹介されました。
特にこの時期には、占領軍の指導による学校への生徒(自治)会設立が先行し、肝心の活動内容は手探り状態であったため、生徒たちは他校と連携しながら活動を進めていました。確認されているだけでも、茨城・東京・神奈川・山梨・愛知・滋賀・大阪・熊本など多数の生徒会連盟がつくられ、生徒会活動の情報交換にとどまらず、街の治安改善活動(都立大森高)、鉄道運賃値下げ活動(彦根高)など地域づくりにも「主権者」として積極的に関与していたそうです。また、こうした活動の情報は、「全国高校新聞通信連盟」を通じ、学校新聞の交換を通じて全国普及したとのことでした。
1950年代になると、高知県・京都府・東京都などで「生徒会団体」の活動が活発になり、原水爆禁止運動 / 勤評反対運動 / 安保反対運動などにも積極的に関与するようになっていきます。一方で、「高等学校生徒会の連合的な組織について」(1960年12月24日文部省初等中等教育局長通達)で「クラブ」以外の連合組織は「教育上好ましくない」として、事実上規制が行われていったり、校長会も三校以上の生徒が顧問の帯同なしで校外で集まることを禁止する「三校禁」申合せなどを行ったりと制限的な政策が行われるようになります。
1960年代末ごろからは高校紛争激化し、高校生による学校教育への抗議活動が広まります。文部省「高等学校における政治的教養と政治的活動について」(1969年10月31日初等中等教育局長通知)で高校生の政治活動が規制され、生徒会活動も学校内へ閉じた形で行われるようになっていきました。これにより生徒会間の交流活動も下火となり、これ以降しばらくはローカルなレベルで散発的に継続していく形になります。
転機になったのは1989年に「意見表明権」を含む子どもの権利条約採択、1994年に日本が批准したことにありました。まず、この批准を契機に、千葉県生徒会連盟が設立、参加高校生を中心に生徒人権宣言などを発表します。
さらに、この千葉県の事例を元に2003年に「首都圏中学校生徒会連盟」が組織、これをきっかけに「生徒会団体」が増えていくことになります。そして、2010年頃からは、中高生にSNSやスマートフォン普及で一気に規模拡大していきました。こうした動きの中で、2013年、首都圏と関西の生徒会連盟が母体となり「全国高校生徒会大会(現在の全国生徒会大会)」が開催されます。全国生徒会大会を母体に様々な地域連盟を設立するようになり、コロナ禍以降さらに多くの「生徒会団体」ができてきています。

こうした「生徒会団体」の活動は、現在、全国化・多角化が進み、生徒有志が企画するもの・行政が主導して実施するもの・東京都中学校特別活動研究会など特活教員研修団体が主催するものなど開催形態は多様になってきています。一方で、活動内容をみると、現状ではまだ個人のスキルアップや、役員間の交流がメインで、社会参画活動に取り組んでも、その実態はお飾り的なものが多く、ヨーロッパ型の制度的な意見表明や学校参加、社会参画活動はまだまだ不十分と言えます。
また、各学校の生徒会活動における社会参画活動に目を向けても、現状は、ボランティアなど奉仕的参加が中心であり、「探究」の時間を使った社会参画も個人探究が多く、個々人の興味関心の掘り起こしが中心になっています。
こうした中、冒頭にも書いた通り、今後の可能性として、次期学習指導要領では、「社会参画をする力」を育む中核領域として特別活動を位置付けることとしています。
意見表明権を含む子どもの権利条約尊重を軸とした「こども基本法」制定(2022)される中で、学校運営協議会への参加や三者協議会/生徒会団体によるまちづくり等への意見表明なども含め、生徒会を通じた、実質的・集団的で、より多くの意見表明活動へと進化していくことが期待される、ということが報告されました。
