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全国の生徒会団体の原点と、新たな高校生たちの挑戦:千葉県生徒会連盟


8月19日、千葉県生徒会連盟が主催する「2024生徒会交流会in Summer」に招かれ講演してきました。

イベント概要

千葉県生徒会連盟は、2022年1月に活動を開始し、今年で3年目となります。 千葉県内の生徒会活動の活発化や校則についての意見共有を目的に、これまでに交流会のほか、文化祭や体育祭についての討論会の開催などを行ってきました。

この日行われた千葉県生徒会連盟が主催する「2024生徒会交流会 in Summer」には、会長を輩出している千葉敬愛高等学校、東京学館浦安高等学校、東邦大学付属東邦高等学校、専修大学付属松戸高等学校、千葉県立冨里高等学校、船橋市立船橋高等学校、千葉県立千葉東高等学校の7校23名が参加しました。

タイムテーブル

当日のタイムテーブルは以下の通りです。

13:35 開会式、代表挨拶
13:45 特別講演
14:15 学校紹介
14:45 グループディスカッション

  • 選挙権年齢はさらに引き下げられるべきか
  • 生徒会活動に教員はどこまで関与すべきか
  • デジタル化が進む中、伝統はどこまで引き継ぐべきか
15:45 連盟の今後について
16:05 講師ご講評
16:20 閉会式、記念撮影
16:30 解散

代表挨拶

今年も昨年に引き続き、対面での交流会を実施することができました。 会全体を通して、意見の滞ることのない議論が交わされており、これからの彼らの活躍に期待が高まりました。また、講演からは生徒会連盟の沿革やつながりについて教えていただき、時代を超えて私たちのような団体を引き継いでいくことの重要性を実感しました。 参加していただいた皆様にとって、本交流会が有意義なものとなり、千葉県の生徒会活動の発展につながることを祈っています。

千葉県生徒会連盟代表 文本佳冴

生徒会団体はGHQが生徒会を創った直後からあった

この日、ゲスト講演をしたのが、1994年に同名の「千葉県生徒会連盟(1994年創設-第一期)」を創設した、吉田要介 弁護士と、一般社団法人生徒会活動理事長の高橋亮平でした。 今回、千葉県生徒会連盟でもお話した生徒会団体の歴史と可能性についても少し紹介しておきましょう。 生徒会団体については、実は歴史は古く、生徒会が戦後、アメリカの事例などを元にGHQが日本に民主主義を根付かせるために導入されたのとほぼ同じ時代から存在しました。特に初期の生徒会は、日本に民主主義を創っていこうと学校内の活動にとどまらず、全国各地で生徒会団体が生まれ、様々な社会活動なども行っていました。しかし、学生運動の過激化などを背景に、校外における生徒会活動や学校同士が連携することに対して顧問なく生徒だけで3校以上が集まることを禁じる(三校禁)などの規制がかかり、生徒会活動は学校内に限定されていきました。

30年前にも「千葉県生徒会連盟」があった

こうした生徒会活動や生徒会団体の転機になったのが、1989年の児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)の採択でした。この子どもの権利条約が日本で批准された1994年、時期を同じくして日本で久しぶりにできた生徒会団体が、「千葉県生徒会連盟(1994年創設-第一期)」でした。当時、千葉県立国府台高等学校の生徒会長だった高橋と、千葉県立東葛飾高等学校の生徒会長だった吉田は、前年の1993年末から千葉県立小金高等学校、千葉県立薬園台高等学校とともにこの生徒会連盟の構想を創り、県内92校に規約と説明文を送付し、1994年4月13校の加盟で設立しました。 今回、ちょうど30年目というタイミングで、新たに生まれた「千葉県生徒会連盟(2022年創設-第二期)」に招かれ、感慨深く感じるとともに、当時は、スマホやSNSなどもなく、顧問に連絡を取ってもらっては、実際に学校に訪問し、熱い想いを語って一人一人仲間を集めたことを思い出しました。

「生徒会の国連を」と考えていた初代「千葉県生徒会連盟」

今回、弁護士の吉田からも話がありましたが、当時の僕たちは、「生徒会の国連」のようなものを考えていました。ある学校では「当たり前のこと」もある学校では全く認められていなかったりする現状に、「千葉県の高校生全体にこういう環境を保障しよう」という姿や、ある学校で「生徒会が民主的なプロセスで決定したことを学校側が理不尽に認めない」ということがあれば、同盟校でサポートにいくことなどを考えていました。 当時の新聞記事を見直してみると、以下のようなことが記載されていました。

毎日新聞(1994年7月22日)「生徒会連盟」結成 東葛、京葉中心に13校参加 高校生の考え、意見を社会に訴えよう <略> 呼びかけ人の一人、東葛飾高生徒会長の吉田要介君(17)=3年=は「学校の枠を超えて、高校生の権利を獲得し守っていきたい。各校がより良い学校自治を求め、生徒主導の自治を創造していくためのバックアップする組織になれば」、国府台高生徒会長の高橋亮平君(18)=同=は「生徒会は何をすべきなのかということを高校生自身が話し合う場にしたい。学校側などが生徒抜きで一方的に決めて押しつけることなどに対しては、高校生の考えや意見を広く述べていきたい」と話している。

子どもの権利条約背景に「生徒人権宣言」、公開質問上、記者会見

その後、この「千葉県生徒会連盟(1994年創設-第一期)」の有志により9校20名で生徒人権プロジェクトを発足、子どもの権利条約で18歳以下の子どもに保障されている権利が、学校現場においてはその年齢に含まれる高校生に保障されていないとして、子どもの権利条約で保障している権利を高校生の権利に置き換えた生徒人権宣言を宣言するとともに、権利が保障されていない状況の理由を問う公開質問状を文科省、外務省、千葉県知事、教育長、各基礎自治体の市長と教育長、関係する各学校長などに提出、NHKなど多くのメディアでも報道されました。

千葉県生徒会連盟の影響を受け、その後の生徒会団体が誕生

こうした「千葉県生徒会連盟(1994年創設-第一期)」の取り組みに影響を受け、2003年に都内西部の私立中学校生徒会10校程度の有志により「首都圏中学校生徒会連盟」が組織、2005年には同様の有志によって「首都圏高等学校生徒会連盟」が、2008年には東京都多摩地域の都立高校を中心に「多摩生徒会協議会」が組織され、その後2013年に第1回が開催された生徒会の全国大会である「全国高校生徒会大会」へとつながりました。 もちろん背景には色々な要因があります。特に大きいのは、学習指導要領の変更により1998に「ボランティア活動」が、2007年に「ボランティア活動などの社会参加」(参画)が追加されたことで三校禁が実質的に形骸化していったことです。同時にSNSやスマホの普及、さらに18歳選挙権の実現によって現在にいたります。 こうして振り返った時に、自分たちの活動もまた、現在の高校生たちの環境に少なからず影響を与えてきたようにも感じながら、久しぶりに、千葉県の高校生たちが生き生きと生徒会について議論している姿を見て、昔を思い出しました。 新たに動き始めている「千葉県生徒会連盟(2022年創設-第二期)」には、また千葉県から生徒会の新たな未来を切り開いていってもらえればと期待しています。

投稿者プロフィール

高橋 亮平
高橋 亮平
1976年生まれ。明治大学理工学部建築学科卒業。一般社団法人日本政治教育センター代表理事、株式会社メルカリ経営戦略室政策企画参事。中央大学特任准教授、明治大学世代間政策研究所客員研究員、市川市議、松戸市政策担当官・審議監、神奈川県DX推進アドバイザー、千葉市アドバイザー、熊本市生徒会・校則見直しアドバイザーなどを歴任。国民投票法改正案につき衆議院法制審議会で参考人を務めるなど18歳選挙権実現の第一人者。AERA「日本を立て直す100人」や米国国務省から次世代のリーダーとしてIVプログラムに選出。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミア新書)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。