第9回日本生徒会大賞の講評
先日、受賞者・学校・団体を発表いたしました、「第9回日本生徒会大賞」の講評を掲載します。
今回も多数の方からのご応募をいただき、誠にありがとうございました。
現在、生徒会活動を行っている方だけでなく、これから活動に参画する方にも参考になると思いますのでぜひご覧ください。
| 「日本生徒会大賞 まとめページ」では、過去の受賞者や関連記事もご紹介しています。 |
受賞者のみなさま(敬称略・五十音順)
| 賞 | 部門 | 受賞者 | |
| 日本生徒会大賞 |
中学生・学校の部 | 岡山大学附属中学校 | |
| 高校生 | 個人の部 | 大城 愛夏(沖縄県立八重山高等学校) | |
| 学校の部 | 宮城県泉松陵高等学校 | ||
| 生徒会顧問の部 | 伊藤 雅弥(静岡県立熱海高等学校) | ||
| 団体の部 | 新潟県生徒会連盟 | ||
| 優秀賞 | 中学生・学校の部 | 山崎学園富士見中学校 | |
| 高校生 | 個人の部 | 近藤 源樹(慶應義塾志木高等学校) 田中 十和(東福岡高等学校) |
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| 学校の部 | さいたま市立大宮国際中等教育学校 埼玉県立所沢高等学校 |
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| 生徒会顧問の部 | 長野 真(文化学園長野中学高等学校) 田中 洋平(東福岡高等学校) |
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| 奨励賞 |
高校生 | 個人の部 | 薬師 子龍(富山県立高岡南高等学校) 高松 優大(東京都立国際高等学校) |
| 学校の部 | 高崎商科大学附属高等学校 西大和学園高等学校 |
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| 生徒会顧問の部 | 森下 暁(上田西高等学校) 室園 悟志(福岡女子商業高等学校) |
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| 団体の部 | 多摩生徒会協議会 | ||
| 特別賞 | 高校生 | 個人の部 | 岩本 春菜(駒込高等学校) |
| 学校の部 | 大阪教育大学附属高等学校平野校舎 | ||
総評
本年度の「第9回日本生徒会大賞」は中学生・学校の部、高校生・学校の部、高校生・個人の部、団体の部、顧問の部の計5部門で実施した。審査手順として、各部門について応募書類をもとに一次審査を行った。今年度より書類形式を見直し、特に中学生・学校の部、高校生・学校の部、高校生・個人の部については「あなたの取り組んだ⽣徒会活動の中で、活動を⺠主的に進めるために行ったこと」などの記入を求めるなど、生徒会活動の核となる「民主的」な部分を強調して短い文章でまとめる形とした。また、この3部門については、今年度で3回目となる決選大会を開催しスピーチと質疑応答を通じた二次審査を行った。その他の団体の部・顧問の部については応募書類をもとに各賞を決定した。以下、応募書類全体を通しての講評を記す。
中学生・高校生を対象とした部門
今年度は、生徒総会やホームルームを議論の場として活性化しようとする取り組みが複数見られた点が特に注目された。昨今の生徒会活動では、異なる意見を比べ、納得するまで議論することよりも、対立を避け、手早く合意可能な範囲の課題解決を急いでしまう事例が多数見受けられる。しかし、活動の深化にあたっては、時には、生徒同士、あるいは生徒と教員間の意見の不一致を丁寧に聞き出し、対立を恐れずに腰を据えて議論し、根本的な学校や生徒会活動のあり方について考えることも重要となる。生徒総会やホームルームは、一部の役員らによる活動報告や、形式的な議決の場などにとどまり、上意下達型の生徒会を象徴する場になることも多い。これらを生徒会活動の土台となる議論の場として再び捉え直す意義は大きい。
また、ICT環境を活用し、オンラインでの目安箱設置や応答の仕組み整備、アンケートを繰り返すなどますます効率的な意見収集の方法が広まる中で、仕組みだけでは拾いきれない生徒の声を聞く取り組みも重要となってきているといえる。生徒会活動は、選挙に立候補できる生徒、生徒総会で発言できる生徒、目安箱に投書する生徒のためだけのものではない。華やかな活動や拙速な課題解決の裏にある、意見にならない声を丁寧に聞き取り、全ての生徒を会員とする生徒会活動を作っていく取り組みの深化にも期待したい。
顧問の部
今年度で実施3年目となった顧問の部にも多数の意欲的な応募があった。生徒会活動は生徒主体の活動であることを前提としながら、それを支える顧問教員の役割も同様に重要である。
本年度の受賞事例から見ると、まず生徒会大賞を受賞した静岡県立熱海高等学校においては、生徒会予算への生徒意見の反映を目指し、顧問教員が継続して取り組んだ「生徒会会計勉強会」「予算委員会」の独創的な取り組みを高く評価した。生徒会予算は、各部活・委員会に所属する多数の生徒の興味関心をひくテーマであり、決定に向けて多数の調整・合意が必要となる自治活動の中心課題である。同校教員は、この課題を生徒が建設的に進められるよう、勉強会の開催を通じた役員のスキル形成、生徒の意見が効果的に集まるような仕組みづくりの援助、生徒の予算決定を統一的・効果的に指導できるような教員間の連携づくり、公民科「公共」において生徒会予算を例とした授業づくりを行うなど教科学習との連動を一体的に進めた。このように、生徒がより本質的な自治活動に進んでいくよう働きかけや援助を行うと共に、これを支える環境整備を同時に進めた点は、特筆すべきものがあった。
優秀賞を受賞した文化学園長野中学高等学校、奨励賞を受賞した福岡女子商業高等学校の事例も同様の観点から評価できる。文化学園長野中学高等学校では、生徒が効果的・自治的・継続的に活動を進められるような制度化が進められた。例えば、1年生役員登用制度、「生徒会本部」(執行機関)の提案を評議員会(議決機関)が審議する制度、生徒が効果的に企画提案を進められるような「企画運営テンプレート」作成、これを支える顧問教員の増員などが実現された。福岡女子商業高等学校では、生徒が自律的に自治活動に取り組めるよう「伴走」「権限委譲」「意思決定」の3つの柱から効果的に支援を進めた。この中では、生徒が自律して自治活動に進んでいけるようなエンパワーメント・援助の働きかけに加え、少数意見にも真摯に向き合わせるような指導も行うことで、学校全体での生徒会活動づくりを進めた点が評価された。
また、自治活動を深化させるためには、生徒だけでは出会えない多様な他者と出会う機会を作り、視野を広げたり、エンパワーメントしたりすることも重要となる。この観点からは、優秀賞を受賞した東福岡高等学校、奨励賞を受賞した上田西高等学校の事例を特に評価した。東福岡高等学校については、九州を「生徒会特区」とする、というビジョンのもと、「福岡県生徒会交流会」の立ち上げを援助するとともに、これを支える顧問教員による「九州生徒会活動後援会」の設立を進めた。上田西高等学校では、市内の他校や市、商工会議所等と連携した能登半島地震に対する被災地復興支援を進めたり、文化祭において生徒会本部主催の「上田西高校まなびプロジェクト」を立ち上げ、外部から大学教授、卒業生、社会人、他校生徒など幅広い講座を生徒自らが企画できるよう支援したりして、教科や学校の枠を超えた生徒会活動の実現を進めた。このように、学校の枠を超えた幅広い交流や活動の推進は、各校の自治活動の発展とともに、地域全体での活動の深化にもつながるといえる。
最後に、応募された各実践は、上記に整理したような支援・指導を横断的に行う事例であったことを付記したい。こうした実践が様々に交流される中で、生徒会活動を支える顧問の輪が広がっていき、全国の生徒会活動の発展につながっていくことを期待する。
部門別・講評(敬称略)
日本生徒会大賞
高校生・個人の部
大城 愛夏(沖縄県立八重山高等学校)
近年、ブラック校則の改正など生徒が校則改正に関わる事例が増えているが、学校や教員側が求める形に沿って改正が進められる場合が多い。そんな中、学校側によって一度は変更された日課表について、生徒から学校生活上の問題が生じているとして改善の声があがったことから、教員側に新たな提案を行ない実現まで導いたこと。特にその過程において、生徒総会で日課表について教員を壇上に招き公開での議論を行った上で、企画委員会において校長教頭学年主任生徒支援部等の教員側との直接対話によりブラッシュアップを行なった上で、職員会議には会長副会長が参加して提案、試行期間を設け全校アンケートを実施しフィードバックを反映した上で再度職員会議に提案するという、今後の校則改正の取り組みにおいて重要となる民主的なプロセスを構築し実現したことを高く評価した。また、生徒会役員だけの活動にならないよう生徒総会における起立制承認、公開討議、提案の充実などの改革を行って生徒が参加意識を持てるよう工夫したほか、継続的に生徒会活動を活性化させるために、1年生の補佐役員の仕組みを作ったことなども、多くの学校になる好事例と言える。今後も民主的な生徒会モデルをとさらに深めていくことを期待したい。
高校生・学校の部
宮城県泉松陵高等学校
「声を拾って、かたちにする」姿勢をもとに、学校内外にわたる独創的な活動を進めた点を高く評価した。学校内においては、生徒総会に向けて各クラスから集まった意見をもとに総会資料を作成し、総会の場で生徒の質問に対し担当教員や役員がその場で回答する仕組みを継承してきた。また、「同世代との関係性だけでは時に息苦しい。もっといろんな世代の人と関わってみたい」という不登校傾向にあった生徒の声をもとに、地域住民、小中学生などを巻き込んだ「多世代あいさつ運動」などを通じて地域と顔の見える関係を作り上げ、生徒だけでなく地域の声を聞き、かたちにする活動へ進んだ。この具体例として、高校生と高齢者がともに参加し「多世代サードプレイス」として機能する「多世代部活動」アイディアを着想し、提案した。このように、生徒会活動を「参加できる」「発言できる」人のためだけではない、幅広い声が響き合い、それを形にしていく活動として作り上げていく方向性は「新しい生徒会」に向けて極めて重要な視点であるとして、生徒会大賞を授与した。
中学生・学校の部
岡山大学附属中学校
生徒会執行部を中心に、「自治的な学校」を目指して、生徒会役員のみならず、全校生徒一人一人が「自分で学校を創っていく」という意識をもてるように徹底した取り組みを行っている。なかでも、ロバート議事法を参考に、自分たちの学校に合わせて改良を重ねた独自の「会議法」を制定し、生徒総会や学級討議の円滑な議事運営を模索する取り組みは、学校における民主化を考えるうえで重要な観点であり、校内の「ルール決め」に生徒が主体的に関与できるシステムを構築している点を高く評価した。今後は、こうした自治的な活動を基盤にしつつ、現在力を入れている各種ボランティア活動については地域連携を模索するなど、生徒の声を学校内のみならず地域にも活かしていけるような活動を期待したい。
団体の部
新潟県生徒会連盟
近年、各地で生徒会連盟が発足し、学校間の意見交換が活発化するなか、「交流」のみならず、地域における「防災」に力を入れた活動を行っている点は全国的にも珍しい。複数の私立高校の生徒会役員が主体となりつつ、防災を専攻する大学教授の監修や、日本防災士会・新潟県支部との連携を通じて、専門性の高い「防災部通信」の発行や防災イベントなどを継続的に開催している点を高く評価した。防災はどの地域においても重要な課題であるからこそ、他の高等学校生徒会の外務活動として新たなモデルケースとなる好事例である。今後は、県教育委員会や公立高校との協働を模索し、より多くの学校における生徒会役員が参加できる仕組みづくりに挑戦するなど、県内全域、ひいては北陸地方にも広がる活動となることを期待している。
優秀賞
高校生・個人の部
近藤 源樹(慶應義塾志木高等学校)
一般会員の関心低下に対して、生徒会役員の公募、役員間でのWBSの導入、生徒会資料の電子化クラウド化、パブリックコメントの導入、その結果や教員との交渉過程のレポート化と全校への共有、生徒会組織のスリム化など、生徒会活動を「見える化」の視点で様々な取り組みを実行したこと。その中で生徒会規約の全面改正や自動販売機のキャッシュレス決済導入を実現に導いたこと。また個人の外務活動においても副実行委員長として全国生徒会大会2025を開催、埼玉県生徒会連盟の運営、慶應義塾一貫教育校生徒会交流会の主催など、それぞれの組織で中心的な役割を担ったほか、外務活動を自校での活動に活用できる形にしてレポートにまとめ、役員はもちろん一般会員にまで共有したこと。校内においても生徒主体での歴史編纂を主導し慶應義塾志木高等学校生徒会『75年記念誌』を創刊したことなど、その一つ一つが大きな価値がある活動だったと高く評価した。
田中 十和(東福岡高等学校)
「九州で一番外に出た生徒会長」と自称するように、九州から全国生徒会大会2025実行委員を務めたほか、多くの企画に参加するなど積極的に活動したこと。また、初代代表として福岡生徒会連盟を創設し、1年間で3回の交流会を実施、31校249名が参加する組織にまで発展させたことを高く評価した。また、こうした校外での精力的な活動により生徒会役員の希望者が大幅に増えた事実から、生徒の生徒会役員に対するイメージ向上につながったものと感じさせられた。 一方で、「生徒の声が学校を変える喜びを共有したい」という思いには共感するものの、それを具体化する活動がアイスクリーム自販機の導入という提案だけというのはいささか寂しく感じた。外から得た学びをどう返すかが重要、と述べる本人の思いを形にするためにも、さらに外部で学んだものを自校での生徒会活動に反映し、さらなる活動の活性化を期待したい。
高校生・学校の部
さいたま市立大宮国際中等教育学校
生徒会役員が活動を「すべてやる」のではなく、あくまで「生徒の関わる機会を作る」ことを目指し、生徒が生徒会活動の問題を自分ごと化して取り組む機会をサポートする活動を進めた点を高く評価した。まず、校則改正においては、生徒から目安箱などを使って意見を集め、執行部が改正のための議案を作る、という従来の方式を見直し、提案した生徒が主体となって議案づくりを行い、執行部がそれをサポートする形に改めた。また、生徒が学校のあり方や将来像について考える全校生徒参加のワークショップを、ホームルームごとに執行部がファシリテーターを務める形で実施して、生徒会活動の自分ごと化をサポートした。これらは、執行部の活動としてモデルとなる点があるとして、優秀賞を授与した。
埼玉県立所沢高等学校
「学校をよくするために何が必要か」を、生徒全員が参加して議論し、結論を出す場である生徒総会に関する改革を進めた点を高く評価した。具体的には、生徒が議案を理解しやすいよう、前回の総会で決まったこと、取り組みの内容と結果、今回提案する方針など記載項目を定型化した「わかりやすい総会資料」作成を行った。また、総会までに議案について各クラスで議論し意見や疑問を集約する「クラス討議」の目的や進め方を明確化し、その活性化を試みたほか、総会で効果的な討議を行い、全校生徒が参加し納得できる進行を目指し、綿密な準備と「わかりやすい議事進行」を目指した。このように、生徒総会を核として自治活動を活性化させていく独創的な取り組みは他のモデルとなるとして、優秀賞を授与した。
中学生・学校の部
山崎学園富士見中学校
生徒からの要望をふまえて「軽食」に関する校則改正に取り組むなど、近年、全国的なムーブメントになっている校則見直しについて、自分たちの学校ならではのテーマを模索し挑戦している。試行期間の設定など、教職員側と生徒側との意見のすり合わせを丁寧に行い、校内で実施可能な校則改正に漕ぎつけた点は評価できる。一方で、「軽食の校則改正」に対する全校生徒の意見の割合など客観的なデータが不足している点や、改正の目的設定・調査体制の構築など、教職員側の意向にやや影響されていると受け止められる恐れがある点には、生徒会活動として工夫が必要だろう。今後は、過去に日本生徒会大賞を受賞した他校の事例なども参考に、生徒がより主体的に取り組むことができる仕組みづくりを期待したい。
特別賞
高校生・個人の部
岩本 春菜(駒込高等学校)
生徒代表と教員が直接対話する委員長会議を設立したほか、生徒の提案が教頭承認を得ても実現しないことから、企画実施に向けて生徒会からの提案、顧問の承認、教頭承認、理事会承認、職員会議で決定という一連のプロセスを明確化させたことを高く評価した。生徒会活動を学校に関わるすべての人の声が活かされるべきというコンセプトは多くの学校にとっても共通の課題であり、参考にできるものも多い。行事の際に任意の委員会を設置できる仕組みやIT活用が進む一方でオンラインチャットは連絡のみに限定し話し合いはすべて対面に限定するなどの仕組みも面白い。コンセプトを明確にした上で、課題を洗い出し、その課題を改善していく仕組みを考え、実践していくという取り組みの進め方は、生徒会活動を常により良くしていく仕組みとして多くの学校にとって参考になる。
高校生・学校の部
大阪教育大学附属高等学校平野校舎
国立高であるために地域とのつながりが薄いという同校の課題を解決するために、一つの学校を超えて地域の複数の高校の吹奏楽部、ダンス部、軽音楽部などの部活が集まり発表・交流する「大阪南ハイスクールフェス」を、様々な企業等から協賛を集め、特に近隣の東住吉高校と協働して開催した取り組みを評価した。他校の生徒会でも生徒会役員間の交流などは見られるが、生徒会活動自体は一つの学校内に閉じた場合が多い。これに対して同校の取り組みは、一般生徒や地元企業も巻き込み、学校を超えた文化的行事を自らの手で作り上げた点で独創的な取り組みと考え、特別賞とした。今後においては、行事を通じて作られた関係性を活かしながら、地域のまちづくりなどへ複数の学校が参加していくような活動の発展を期待したい。
奨励賞
高校生・個人の部
薬師 子龍(富山県立高岡南高等学校)
校則改正として、休み時間や放課後の校内でのスマホ利用の解禁を実現したこと。また、生徒会活動を校内にとどまらず地域を巻き込んだ活動に取り組もうとTakaoka Seishun Expoを計画したこと。地方から学生団体全国高校生ネット共同代表、高校生徒会ネット立ち上げ発起人など学校外における活動も積極的に行なったことなどを評価した。特に、今後の生徒会活動にとって、学校内にとどまらず、地域を巻き込んで、まちづくりに関わっていくことには大きな可能性がある。また、富山県という地方部から、全国に対して発信していこうという取り組みについても大きな価値があり、全国の他地域にとっても参考になる。
高松 優大(東京都立国際高等学校)
自由な校風が逆に声を上げる文化を希薄にしているという問題意識のもと、夏季はブレザーやネクタイを義務付けない校則改正を提案する提言書を提出するも、反映されるどころか音沙汰なしといった当初の状況の中、こうした制度的なアプローチに加えて、生徒と積極的に校則の話も含めて対話を行って中央議会で議論を深めるとともに、協力的な教員との対話から職員会議にも議案を持ち込み、最終的に「衣替え制度の廃止」に伴う「年間を通した防寒着の自由化」を実現させたプロセスを評価した。元々が自由な学校は、得てして現状の学校生活に対する不満を感じている生徒も少なく、生徒会活動によって新たな取り組みを行う必要性を感じる場面も少ないことから、生徒会活動が形骸化してしまうという課題は他の学校にもあり得る。生徒や教員と様々な形で積極的に対話を繰り返していくことで周りに関心を持ってもらいながら巻き込んでいくという取り組み方は、そうした学校に限らず多くの学校にとっても参考になる。
高校生・学校の部
高崎商科大学附属高等学校
従来、代表委員会(部活の部長と学級委員長で構成される組織)に役割が代替され開催されていなかった生徒総会の復活に取り組み、定期開催を規定した生徒会会則の改正を実現した点を評価した。生徒総会は、会員である全生徒が参加して活動の結果や方針について議論する場として、民主的な生徒会づくりのために重要な意義をもつ。この点に自覚的に取り組み、一過性の復活に留まらず、会則改正による制度化まで進んだ点は重要な取り組みと認められる。一方、報告された生徒会予算を巡る取り組みなどは、活動の効率化を目指すあまり、議論を深める部分が損なわれている印象も受けた。本質的な自治活動を深化させるという目的に鑑み、効率化を進める部分と、徹底して議論を深める部分をもう一度整理して、活動が発展していくことを期待したい。
西大和学園高等学校
生徒と教員間だけでなく法人側との交渉も必要となる「制鞄の完全自由化」に向けて、生徒主体で粘り強く活動を進め、校則変更を勝ち取った点を評価した。制鞄を含む服飾規制の改定は、学校側が企図するブランドイメージの問題や外部業者との関係など、多様なアクターが絡む問題となる。この点に対し、同校では、生徒への複数回の意見収集のみならず、保護者や教員にもアンケートを実施、十分な資料を揃えて法人側とも交渉を進めたうえで、そのプロセスを逐一生徒に公開することで、情報の透明性の確保や、次なる議論に向けた道筋をつけるなど民主的に活動した。今後においては、アンケートなどの量的方法に留まらない形で生徒の小さな意見も丁寧に拾い上げ、服飾規定に留まらない様々な学校や地域、社会の問題に参画していくような自治活動の深化に期待したい。
団体の部
多摩生徒会協議会
地域における生徒会団体や外務活動の草分け的な存在というべきであり、コロナ禍を乗り越えた現在も、生徒が主体となり息長く活動し続けている。特に、外務活動の成果をそれぞれの生徒会役員が在籍する学校の生徒会活動に還元する意識を強くもっていることや、多くの学校の生徒会で課題となる「引継ぎ」をテーマにしたプロジェクトを取り入れた企画など、他の生徒会団体の参考になる取り組みを数多く行っている点は評価できる。一方で、多摩生徒会協議会だからこそのオリジナリティや他に類例のないユニークな内容という点では、さらなる創意工夫が求められる。長年積み重ねてきた活動のエッセンスを今一度メンバーで見直し共有することを通じて、全国的に生徒会団体が増えてきた時代の「新たな草分け」となることを期待している。
日本生徒会大賞とは
日本生徒会大賞は、全国各地の学校生徒会・生徒会団体・生徒会役員を対象としています。生徒会の活動内容やシステムなどを評価することによって、生徒会活動が持つ本来の意義を再確認し活性化させることを目的とした賞です。今回の実施要項については「第9回 日本生徒会大賞 実施要項」にてご確認ください。その他、「日本生徒会大賞 まとめページ」では、過去の受賞者や関連記事もご紹介しています。
今後も継続して日本生徒会大賞の開催を計画しております。詳細が決定いたしましたら、生徒会.jpにてご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。
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