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これからのリーダーになるために:日本生徒会代表者会議2019(CSCL)


3月27日、武蔵野大学附属千代田高等学院(東京・千代田)にて「日本生徒会代表者会議(日本生徒会代表者会議 主催・一般社団法人生徒会活動支援協会 後援)」が初めて開催された。会議には、各高校・各外務団体の代表者が集まり、計30名が参加した。当日は6グループに分かれ、「よきリーダーとは」「参加者増員するために」という二つの議題で話し合った。

午前議論では「よきリーダーとは」という議題のもと議論を行った。議論では、まず個人の理想のリーダー像を挙げ、そのようなリーダーになるために必要なスキルについて話し合った。その中で参加者は、前提としてそもそもリーダーとはといったようにリーダーの定義を考えたり、リーダーの種類について考えたりした。全体では、リーダーと言っても、(1)ワンマン型(2)議長型の二つの種類のリーダーがいることを考えた。その中で、まずワンマン型ではカリスマ性が求められ、後輩などはついていきやすいが、意見が反映されにくい。一方、議長型ではうまく適材適所のできる力が必要不可欠となり、その分、より多くの生徒の意見が反映されることに気が付いた。その上で、自分たちが努力でなれるのは後者のリーダー像であることに目をつけ、実際にどうしたら”理想の議長型リーダー”になれるかを話し合った。
最終的には以下の6つが必要不可欠なエッセンスであるという結論に達した。

  • 適応力
  • コミュニケーション力
  • 決断力・実行力
  • 視野・人脈が広く、人の能力を引き出す
  • 自信・信頼
  • 常識・愛嬌

午後議題では「どのように参加者増員を目指すか」という議題のもと議論を行った。今回は、外部団体の参加者増員だけでなく、学校内の行事等への自主的な参加者の増員という視点でも議論が行われた。その中でどのグループも触れていたのが「興味・関心」の低下ということだ。その点で重要なのは、生徒会・外部団体という視点からではなく、別の新しい視点からアプローチすること、会議の目的を明確化すること、議題の充実などであるという結論に達した。また、そのほかにも、実際の学校の現場において、生徒会役員選挙に落選した生徒や毎日の活動は難しいが短期間の活動ならできる生徒で組織する「生徒会スタッフ」制度などの具体的な例も出された。外部団体に関しては、現在の外部団体の活動が形骸化している中、どのようにして活動を盛り上げるのかといったことも話し合われた。そこでは、従来の討論よりも他校の成功例を共有する機会にする方が、よりためになり、参加する意欲が出るのではないかという意見もあった。また、参加のしやすさという観点から、外部団体のイベントはできるだけ、範囲を限定してより地域に密着することで参加者の交通費などの金銭的負担も軽減でる。さらに生徒会役員だけでなく生徒会活動に関わらない生徒や教員にも活動に気軽に参加することができたり、地域の企業とも関係性が生まれ、協賛として団体と一緒に宣伝したりすることで、信頼も生まれるといった利点も多くあるだろうと話し合った。

参加してみて

西田萌夏さん(横浜市立横浜総合・高2)は、午後議題の「どのように参加者増員を目指すか」という議題で、活動において”インフルエンサー的人間”が必要であり、SNSを活用したりして、何を活動しているのかを参加していない人に対して宣伝することで、新しい参加者を増やすことができるのではないかと考えた。また、今回、初めて外部活動に参加してみて、周り参加者の考えていることのレベルの高さや自分の考えを人に説明する力が高いことに圧倒されたという。今後は、「 リーダーを支えるだけでなく、自分の周りをよく見て、他の人を自らリードできるようになりたい」と今後への抱負を語った。

房野真央さん(札幌市立札幌開成・高2)は、午前議題の「リーダーとは」という議題において、自身のよいリーダー像は”周りがよく見ることができ、団体内で公正・中立の立場に立ち、団体の顔”だという。今回の会議で他の団体のリーダーと話し合ううちに、自分の足りない面がいろいろ出てきたそうだ。その中で、理想のリーダーになるために最も必要なものは、「自信と信頼」の二つを挙げた。「自信がないと周りから見ても堂々としておらず、不安な気持ちにさせてしまう。自信をつけるためにもこれからは、今まで以上に失敗を恐れずにアクションを起こしていきたい」と今回の会議をもとに今後への抱負を述べた。

運営として

2019年度議長の今池陸晃さん(穎明館・高3)は、この会議を主催する理由を「さまざまな生徒会団体・学生団体が設立され、たくさんのイベントも行われる中で“参加者減少”はどの団体も課題に感じていることの一つです。その共通の課題を解決する糸口を見つけることが一つ目の理由。あとは、この会議には、高い志を持ったリーダーたちが参加すると考えられるので、人脈を広げ、互いに刺激をしあう関係を作ることが二つ目の理由です。」と述べた。また、会議当日心がけたこと何かと聞くと「各グループの議論の流れを把握したうえで、流れを遮らずに議論の最終方向を明確にすることです」と答え、よりスムーズな会議進行を目指していた。「今回参加した人たちには、会議の内容を自身が所属する団体に還元してほしい。また、参加していない人にも議事録や代表者共同宣言を読んでもらい、ぜひこのようなイベントに関心を持ってもらい、参加してほしい」と今後への希望を語った。

最後に

日本生徒会代表者会議が主催した討論会は今回が初となった。日本全国から集ったリーダーたちがこれから各自で、今日話し合ったことをもとに、よりよい生徒会活動・外務活動を進めていくことを願う。また、今回の議事録と代表者共同宣言を公開しているのでぜひ見ていただきたい。議長によると、来年も開催予定で、すでに運営を募集しているそうだ。今後もより良い会議となることを期待する。

議事録をご覧になる場合は、CSCL2019 議事録をクリック。

【文】川名 悟史/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【写真】千島 洸太/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【写真】楠瀬 千尋/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員

投稿者プロフィール

川名 悟史
川名 悟史
2002年埼玉県生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会専務理事。埼玉県立春日部高等学校卒、上智大学総合人間科学部教育学科に在学。高校在籍中は、生徒会会計、文化祭実行委員会会計局・ホームページ局長として活動。第8回全国高校生徒会大会経理部長を務めた。現在は、教育社会学や教育行政学を領域に研究している。