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日本生徒会大賞2023の審査結果について


一般社団法人生徒会活動支援協会では、このたび日本生徒会大賞2023を実施しました。6/18(日)に開催した決選大会での審査を踏まえ、日本生徒会大賞を各部門に1点、優秀賞を高校生個人の部に2点、高校生学校の部及び顧問の部に各1点、奨励賞を高校生個人の部及び中学生学校の部に各2点、高校生学校の部に4点、顧問の部に3点、特別賞を高校生個人の部に1点授与することを決定いたしました。その他、ご応募いただいたすべての皆様へ日頃の活動を讃え、生徒会活動賞を授与することといたしました。表彰された応募者については、以下を参照ください。

過去の審査結果はこちらからご覧いただけます。
2022 2021 2020 2019 2018 2017

受賞者のみなさま

部門 受賞者(敬称略・五十音順)
日本生徒会大賞
中学生・学校の部 栗東市立栗東中学校
高校生 個人の部 伊藤恵人也 (滝高等学校)
学校の部 早稲田大学高等学院
顧問の部 杉原誠 (山崎学園富士見中学校高等学校)
優秀賞
中学生・学校の部 該当なし
高校生 個人の部 塚本悠公 (早稲田大学高等学院)
土田淳真 (桐朋高等学校)
学校の部 桐朋高等学校
顧問の部 竹村元男 (高崎商科大学附属高等学校)
奨励賞 中学生・学校の部 渋谷教育学園幕張中学校
三鷹市立第五中学校
高校生 個人の部 秋山素子 (東洋英和女学院高等部)
大保海翔 (千葉県立成田国際高等学校)
学校の部 岡山県立倉敷青陵高等学校
城西大学附属城西中学高等学校
高崎商科大学附属高等学校
山崎学園富士見中学校高等学校
顧問の部 河津ゆみ香 (大阪府立阿武野高等学校)
田中洋平 (東福岡高等学校)
長野真 (文化学園長野高等学校)
特別賞 高校生・個人の部 川勝美結 (洗足学園高等学校)

評価に際して

本大賞については、募集要項に基づき応募したすべての団体・個人の書類・添付資料を評価者が確認し、審査委員会において一次審査を実施した後、決選大会にて有識者から構成する審査委員の評価の下、決定した。

総評


本年度で7年目を迎えた日本生徒会大賞は、審査にあたり大きく2つの変化を加えた。第一に、中学校・学校の部と顧問の部を新設した。新設部門にも多くの応募があり、これまで以上に多様な生徒会活動のあり方を視野に入れた評価を行うことができた。第二に、評価方法について、例年の書類審査に加え、中学校・学校の部、高校・個人の部、高校・学校の部の3部門についてプレゼンと質疑応答による決戦大会を行った。よく準備された素晴らしい発表の数々を聞く中で、審査委員会としても応募者の生徒会活動に対する熱意を感じながら、より掘り下げた形で審査を進めることができた。当日の模様は、後日当協会のYouTubeより閲覧することができる予定となっている。応募資料全体を通して、いくつか気づいた点を指摘しておきたい。
まず、全体として生徒会活動の質・量の向上を感じる審査資料が多く見られた。具体的には、単に「イベント屋」や「先生のお手伝い」にとどまることなく、意見箱を設置したり、生徒アンケートを実施したりといった活動を重ねる中で、生徒の意見をもとにしながら日々の生活をより良くするための活動に集中して取り組んだ活動例を多く見ることができた。また、活動全体を通して、民主的であるべきところは民主的に、効率的であるべきところは効率的になるよう、活動の仕組みを見直す取り組みも多く見られた。これらは学校のICT化が進み、生徒間、教師―生徒間の連絡に利用できるツールが増加したこと、またコロナ禍による行動規制が順次緩和され、全国生徒会大会など多数の学校の間で情報交換を行える場が徐々に復活してきたことが背景として考えられる。一方、これらの活動に加え、より高い評価を得るためには、以上のような活動を更に一歩進めることが必要となる。審査資料の中には、意見箱やアンケートを通じ、生徒の意見を積極的に集めることで、従来の教師の言う通りにしか動かない生徒会のあり方を変えようとする事例が多く見られた。しかし、集めた生徒の意見や要望を教師に伝えるだけで活動が完結してしまう場合も多かった。生徒会とは、生徒全体を構成員とする組織である以上、生徒の意見を集めるだけでなく、意見をもとにより多くの生徒をも巻き込みながら学校や日々の生活について民主的に多くの人びとの間で議論し考えるための組織である。また、場合によっては生徒会主導で、教師を含む学校全体に議論を広げる必要もある。このような考えに立ち返って、改めてなぜ・なんのために活動をやっているのかを問い直し、単に意見を聞き、伝達するだけにとどまらず、より広範な議論を巻き起こす方向へ進める必要がある。

このためには、抽象的に議論の必要性を強調するだけでなく、具体的に民主的に生徒を巻き込んだり、生徒同士や生徒と教員間で議論をしながらルールなどを決定していく仕組みをつくっていくことが重要である。この観点から、大賞を受賞した滝高校による「生徒会執行部だけの活動ではなく生徒の中に野党を作り、違う側面から議論をする存在をつくる」取り組みや、栗東中学校による「テーマごとに実行委員会を構築し、その中で教員と生徒が対等に議論し、意思決定をする仕組み」をつくったことなどが特に大きく評価された。こうした取り組みは、今後の生徒会活動の活性化に大きな可能性と、他の学校でも同様な視点での取り組みができる新たなモデルを示すものである。

以上の観点を踏まえつつ、生徒会活動支援協会としても、大賞審査を通じて得られた優れた実践例を、本サイトやイベントなどを通じ発信していきたいと考えている。今後の活動の蓄積に対し、参考になれば幸いである。

評価理由

中学・学校の部 

大賞・栗東市立栗東中学校

学校行事の内容や生徒の保健健康面に係る議論、地域貢献活動やジェンダーレス制服への移行等、検討や意思決定の主体が教員になりがちな問題も含め、テーマ毎に教員と生徒による「実行委員会」を設置することで生徒と教員が対等に話し合い、その場で意思決定を行う環境を作った。教員のみで意思決定が起こりがちな議題について、生徒自らが問題提起を行い、学校全体を巻き込んで討論を行うという点、並びに学校生活における意思決定のプロセスに生徒が主体的に参画できる仕組みを提案した点は「学校の民主化」において非常に有意義な取り組みであり、他校の生徒会にとっても模範となる事例である。

奨励賞・渋谷教育学園幕張中学校

生徒会活動の中でも大事な要素である「生徒参画の促進」が実施された。特に「生徒会事務局の設置」がその例である。開かれた生徒会活動を目指し、生徒会役員にならずとも生徒会誌の制作を担う活動などを行い、その結果、生徒会への興味関心を生徒に抱かせることができた。このことより、生徒会役員の視野だけではなく、より広い視野で活動を行っている点を評価した。また、事務局設置の過程において、当初想定していた姿と異なった場合でも、現状分析から課題を抽出し、次年度へ継続して改善した取り組みを行うなど問題解決が生徒会執行部としてできている点なども評価した。

奨励賞・三鷹市立第五中学校

生徒会役員の活動が生徒会員に伝わらない「ブラックボックス」になっている現状から、活動の透明化を取り組んだ。特に、生徒会新聞の発行を始めとする広報活動は課題と解決策が一貫しており、それを行う枠組みも整備した点を評価した。
また、生徒会執行部内での定例会導入と会議におけるルール作成、資料配布のデジタル化などは役員の活動の質を向上させる取り組みとして非常に有効だろう。一方で、生徒会活動が「生徒会役員活動」となっている感が否めず、今後はより民主的な活動を行うことを期待する。 

高校・個人の部 

大賞・伊藤恵人也 (滝高等学校)

生徒会活動を生徒会執行部ではなく、執行部に対して野党勢力となる「生徒自治会」から変えるという実行力と、生徒会のあるべき民主主義像に基づいた現状の活動に対する分析や解決策のアイデアなどを総合的に高く評価した。生徒会活動の質や校則の改定などは生徒会役員が行うべきという固定観念にとらわれず、自ら多くの有志を集め、既存の生徒議会の枠組みを活用しながら民主的なプロセスを経て生徒会員による民主化を推進した。また、各委員会内に設置される班に一定程度の権限を与えたり、常任の委員を設置しないなどの改革は、生徒会活動を役員だけのものにしない取り組みである。自治会という野党勢力の出現により、生徒会役員による独裁型の生徒会運営に歯止めをかけたことは、今後の新しい時代の生徒会のあり方を考える上で非常に重要な示唆を与えるもので、生徒会大賞を授与するに至った。

優秀賞・塚本悠公 (早稲田大学高等学院)

生徒全体の声をもとにした生徒会活動の活発化を進めることを一貫して目指し、有機的に連動する生徒会組織改革を進め、規程改正などの充実した活動を実現したリーダーシップを高く評価した。具体的には、執行機関である中央幹事会のもとに各委員会をまとめるべく規定上存在していた事務局の制度を大々的に広報して人員を集め、事務局に各委員会の活動情報等を集約することで、効率的、かつ充実した活動を実現した。また、こうした仕組みを次世代以降に繋げていくため、実状と乖離する点が多かった生徒会規程の改正に取り組んだ。規程改正においては、単なる多数決で改正が終わってしまうことを避けるため、生徒の代表者による議決機関であった自治委員会を積極的に動かして改正の議論を進め、教員との協議や一般生徒への説明会などを繰り返し、民主的に改正を進めた。更に規程内に引継書の作成を義務付けるなど、活動が次世代に継承されるよう取り組んだ。以上の活動全体において、確かな見通しを持って発揮された氏のリーダーシップは、他の模範となるものであり、優秀賞とした。

優秀賞・土田淳真 (桐朋高等学校)

「楽しさ」の中で一人ひとりの価値観を様々に共有して視野を広げ、これらを集めて民主的な合意形成を図ることを主導する、という確固たるリーダー論に基づき、学校内の生徒会活動、及び外務組織の活動を活性化した活動を高く評価した。学校内の活動においては、役員内で問題発見・問題解決を進めるチーム制を導入したり、生徒全体での合意形成を図るべく各HRでの議論をもとにICT機器の取扱いに関する提言書を作成した。また、目玉の活動として取り組んだ会則改正においては、改正箇所に関する役員の動画作りなどを通じて、役員間の意識の共有、及び生徒全体への周知と合意形成を試みた。更に、他校間の生徒会によって行われる外務活動の中心に立ち、その活性化を主導した。具体的には、日本中高生協議会の代表、及び全国生徒会大会の高校生実行委員長として参加者一人一人の視野を広げる様々な場作りを主導した。以上のように、学校内外に渡って行われる生徒会活動の活性化をヴィジョンを持って積極的に進めた点を評価し、優秀賞とした。

奨励賞・秋山素子 (東洋英和女学院高等部)

生徒全員が参加し、新しいことに挑戦できるような生徒会を目指して、生徒会への参画意識を高めたり、生徒会活動の透明性を高める活動を進めた点を評価した。具体的には、生徒会活動の課題として、形式的・事務的・閉鎖的であるがゆえに生徒会活動がブラックボックスになりやすいということを挙げ、評議会を公開制に変更することで生徒会員が直接意見を提案することや、生徒会員の要望を取り入れた企画を積極的に行うなどの活動を行った。他にも、透明性を高める取り組みとしてインスタグラム開設したり、生徒会員を巻き込む取り組みとして各部活との協力したりすることで生徒会員を生徒会活動に巻き込むことに注力した。今後とも、透明性を高める活動を継続し、更に多くの生徒を巻き込んだ充実した活動を期待したい。

奨励賞・大保海翔 (千葉県立成田国際高等学校)

生徒会員や教員など学校を構成する人同士での学校についての意見交換会を開催した。実際に授業の時間内で、全員が参加することで、一部の人が話し合うのではなく、より開かれた参加しやすい生徒会を作り上げた点を評価した。また、その中で生徒宣言を採択し、宣言に基づいた行事運営などを進めていくことは、生徒会員全員で同じ方向性の学校をつくりあげるという体験が育むことができ、非常に有意義な経験と言えるだろう。このような全校生徒を巻き込んだ活動を行っていた点が他校にはないもので、優れた活動と評価し、奨励賞とした。

特別賞・川勝美結 (洗足学園高等学校)

生徒主体の活動を実現すべく、校則改正や旧来の生徒会の取り組みを見直したいと考えても、すべての学校で活動が実現できるわけではない。特に生徒主体の活動の伝統がなかったり、そもそも変化すること自体に消極的な学校の場合、活動を実現する困難は大きくなる。氏は生徒会活動を通じ、上記のような困難に向き合い、様々な手段を使ってこれを乗り越え生徒自治活動を実現しようと試み続けた。例えば生徒会への生徒の参画意識を高めるべく、広報誌の内容的充実を図った。また、より民主的で透明性の高い生徒会の選挙制度改革を目指し、外務活動に積極的に参加して演説の方式やリコール制度、票数の開示などを巡る他校の事例を自ら集めた。更に役員の任期終了後は選挙管理委員会の委員になるなどして継続的、かつ粘り強く取り組み続けている。これらの活動は様々な困難から道半ばのものも多かったが、困難な状況下で生徒主体の活動を目指し取り組み続ける氏の姿勢を評価し、特別賞とした。 

高校・学校の部 

大賞・早稲田大学高等学院

生徒会活動を通じて「聞き実行する」「参画できる」「継承する」という3つの視点から活動の活性化に取り組んだ点を高く評価した。「聞き実行する」段階ではHR代表から構成される委員会を通じた間接的な参加とSNS等を用いた直接的な参加の2つの手段を用い、多くの生徒の要望を集めた。「参画できる」段階では、公開で生徒会活動について議論をする場を設定したり、他校交流を活性化したりした。これらを通して生徒全体での生徒会活動を大きく推進した。「継承する」段階では、前例の体系的収集、主要委員会の引継書作成と保存の制度化の他に、選挙終了後から次年度の活動開始までの期間を経験継承のための引き継ぎ期間として定めることで単年度で完結せず継続的に生徒会活動を進めた。特に「継承する」段階の活動は、生徒の入れ替わりにより継続性の確保が難しいという生徒会活動の宿命的問題に取り組み、教師と生徒の意思決定を円滑化し、更に踏み込んだ生徒会の民主化を推進する基盤を作るものとして他校の模範となる画期的事例であると評価され、生徒会大賞を授与するに至った。

優秀賞・桐朋高等学校

一部の生徒・役員に偏らず、役員、生徒、教師がともに進める生徒会活動を目指して様々な施策を行い、校則改正やICT化に関する提言書の提出など高い水準の自治活動を実現したことを評価した。具体的に、活動に際して、役員をそれぞれの課題意識に応じ5つのチームに分け、チームごとに徹底的に問題発見・問題解決を行う制度を導入した。チーム制の中で原案が準備された会則改正に際しては、「何を変えるか」ではなく「なぜ変えなければならないのか」を念頭に徹底した検討が重ねられた。更に、役員間でスキルアップ研修を行うなど、すべての役員が活動に主体的に携わる仕組みを確立した。また、生徒会活動を役員のみの活動としないために総会資料の工夫、活動内容を紹介するエンタメ性の高い動画作成などを組み合わせた活動を行った。更に、生徒1人1台PCの配布に向け、ICT機器の学校内外における取り扱いを各HRで議論を進めるなど生徒間の議論を促し、これらをまとめて教師に対して提言書を提出した。その他にも会則改正に際しては教師との意見交換を行うなど、教師とも議論を重ねる施策を進めた。これらのサイクルを繰り返すことで、本質的な視点に立った高い質の自治活動は、他校の範となると考え、優秀賞とした。

奨励賞・岡山県立倉敷青陵高等学校

生徒一人ひとりが輝くことのできる学校づくりを目指し、生徒会執行部だけでなく多くの生徒とともにルールづくりに取り組んだ活動を評価した。具体的には、学校祭でのスマートフォン利用許可をめぐり、執行部任せでルール作りを行うのではなく、文化委員会や風紀委員会などに参加する生徒も巻き込みながら、多くの生徒が関わる中で問題解決を行うことを重視して活動を行った。また、倉敷市内の生徒会の交流会を行うなど、地域間の生徒会ネットワークづくりを進め、地域の生徒会活動の活性化を主導した。これらの活動を評価し、奨励賞とした。今後は、多くの生徒が関わってルールメイキングを行う制度の確立にむけ、更なる活動の発展を期待したい。

奨励賞・城西大学附属城西中学高等学校

従来、教師の手伝いなどに終始していた生徒会活動を、生徒自らの手で作り直した取り組みを評価した。生徒会活動を作り直すにあたって、学校外の情報を集めるために積極的に他校との交流の機会を持ったり、生徒会活動への興味関心を生徒全員に持ってもらうため、毎朝昇降口前で役員のミーティングを行ったりと地道な取り組みを続けた。更に、作り直しにあたって、生徒が安心して生活できる環境を「守る」という方針を第一に掲げ、地域の中で生徒が安心して生活できるよう学校外の人権組織やオンブズマン制度へと生徒を橋渡しする活動に積極的に取り組むなど、生徒会活動の裾野を広げる活動に取り組んだ点を高く評価した。今後は、学校内と学校外を架橋し、社会全体へ広がっていく生徒会活動を目指し、さらなる活動の発展を期待したい。

奨励賞・高崎商科大学附属高等学校

生徒会活動の活性化を目指し、全国生徒会大会などをきっかけとしながら、北関東地域の生徒会連合を作るべく主体的に活動を行った点を評価した。生徒会間の交流は、相互の情報交換がなされることで新たな気づきを得る以外にも、生徒主体の組織運営を行う経験自体が自主性の高い生徒会活動へ活かされるなどの利点がある。こうした利点を意識しながら、目的意識を持って地域ごとに生徒会間の交流を進めた活動には意義が認められる。今後は、単に生徒会役員間の情報交換的な交流にとどまらず、地域間の連合組織を通じ、生徒の意見をもとに地域や社会全体に活動の幅を広げていくことを期待したい。

奨励賞・山崎学園富士見中学校高等学校

生徒会とは役員のみのものではなく生徒全員によって構成される民主的なものであることを重視し、このような意識を生徒全員で共有するための活動を継続的に行っている点を評価した。具体的には、すべての活動において過去の成果を踏まえ、次代へ引き継いでいくためのPDCAサイクルを意識しながら、生徒との相互のやり取りを重視した活動を行った。これらを通し、クラス会を通じた登下校時のスマホ利用に関するルールメイキングを行ったり、生徒会ホームページを単に役員からの情報発信の場とするだけでなく、生徒が活動内容や要望等を投稿可能な双方向的サイトへと作り替えたりした。今後は、生徒からの日々の要望を組み上げるこれまでの優れた取り組みを活かしながら、学校や教育の根本的なあり方などより大きな課題について生徒間の議論を生み、生徒の生徒会への要求自体を活性化していくような活動を期待したい。 

顧問の部 

大賞・杉原誠 (山崎学園富士見中学校高等学校)

生徒会活動が、生徒会役員だけのものでなく、生徒会を構成する全校生徒によるものであることを前提としながら、教員が主導して何かを指示するのではなく生徒の主体性に任せ、活動を見守ることを常に意識し「活動をエンパワーメントする」ことに重点を置いた指導を実現している点を高く評価した。また、生徒会顧問内で、生徒会活動とのかかわりについて議論する機会を設け、より生徒会役員が活動をしやすい環境を整備している。こうした関わりを通じて、生徒自らが毎年発展的、かつ活発に生徒会活動を行う学校の基盤を作り上げた。このような「生徒の持つ力や生徒の可能性を最大限に引き出す顧問像」は全国の生徒会顧問の模範となる実践事例と評価し、大賞を授与した。

優秀賞・竹村元男 (高崎商科大学附属高等学校)

生徒会活動の現状とあるべき姿のギャップを正確に捉え、生徒とともに、これらのギャップを埋めるべく活動することで生徒主体の生徒会組織の運営に貢献した。特に、顧問自ら群馬県内だけでなく他県の高校の文化祭を視察したり、それを生徒にも共有したりすることで生徒の意識を向上させ、自発的に活動を行うような働きかけを行なった点は、トップダウン的な指導を行うのではなく、あるいは生徒に全く放任するのでもない「生徒とともに」活動を行う顧問観を確立している。顧問としての活動の質や生徒との協働という点で高く評価し、優秀賞とした。今後も、持続的な生徒会活動の支援活動を期待したい。

奨励賞・河津ゆみ香 (大阪府立阿武野高等学校)

教師や生徒の入れ替わりが多く生徒会活動が一般的には活発になりにくい公立高校という条件の中、生徒の特徴を十分に把握し、それを活かした生徒会支援活動を行った。本来、生徒会活動を進めるにあたっては、生徒自身が課題を認識しそれを解決するという一連のプロセスが重要である。しかし、学校ごとの生徒の性格の違いから、上記のようなプロセスを踏んだ活動を維持することが困難である場合もある。こうした中、顧問が主導し生徒会活動が生徒を行う環境整備を行うことも重要となる。氏は、このような環境整備として、役員選挙落選者が役員として活動を行うことのできる「特別委員」という仕組みを作ったり、生徒会が学校運営に関わり活躍できる場を確保したりと積極的に取り組みを続けてきた。こうした点を評価し奨励賞とした。今後は、生徒の自主性を育むような支援を更に発展させ、徐々に生徒会役員自らが課題認識→問題解決の一連のプロセスを実行できるよう実践を展開していくことを期待したい。

奨励賞・田中洋平 (東福岡高等学校)

生徒会活動は学校の生徒全体の取り組みである以上、顧問教師と役員の関わりのみならず、教師集団全体と生徒全員を巻き込む形で活動を活性化する必要がある。氏は「生徒による生徒のための学校づくり」という学校改革の一環に生徒会活動の活性化を位置づけ、教職員間の意識のすり合わせを積極的にリードしたり、生徒を信頼し、実際に権限を与え、活動を任せるような関わりを増加させたりした。また、生徒会活動の活性化を目指し、地域や企業と積極的に協力し、多様な機会づくりを進めた。これらの点を評価し、奨励賞とした。今後は、教員が参画の枠を作って生徒が参加するのみならず、生徒自身が学校生活や社会生活の様々な問題を発見し、学校改革の担い手となるような活動の発展を期待したい。

奨励賞・長野真 (文化学園長野高等学校)

「日本一の生徒会を目指す」を目標に、他校との情報交換や積極的な交流を手がかりとしながら生徒会活動のエンパワーメントを試みた実践を評価した。また、生徒に予算編成を任せたり、校則改正に関する取り組みを進めたりと生徒の自治的な活動の機会を確保した。更に生徒会顧問を学年ごとにつけて学年会議での報告を充実させるなど教員間の連絡を充実させることで、生徒会活動に学校全体で関わる体制を作った。今後は、このような活動を継続させ、充実した生徒会活動の伝統を作り上げるような発展を期待したい。 

日本生徒会大賞とは

日本生徒会大賞は、全国各地の学校生徒会・生徒会団体・生徒会役員・顧問教諭を対象としています。生徒会の活動内容やシステムなどを評価することによって、生徒会活動が持つ本来の意義を再確認し活性化させることを目的とした賞です。今回多数の審査対象から受賞が決定いたしました。
今後も継続して日本生徒会大賞の開催を計画しております。詳細が決定いたしましたら、生徒会.jpにてご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。