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日本生徒会大賞2020の審査結果について


一般社団法人生徒会活動支援協会では、このたび日本生徒会大賞2020を実施いたしました。多数の応募から審査委員会を開催し、日本生徒会大賞を個人・学校に各1点、優秀賞を個人に2点・学校と団体に各1点、特別賞を学校に2点、奨励賞を個人・学校・団体に各1点を授与することを決定いたしましたので、審査結果をお知らせいたします。本年においては、日本生徒会大賞の団体の部は、該当者なしといたしました。なお、その他応募された皆様にも生徒会活動賞が授与されます。

受賞者のみなさま

受賞者(敬称略・順不同)
日本生徒会大賞2020 (個人の部) 章 子昱(東京・桐朋)
(学校の部)
  • 山崎学園 富士見高等学校生徒会総務
(団体の部)
  • 該当なし
優秀賞 (個人の部)
    • 榎本 颯斗(東京・都立科学技術)
  • 仲野 想太郎(東京・工学院大附)
(学校の部)
  • 東京都立国立高等学校生徒会執行委員会
(団体の部) 神奈川県高校生徒会会議
特別賞 (学校の部)
  • 滋賀県立膳所高等学校生徒会
  • 滋賀県立河瀬高等学校生徒会執行部
奨励賞 (個人の部) 湯澤 杏(兵庫・神戸女学院)
(学校の部) 宮城県名取高等学校生徒会執行部
(団体の部) 高校生生徒会会談

評価に際して

本大賞については、募集要項に基づき応募したすべての団体・個人の書類・添付資料を評価者が確認し、審査委員会において賞の対象者を決定した。

総評

本年度の応募資料には、新型コロナウイルス感染症拡大によって引き起こされた前例のない状況の中で、これまで前年を踏襲しながら続けられてきた活動の意義を再度根本から問い直すとともに、ICT技術などを積極的に活用することで生み出された新たな取り組みが多く見受けられた。また、こうした取り組みを創造する過程で、「生徒会とは、何のためにあるのか」を再考する姿勢が各所で見られたことは、今後の生徒会活動の発展に向けて意義深いことと言えよう。

そもそも、生徒会活動とは、生徒全員によって構成される生徒会において、学校や地域、社会の充実と向上を図るための諸問題の解決に向けて、自主的、実践的に取り組むものである。ここで、活動が「自主的」であるためには、「毎年やっているから」とか、「先生に言われたから」とか、「先生に評価されるから」といった外的な動機によるものではなく、生徒会を構成する生徒全員が、活動の意義や目的、具体的な内容について考え、話し合い、合意形成する中で進められる必要がある。もちろん、現実には生徒会活動に対する生徒の無関心などの問題があり、理想を実現することは難しい。しかし、こうした理想を常に意識しつつ、例年の活動の意義や問題点を分析しながら、生徒が抱えている要求や問題意識を積極的に呼び込み活動を作り上げることは、生徒会活動が「自主的」であるためにも欠かすことができない。受賞した各校や個人、団体は、こうした意識を念頭におきながら活動に励んだ事例である。

最後に、応募資料にしばしば見られた傾向について付言したい。応募資料の中には、活動の結果だけを記して、活動に至る過程や、過去1年間で加えられた改善点について、明確に記載されていないものがあった。上述したように、生徒会活動が望ましい教育活動であるためには、活動の過程を「自主的」なものとしていく必要がある。すなわち、毎年行われている活動やその結果を記すだけではなく、今年、どのような問題意識を持って活動に臨み、具体的な問題を発見し、そしてその問題の解決に向けていかに自主的に取り組んだのか、この過程を意識して活動する必要がある。こうした点を意識して活動に取り組むことで、よりよい生徒会活動を実現することができるのではないだろうか。新型コロナウイルス感染症拡大は、例年通りの活動を行うには重大な危機であるが、逆に、新たな技術を活用し、生徒会の理想を実現していく契機でもある。

日本生徒会大賞は、全国で生徒会活動に勤しむ、また活躍する生徒会やその役員にスポットライトを当てることで、高校生たちのさらなる自発的な活動につなげてもらうことと同時に、校内においても、また他校との比較においてもブラックボックスになりやすい構造の生徒会活動において、ベストプラクティスとも言える先行事例を共有することで、全国の生徒会活動がさらに発展していくことをめざして2016年に開設した。協会としても、さらにこの大賞を全国の生徒会活動の参考にしてもらえるよう、その仕組みについても次年度に向けて再検討していきたい。是非、全国の生徒会活動を担う高校生たちには、今回受賞した事例も含め、こうした取り組みも参考にしてもらいながら、withコロナ時代における、新たな生徒会のあるべき姿を考えるとともに、その可能性を模索してもらいたい。

評価理由

(1) 日本生徒会大賞2020

個人の部:章 子昱(東京・桐朋)

生徒会活動における「リーダー」として、学校内での活動に留まらず、多摩生徒会協議会の代表として、非常に積極的に多くの活動を実践してきたことを評価した。新型コロナウイルス感染症拡大による影響で、多くの学校で文化祭が中止となる中行なった「新型コロナウイルス感染拡大に伴う文化祭における各学校での対応に関する調査」は、多くの学校にとって参考になる非常に価値の高い調査であった。また自校における生徒会活動でも、文化祭で実際に来校して学校見学ができなくなった受験生や保護者向けに、Zoomを用いた「生徒会による個別学校相談会」を企画。実施に際しては企画書を教員に提案した上で実現している他、高校生たちが文化部活動の講師として小学生たちに教える「ウィンタースクール」を企画、その実施に際しては自校の教員はもちろん、国立市教育委員会にも企画書を提出して行うなど、学校や自治体とも連携した様々な取り組みを実施しているところは高く評価できる。コロナ禍においては、生徒会団体でマスクを作り必要な施設に届ける「TAmask Project」なども行った。withコロナ時代における生徒会のあり方は、今後の大きな課題の一つであり、社会状況の変化の中で、生徒会活動も大きな変化が求められる。こうした中で、状況の把握や課題の共有、さらにそれをアクションにまでつなげて行こうという積極的な取り組みは、新たな生徒会リーダーの可能性のように感じた。生徒会団体部門へもエントリーしていれば、団体でも受賞した可能性がある。

学校の部:山崎学園富士見高等学校生徒会

昨年度に引き続き、2年連続の学校部門における大賞受賞となった。昨年度時点で既に高い水準にあった各活動について、漫然と前年を踏襲するのではなく、「なぜその活動を行っているのか」、「目的に対応した現状の課題はなにか」、「課題を解決するためにはどのような施策を行うべきか」を自主的、かつ徹底的に分析し、生徒全体を巻き込みながら改善を図っていくことで、応募全校の中で最も傑出した水準の活動を実現した点を高く評価した。具体的には、昨年も生徒会活動に全校生徒を巻き込んでいく取り組みとして取り上げた「アイディアペーパー」について、その再認知と課題の洗い出しのための全校アンケートを実施して、設置場所や意見に対するフィードバックの方法を見直したほか、今回の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う休校期間中も、Google ClassroomとGoogle Formを組み合わせて継続的に活動を続けるなど、生徒に対する働きかけを継続することで、より優れた取り組みへと昇華させていた。また、アイディアペーパーに限らず、生徒会総務や各委員会の活動についても、それぞれ問題発見・問題解決のプロセスを徹底して繰り返し、学校外の様々な組織とも連携を図りながら、充実した活動を作り上げている点も特筆すべきである。以上のプロセスを繰り返すことで、更に高水準の活動への昇華を期待したい。

(2) 優秀賞

個人の部:榎本 颯斗(東京・都立科学技術)

「前例踏襲主義を解消し、本来あるべき生徒会の姿を取り戻したい」との生徒会活動改善の取り組みは、多くの学校の生徒会活動の活性化の参考になる取り組みと言える。生徒会会則の改訂や生徒会選挙における当選者の選定方法の変更、委員会の新設、活動の昇格・降格条件の改正など、生徒会活動の本質的な課題に正面から取り組んだところは高く評価できる。特に自動販売機への炭酸飲料導入を求める活動においてなど、Google Formやアクセス用QRコードを添付したアンケート用紙を作成するなど、ICTについての上手く活用していることも評価できる。コロナ禍における社会貢献として、3Dプリンター活用によってフェイスシールドを作成し江東区内各小中学校への寄付するなどの取り組みも行なっている。生徒会においても今後デジタルトランスフォーメーション(DX)は、大きなテーマであり、「生徒の意見を学校生活に反映させる」という本来あるべき姿を追い求める姿勢と、そこに新しいDXを合わせて活動する姿は、今後の新しい生徒会のモデルになると感じた。

個人の部:仲野 想太郎(東京・工学院大学附)

多くの生徒会においても課題となっている「生徒会活動の時間不足」や「役員間の役割分担」という課題に対し、行事ごとの資料データをフォルダーを作成して整理することや、行事や重要タスクの際の連絡場としてのSlackの利用、それ以外の事務連絡は Edmodoなど、ICTツールを積極的に利活用することで、効率性を向上させたリーダーシップと取り組みを高く評価した。また、コロナ禍においては、Zoomを活用して役員とで会議や先生方との会議なども行なった。withコロナ時代の生徒会にとっても、こうしたデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みは課題であリ、当校の取り組みは参考になる大きな可能性を持っていると言える。更に、当校においては、こうした改善への取り組みについても、同時に、会議方法を根本的に見直すなどオフラインの手法についても新たな取り組みを行うなどしており、DXとオフラインを合わせて解決策を模索する手法が新たな可能性を感じさせられた。

学校の部:東京都立国立高等学校生徒会執行委員会

生徒会活動は、周知の通り、単に役員会において単独で進められる活動ではなく、全校の生徒をもって組織された生徒会において行われる活動である。ゆえに、活動にあたっては、常に全校生徒を活動へと巻き込み、よりよい自発的・自治的活動を創っていくことが求められる。この点について、国立高校生徒会は、活動の様々な場面において、生徒全体や委員会に対して、繰り返しアンケートを実施し、また、QRコードとGoogle Formを活用した「デジタル意見箱」を設置するなど全体から意見を募集し、問題発見・問題解決を行うことで、充実した生徒会活動を作り上げている点を高く評価した。今回は、審査委員会における審査の結果、僅差ながら次点の優秀賞としたが、私立の中高一貫校とは異なり、短い就学期間の中で、活動範囲や予算規模について学校内だけでは解決できない種々の制限が存在する公立高校において、これほど充実した生徒会活動を実現した点は特筆すべきと言える。公立学校の生徒会のモデルとなるとともに、ぜひとも、この充実した活動を次年度以降にも引き継ぎ、より良い活動を作り続けていってほしい。

団体の部:神奈川県高校生徒会会議

2009年に各学校の生徒会の活性化を目的に設立された神奈川県高校生徒会会議は、生徒会団体が全国にできてくる中で、参加者減となるなどの状況を踏まえ、生徒会団体のマンネリ化の課題解決に務めてきた。県内60校に案内を送付した他、毎回の活動のたびにアンケートを実施し、その結果を会議の振り返りを記載した冊子を作成して、SNS上で公開してきた。生徒会の大きな課題の一つにブラックボックス化がある。校内生徒会の役員の活動は役員以外の生徒から分かりにくく、生徒会役員たちもその多くは生徒会団体の存在すら知らない構造になっている。生徒会団体が殆どない時代においては、学校間を超えて生徒会団体を設置すること自体、また各学校の役員たちがネットワーク化すること自体にも価値があったが、生徒会団体も乱立してくる中で、生徒会自体がかかえる課題や、生徒会団体の在り方などが、あらためて問われる時代になってきている。こうした状況の中で、参加者の声を聞きながら団体の価値向上をめざすとともに、参加する学校やメンバーに限らずその情報を公開し、団体の活動を見える化していくことは、今後の生徒会団体の活動のあり方として1つの参考になる取り組みであると評価した。

(3) 特別賞

審査委員会では今回、新型コロナウイルス感染症拡大によって引き起こされた前例のない状況にも関わらず、優れた活動を実現した生徒会を顕彰しようと、特別賞を設定し、2校を選出した。

学校の部:滋賀県立膳所高等学校生徒会

新型コロナウイルス感染症拡大により、県の要請をうけ、一度は中止が決定された文化祭(湖風祭)の開催を目指して、「湖風祭とは一体何なのか」という根本的な点から見直しを始め、「2020年度湖風祭 新型コロナウイルス 感染防止 マニュアル」の作成など、徹底した感染拡大防止対策を行いながら、充実したプログラムを両立した新たな形の文化祭を実現した点を高く評価した。今日の生徒会活動には、学校や社会の様々な状況変化に対応しながら、多様な他者と協働し、主体的かつ創造的に課題を解決する取り組みが広く求められている。今回の感染症流行という大きな社会変化の中で、いち早く創造的な試みを実現した膳所高校生徒会は、特別賞に値すると考えた。今回の経験を活かしながら、文化祭に限らず、より充実した生徒会活動の発展に期待したい。

学校の部:滋賀県立河瀬高等学校生徒会執行部

昨年度奨励賞に引き続き、全体の活動の目標と課題を再度見直し、より充実した活動につなげた点を高く評価した。また、今回の新型コロナウイルス感染症拡大に対応するため、休校期間中も、学園祭についてZoomを用いて団長や部員、教員とのミーティングを進めたほか、Google Classroomを用いて全校生徒に向けて日々変わる生徒会活動の情報発信を進めるなど、さまざまな制約の中でもICT技術を活用することで、むしろ従来以上に積極的に情報発信やコミュニケーションを行い、生徒会活動を「見える化」させていく活動が目を引いた。こうした生徒会活動におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みは、withコロナ時代における新しい試みとして、特別賞に値すると考えた。今後は、新たに整備したICT環境を広く活用することで、生徒全体から意見や要求を積極的に掘り起こし、より主体的・創造的な活動の発展させるとともに、全国の生徒会活動のモデルとなる新たな取り組みについても期待したい。

(4) 奨励賞

個人の部:湯澤 杏(兵庫・神戸女学院)

コロナ禍にも関わらず全国高校生徒会大会(NSCC)をオンラインで開催したことは、今後の生徒会活動の未来にとっても非常に価値のある取り組みだった。とくに、前年度が中止となった全国規模のイベントを復活させたこと、イベント直前に新型コロナウイルスの影響を受けたにも関わらず、形態を変え、オンラインにしながらも実施にこぎつけたリーダーシップは高く評価できる。全国規模のイベントを高校生だけで企画運営するのは、普段でもハードルが高いが、前年度が中止となったことで、実行委員会を組織、参加対象者に向けてへの広報活動、協賛企業探しなど例年以上に困難な状況の中で、見事に企画運営させた手腕は目をみはる。こうした活動を実践されているリーダーが、自校の生徒会活動でどのような活動を行っているかに関する記載があれば、さらに高い評価となったはずだ。

学校の部:宮城県名取高等学校生徒会執行部

生徒会活動全体を通じて、生徒の要望を汲み取り活動につなげていく生徒会システムを高く評価した。特に、生徒総会を、単に執行部の活動方針を説明する場とするのではなく、各クラスや委員会、部活動から事前に要望を集めるほか、執行部・クラス代表・部長・委員長が集まりリーダー研修会を行うなど、生徒の多様な意見を吸い上げる仕組みを確立することで、主体的な活動を検討する場としている点は注目に値する。2020年度の改善は、テスト用紙をわら半紙から普通紙への変更、渡り廊下に水たまりが貯まることへの改善要求など、どれも日常の学校生活に関する小さな課題解決だが、生徒会役員としてのパフォーマンスではなく、日々の生徒の学校生活の質を高めていくため、生徒が感じているリアルな課題を吸い上げ、それを教員や事務室などと直接要望を届け、解決に結びつけている姿は、本来あるべき一つの生徒会活動の形だと感じた。また、学校外での活動についても様々な関係性を構築しながらに主体的に多くの取り組みを行なっており、充実した活動を実現している。次年度以降は、学校や地域に「貢献する」活動だけではなく、持ち前の生徒全体を巻き込む仕組みを活かしつつ、よりよい学校・地域の発展に向けた創造的でユニークな活動へと発展させていくことを期待したい。

団体の部:高校生生徒会会談

2017年に2つの生徒会団体が合併してできた高校生生徒会会談は、2019年度3回のイベントを開催。教員とのつながり、生徒会活動の最適化、伝える力など、生徒会活動において長年課題としてきた問題をテーマに、外部講師を招くなどしながら、グループワークを交えて議論を行なってきた。生徒会活動を行う役員は、相談相手が少なく、日々の生徒会活動においてもこうした課題についても自己解決が求められる中で、学校間を超えて共通する課題について議論して共有していく取り組みは大事であると感じた。とくに、多くの生徒会団体が生徒会役員同志の交流に留まっている中で、教員や専門性を持ったゲストを外部講師として招いた上で、課題の共有や課題解決策について議論していく取り組みは、他の団体にとっても参考になる取り組みではないかと評価した。生徒会活動の本質は各学校における生徒会活動である中で、生徒会団体の存在価値をあらためて捉え直すなど、新たな時代における生徒会団体のあり方を作り上げてもらいたい。

日本生徒会大賞とは

日本生徒会大賞は、全国各地の学校生徒会・生徒会団体・生徒会役員を対象としています。生徒会の活動内容やシステムなどを評価することによって、生徒会活動が持つ本来の意義を再確認し活性化させることを目的とした賞です。今回多数の審査対象から受賞が決定いたしました。

今後も継続して日本生徒会大賞の開催を計画しております。詳細が決定いたしましたら、生徒会.jpにてご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。