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イベントレポート:「全国生徒会大会2024」


2024年3月25日と26日の2日間にわたって、全国生徒会大会2024が開催された。本イベントは全国の生徒会に積極的に関わる生徒とその顧問を対象に、各々の活発な交流によるスキル向上と活動の活性化を図ることを目的に開催されるものである。
本年は有志生徒らによる実行委員会が主催となり、生徒会活動支援協会は協力及び一部企画の主催として参画した。昨年に引き続いて参加校は大都市圏に限らず、北は北海道、南は宮崎県から総勢70校から、多くの生徒・顧問の参加があった。
1日目(25日)は東京大学本郷キャンパスにおいて、架空の高校における年間の生徒会活動案をグループ内で検討した。2日目(26日)は衆議院第⼀議員会館にて各校の活動に関する意見交換会を実施した後、生徒会活動⽀援協会主催企画として、生徒らが理想の生徒会活動の実現のために考えたことや、国として対応してほしい内容の提言を、現役の国会議員らにストレートにぶつけた。

“エチュード~student council concertos~”
(理想の生徒会活動案)

大会最初の企画として、全国から集結した高校生たちが班に分かれ、それぞれが想定した環境にある架空の⾼校を舞台に、そこでの生徒会の年間活動内容案を議論し作成するというものから始まった。同行する顧問は議論に関わらずにその様子を見てもらうものとし、生徒たちの真剣な話し合いの様子を各々感じ取っていた。最終的に提出された活動案を参加者間で投票し、アンケートの結果で上位となった班は2日目の閉会式で表彰された。約2時間に及ぶ討議により、生徒自身が獲得したいと考える生徒会活動を設計できたのではないだろうか。

全国生徒会大会2024 意見交換会

2日目は会場を衆議院第⼀議員会館に移し、午前中は全国生徒会大会2024 意見交換会が実施された。これは参加者の生徒会活動における悩みや課題を持ち寄り、それらを解決に向けた原動力とする企画である。前日とは異なる班内での議論を通し、様々な学校の活動や参加した顧問の意見を参考に参加者の生徒会活動における課題解決に結びつけた。20以上ある班において出た話題は以下のものなどがあった。

 

  • 意見の取り入れ方
  • スマホの使用方法
  • 生徒会の存在意義とは
  • 文化祭
  • 生徒
  • 会長の在り方
  • 人間関係
  • 新しい広報戦略
  • モチベーション
  • 校則改定
  • 行事

それぞれの学校では存在する生徒と教員の対話に限らず、他校の生徒や教員との交流という横やナナメのつながりにより、今までには無かった新たな視点の獲得に繋がったのではないだろうか。

高校生企画閉会式

ここでは1日目企画の表彰と総評が行われ、実行委員会の各部長からの挨拶があった。彼らが駆け抜けた約半年間の思いを、会場にいた生徒たちはどのように感じたのだろうか。是非とも未だ道半ばである活発な生徒会活動の全国的な実現のためには、いかに自ら考え実行することが重要かを、改めて同世代間で共有してもらえていたらと思う。

“これからの生徒会 〜現役生徒会役員×国会議員〜”

以上を経て、弊協会主催企画として“これからの生徒会 〜現役生徒会役員×国会議員〜”を実施した。これは①代表生徒と理事長高橋によるパネルディスカッション、②各班におけるグループディスカッションを行い、③生徒が国会議員に提言をし、その回答を得るというものである。残念ながら出席が叶わなかった今枝宗一郎文部科学副大臣のビデオレターに始まり、どのように生徒会での経験が現在に活きているかが語られた。そのうえで、理事長の高橋と高校生代表の永田優さん(熊本県立人吉・高2)・仲琉生さん(慶應義塾・高2)による、パネルディスカッションが行われ、この後の議論のヒントとなる考えが挙げられた。

この後、グループ単位で優先度を設けた理想の生徒会の実現のための要望提言内容が議論された。多くのグループで見られた意見として、生徒会への予算決定権などの移譲がある。どのグループにおいても、単に決定権を手にしたいというものではなく、自らの責任の下で自らの活動を定めようという、強い本来的な民主主義の獲得欲求によるものであることに注目したい。

最後に、グループ内での話し合いの結果や、各人が考えていた内容をもとに、各党の登壇議員に対して生徒会活動に対する提言や質問がぶつけられた。数は限られたものの、国会議員ならではの視点から、国として取り組むべきものと生徒自身の宿題は何なのかが、短時間に数多く明瞭に仕分けられた。

登壇していただいた議員は次の5名だった。

  • 牧原秀樹議員(自民党/若者政策推進議員連盟顧問)
  • 中野洋昌議員(公明党/⻘年副委員長)
  • 伊藤しゅんすけ議員(⽴憲民主党/⻘年局長)
  • 藤田文武議員(日本維新の会/幹事長)
  • 浅野さとし議員(国民民主党/⻘年局長)

この他に立憲民主党泉健太代表も見学にお越しいただいた。ご協力をいただいた全ての議員および関係者の皆様に、この場を借りて記して御礼申し上げる。

最後に

自ら全体を動かす実行委員会の生徒の姿、今この国をまさに動かす存在である国会議員が生徒会の可能性にも注目している姿を、今回の参加者はどのように感じているのだろうか。各々が望む姿の生徒会を手にするまでには、まだまだいくつものハードルがあるかもしれない。しかし、生徒会で自ら手を動かす者が互いに高めあえるように影響を与え合うこと、生徒会の現状と理想を踏まえて大人にはどのようなハンドリングを望むのか意思表示することで、これからも自身の生徒会活動に限界を感じることなく活躍しようとする意志と力が重要である。この大会がその歩みの一助となっていれば幸いである。

【文】五十嵐 誠 / 一般社団法人生徒会活動支援協会 理事
【写真】猪股 大輝 / 一般社団法人生徒会活動支援協会 常任理事

投稿者プロフィール

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五十嵐 誠
2000年東京都生まれ。東京都立八王子東高等学校、信州大学工学部を卒業し、同大学大学院総合理工学研究科工学専攻水環境・土木工学分野に在学。高校在学時には生徒会会計役員として会計規定の改正と生徒の業務簡略化を図った。2017年度多摩生徒会協議会議長。現在は、生徒会と教員のより高度な協働環境の整備を目指して活動している。