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生徒会の「課題」鮮明:「生徒会活動の実施状況に関する調査」結果報告


一般社団法人生徒会活動支援協会では、2020年3月、生徒会活動の実態について量的に調査を行うことで、生徒会活動の現状に関する基礎情報を収集分析し、今後の益々の活動発展につなげるべく「生徒会活動の実施状況に関する調査」を実施しました。調査結果の概要について、下記の通りお知らせします。

1.調査概要

調査地域東京都
対象東京都内国公立高等学校(中等教育学校を含む)全校
期間令和2年2月25日~ 3月19日
方法質問紙郵送調査法
配布数200通
有効回答数32校

※質問紙はこちらからご覧ください。

2.調査結果概要

(1) 生徒会予算について:都内公立高の平均額は年4,000円前後

国公立高校では、経験上生徒会費が私立高校と比べて安いことが多くあります。今回の調査回答の中で、生徒会費(年額)の平均値は年額3,887、中央値は4,000円でした。最高値をつけた学校でも年6,000円、最低値の学校では年1,200円で、多くの学校が3,000円から5,000円までのいずれかの金額を集めているようでした。また、入会金を集めている学校はほとんどなく集めている学校でも一人500円程度と少額でした。

生徒会予算の総額は平均3,439,357円で生徒一人あたりの平均値は5,343円でした。一人あたりの生徒会費より高い傾向に有り、一定額の繰越金などがある状況が示唆されました。以上の状況は私立高校との比較調査が望まれます。

(2) 生徒会顧問について:部活動兼務が大半も、担任との兼務は少数

回答いただいた顧問の先生方の情報にも興味深い点がいくつかありました。まず部活動との兼務についての質問では、回答いただいた先生の実に87.5%(32名中28名、以下28/32と表記)が文化部・運動部、ないし運動部と顧問を兼務していました。多忙な業務実態が推察できます。

一方、担任業務との件については、無、ないし副担任という先生が全体の87.5%を占め、主担任と兼務している先生は少数でした。

(3) 選挙について:競争選挙はほとんど実施されず

調査の結果、選挙自体が極めて低調であることが浮き彫りになりました。競争選挙が発生したのは会長選挙で27校中5校のみ、その他の副会長、書記、会計などでは競争選挙はほとんど行われませんでした。また会長選挙でも、すべての事例が定員1に対し2名が立候補する決選投票の様式でした。

また、多くの学校で、先生が立候補要請(21/24)や役職調整(19/24)を行っており、生徒の自発的行動のみでは生徒会を維持できず、教師の一定の調整、指導によってなんとか生徒会が維持されている実態が明らかとなりました。

更に、役職ごとの経験者割合についても興味深いデータが見られました。特に会長については多くの場合、役職経験者が務め(28校中20校)、副会長についても半数の生徒に既に役員経験がありました。一方、書記、会計などは役職経験者の割合が相対的に少ない、などのデータが見られました。全体として生徒会役員となった一部生徒が中心となって生徒会活動が運営されている実態がみられた、といいうるでしょう。

(4) 生徒会活動について①:活動は定期的に行われるが予算決定などへの関わりは少数

生徒会の活動状況について。まず定例会の頻度は、週に1回という学校が全体の70%(21/30)を占め、それ以上の頻度で行っている学校もしばしば見られました。また、顧問の先生が参加する割合は77%(24/31)と大半を占め、顧問と一体となって活動を行っている様子が伺えました。

一方、生徒会予算の決定に対する生徒の関与は低調にとどまりました。特に予算作成の肝である原案作成、及び予算額の調整に生徒が関与する割合はそれぞれ19%(6/31)、16%(5/31)であり、基本的に教師主動で予算作成が進んでいる実態が明らかになりました。

公立高校における上記のような事態の原因については、都の会計規定などとの関係もあり学校内だけでは取り組みにくい問題もあります。継続的に調査研究を進めていきます。

また、生徒会活動を広く生徒全体に周知し巻き込みを図るための広報活動についても、あまり活発ではないようです。広報紙を発行していない学校が全体の35%(11/35)で最多となり、月に1号以上発行している学校は19%(6/31)のみでした。

形式については、掲示形式のみをとる学校と、配布のみ、あるいは配布を組み合わせる形式の学校がほぼ半々でした。生徒への情報公開をどのように行うと効果的なのか、広報紙の発行も含めて総合的に行う必要があります。

(5) 生徒会活動について②:学校参加/社会参加活動はボランティア的関わりが中心

学校参加・社会参加活動については次のようなデータが集まりました。

まず学校参加の取り組みについては、三者協議会を実施する学校はなかったものの、校長や教師と二者間の協議会が開催されている学校が一定数存在しました(8/22)。生徒会の学校内における活動をより実際的なものとするためにも、二者間・三者間の公式の参加の機会を設け、学校運営などについて議論する場は重要です。この点について、単に開催するだけではなく、議論の内容が実質的なものか、そこに至るまでの過程で多くの生徒を巻き込むことができているか、などのより質的な調査が必要です。

社会参加活動に目を向けてみると、地元自治体と生徒会との意見交換(6/22)、地元の若者協議会などと協力した活動の実施(7/22)などの事例が一定数報告されました。学習指導要領にも記載されている通り、生徒会活動の内容には「社会参画」活動も含まれています。学校内のみならず地域社会をより良くしていくきっかけとして、上記のような活動が更に広まっていくことが期待されます。

また自由記述欄では、地域のお祭りへのボランティア参加、各種募金運動、交通安全運動、地域清掃、あいさつ運動などの活動例が多数寄せられました。ボランティア活動は、社会参加の方法の一つとして学習指導要領でも推奨されており、学校外の問題にも生徒会活動の幅を広げる上で重要な方法です。ただし、社会に対して奉仕的な関係のみならず、社会を作る一員として参加し、協同していく経験も重要です。ボランティア活動をきっかけにしつつも、より発展的な活動へとつなげていくことが期待されます。この点についての継続的な調査が必要です。

(6) 生徒会の課題:生徒の無関心から教師陣の問題まで多様

生徒会の課題については、大要以下のような意見が寄せられました(複数回答可・回答総数30)。

特に高い山になっているA,G,Lなどは、いずれも生徒の自治意識に起因する問題であり、一般生徒が活動に対して積極的でない様子が読み取れます。また、B.に見られるように、以上の無関心と役員生徒の多忙も相まって、生徒会活動が限界づけられている状況が改めて明らかになりました。役員など一部生徒の負担に集中させないかたちで、生徒会活動に多くの生徒を巻き込み、発展させていくのか、広報活動の充実などの他に、学校としての指導法なども含めて幅広い研究が必要です。

こうした指導法開発の一つの方向性として、Jに見られるように、役員に対する指導は必要不可欠です。協会ではすでに夏季のリーダー合宿を始め事業を展開していますが、これをより広範にリーチさせていく必要があります。

また、P,Tなど教師陣全体に関する問題意識も一定数見られました。顧問教師のみならず学校全体として生徒会をどのように指導し、発展させていくかを検討していく必要があるでしょう。この部分についての調査研究、及び活動の検討も協会として進めてまいります。

3.総評

今回の調査では、多くの学校の生徒会において、生徒の巻き込みがうまくいかず、また活動内容についても、予算決定や学校や社会づくりに対する「参加」の方向にはあまり向かっていない現状が明らかになりました。例年の生徒会大賞の審査状況や、各種の生徒会活動に関する意見交換団体における議論の内容なども踏まえれば、やはり生徒会活動の主軸は文化祭など学校行事の運営と、今回様々な記述があったような地域へのボランティア活動によって占められている、と見ることができます。

もちろん、文化祭などの運営、ボランティア活動等にも大きな学びがあります。しかし、一部の学校行事にとどまらず、学校や社会を作る担い手としての経験を深めるためには、より幅広く、多くの生徒がより主体的に参加できる活動が求められると言えるでしょう。

更に、この点について、これから生徒会活動を進めるにあたっては、毎回活動を行う意味を問い直しながら多数の生徒を巻き込める形を模索し、より広く、より深く、より豊かな学びにつながるような形を検討し続けていく必要があります。この試みは、単に生徒の主体性に期待し機会を提供するのみならず、学級や学年の枠を超えて学校全体で協力した取り組みとして、教師集団全体の協同のもとに行われる必要があるでしょう。特に、確実に実施されているにも関わらず低調な選挙活動などの見直しにあたっては、上記のような視点を取り入れた活動の刷新が必要ではないでしょうか。

また、多数の生徒の主体的な参加とは、全体の計画に沿って、個々の生徒が協力していくことでもなく、あるいは利己的に一部の生徒が自らの主張を通す過程でもなく、生徒会の内部で多くの意見を交換しながら、全体の方向性を常に作り変えていく集団的な営みです。これらの点を留意しながらよりよい生徒会活動を作っていくにはどのような支援が必要か、協会としても協議を続けてまいります。

最後に、今回の調査では、特に予算決定などに際して都立高校に独自と見られる事情が見られました。これらの点をより究明するためにも私立高などにも対象を広げた調査が求められます。また、個別の事例をより詳細に見ていくような質的調査も必要です。これらの点を今後の課題といたします。この度の調査結果を貴重な糧としつつ、協会としても活動を進めてまいります。ご協力いただいた先生方、ありがとうございました。

4.お知らせ

このたび、一般社団法人生徒会活動支援協会では「生徒会活動の実施状況に関する調査2022」を実施することを決定しました。下記要項によって実施しております。

調査期間:令和4年(2022年)2月14日~3月25日
調査方法:質問紙郵送調査又はオンライン回答調査
対象:東京都・私立高等学校全校
問合せ先:一般社団法人生徒会活動支援協会 office@seitokai.jp(公式)

調査をご依頼したい学校様には質問紙などを郵送しております。協会から調査票が届きましたら、ぜひご協力いただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

投稿者プロフィール

猪股 大輝
猪股 大輝
一般社団法人生徒会活動支援協会理事。早稲田大学教育学部卒、東京大学大学院教育学研究科在学。高校生徒会時は生徒会大会(首都圏)を立ち上げ、首都圏高等学校生徒会連盟代表、生徒シンポジウム実行委員などを歴任。