
[私の生徒会履歴書 #001 高橋亮平] 3校が集まることも禁止されていた30年前に千葉県生徒会連盟を設立
本年度より、生徒会活動に関わる高校生にとって、1つの参考になればと、生徒会役員だった方々が、当時どんな思いで、どんな活動をしていたのかを紹介していくことにしました。
「先ず隗より始めよ」ではありませんが、一般社団法人 生徒会活動支援協会の理事長として、まずは、自分から書いて次が続くようにしていきたいと思います。
今後も何度かお書きしていこうと思いますが、まずは第1弾として、当時創設した千葉県生徒会連盟について書いてみました。
経歴 高橋 亮平(元 千葉県立国府台高等学校生徒会長、千葉県生徒会連盟創設) 1992年10月 千葉県立国府台高等学校で生徒会会計就任 1993年10月 千葉県立国府台高等学校で生徒会長就任 1994年 7月 千葉県生徒会連盟を創設 |
生徒会団体や連盟組織が全くなかった時代に、千葉県生徒会連盟を創設
1994年の夏、千葉県内の13校の学校で「千葉県生徒会連盟」を創設しました。

(写真:千葉県生徒会連盟のメンバーと。前列左から高橋亮平、吉田要介)
当時、千葉県立国府台高等学校の生徒会長だった私と、今年から一般社団法人 生徒会活動支援協会の監事にもなってもらった千葉県立東葛飾高等学校(以下、東葛高校)の生徒会長だった吉田要介さんは、お互い生徒会長になった直後の高校2年生だった前年の1993年12月24日のクリスマスイブに、千葉県立小金高等学校と千葉県立薬園台高等学校の役員とともに東葛高校に4校で初めて顔合わせをし、生徒会連盟の構想の話をしました。
3校の学校の生徒が集まることすらも禁止されていた時代
全国大会が毎年行われ、全国各地に生徒会の連盟組織がある現在からは、想像できないかもしれませんが、当時は、顧問の同席なくして3校以上で集まることが禁止されていたりもした、そんな時代でした。
こうした規制は校長会による「三校禁」と言われる3校以上の学校の高校生が顧問の帯同なしで学外であるまることを禁止した申し合わせで、形骸化はされているものの、現在も廃止されずに残ったりしていたりもします。
SNSもスマホもない時代に各学校を回って仲間を集めた
当時は、携帯電話もSNSもなかったため、生徒会顧問に相手の学校にアポをとってもらっては、吉田と2人で県内の学校の生徒会を回って、この生徒会連盟の構想に参加してくれないかと話をしにいったことをつい先日のことのように思い出します。
設立の前には、県内約200校の学校がある中で、自分たちで持ち出せる費用との兼ね合いもあり、選定した上で92校に規約と説明文を送付して賛同を依頼した上で、1994年4月、13校の加盟で「千葉県生徒会連盟」を設立しました。
高校生全体に自由な環境を保障しようと、生徒会の国連のような組織を
当時の僕たちは、「生徒会の国連」のようなものを創りたいと考えていました。
国府台高校や東葛高校など当初集まった高校は、生徒会活動が活発な学校であるとともに、生徒の自由が認められた学校でもありました。一方で、当時の千葉県は「西の愛知、東の千葉」などと揶揄される程に、管理教育と言われるような教育風土の強い地域でもあり、自分たちの学校のように、ある学校では「当たり前のこと」もある学校では全く認められていなかったりする現状に、「千葉県の高校生全体にこういう環境を保障しよう」という姿や、ある学校で「生徒会が民主的なプロセスで決定したことを学校側が理不尽に認めない」ということがあれば、同盟校でサポートにいくことなどを考えたりしていました。当時の新聞記事を見直してみると、以下のようなことが記載されていました。
毎日新聞(1994年7月22日)「生徒会連盟」結成 東葛、京葉中心に13校参加 高校生の考え、意見を社会に訴えよう <略> 呼びかけ人の一人、東葛飾高生徒会長の吉田要介君(17)=3年=は「学校の枠を超えて、高校生の権利を獲得し守っていきたい。各校がより良い学校自治を求め、生徒主導の自治を創造していくためのバックアップする組織になれば」、国府台高生徒会長の高橋亮平君(18)=同=は「生徒会は何をすべきなのかということを高校生自身が話し合う場にしたい。学校側などが生徒抜きで一方的に決めて押しつけることなどに対しては、高校生の考えや意見を広く述べていきたい」と話している。 |
若かりし高橋少年の言葉の青臭さに、恥ずかしさもありますが、一方で、最近の高橋を知る多くの方々からは、「昔から変わらないんだね・・・」などという声が聞こえてきそうな気もします。
ファーストペンギンが次のスタンダードを創る
当時、こうした取り組みがほとんどなかった状況の中で、右も左も分からない中、僕らは学校を超えて集まり、侃々諤々とみんなで議論しながら模索して、連盟を創設しました。
今年出版した『「新しい生徒会」の教科書 ー学校を変え、社会を変えるためのヒントー』でも全国の生徒会団体や地域生徒会などや、その歴史について紹介しましたが、私たちが高校時代を過ごした1990年代は、こうした団体が本当にない生徒会冬の時代でした。
一方で、こうして何もない時代に、仲間たちとファーストペンギンのように行った取り組みは、後の生徒会団体が創設されていくことに繋がりました。
私は、今でもこうした「ファーストペンギン」としてこれまで誰も踏み込んだことのないところにフラッグを刺すことを心がけています。
私たちの「千葉県生徒会連盟」の存在を知った、後に、一般社団法人生徒会活動支援協会の創始者で現在も理事を務める芳賀達也さんが、中学生時代だった2003年に、東京や関東圏などの私立中学校生徒会10校程度の有志で「首都圏中学校生徒会連盟」を組織、その2年後の2005年には「首都圏高等学校生徒会連盟」を創設します。
現在も、全国で様々な高校生たちが、生徒会活動に携わりながら、日々様々な葛藤の中、模索しながら、課題と現実に向き合って活動されていることと思います。
そんな生徒会活動に関わる皆さんには、是非、これまでの常識や前例にとらわれることなく、次のスタンダードとなるような「新しい生徒会」の取り組みを創るべく、ファーストペンギンとして挑んでもらいたいです。
投稿者プロフィール

- 1976年生まれ。明治大学理工学部建築学科卒業。株式会社メルカリ経営戦略室政策企画参事、株式会社ソーシャルフォワード代表取締役、株式会社TBM政策渉外部シニアディレクター、PPP財団客員研究員。中央大学特任准教授、明治大学世代間政策研究所客員研究員、市川市議、松戸市政策担当官・審議監、神奈川県DX推進アドバイザー、千葉市アドバイザー、熊本市生徒会・校則見直しアドバイザーなどを歴任。国民投票法改正案につき衆議院法制審議会で参考人を務めるなどNPO法人Rights代表理事として18歳選挙権を実現。AERA「日本を立て直す100人」や米国国務省から次世代のリーダーとしてIVプログラムに選出。著書に『「新しい生徒会」の教科書』(旬報社)、『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミア新書)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。
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