シティズンシップ教育における「市民」とは?:第4回シティズンシップ教育ミーティング
3月18日・19日の2日間、立教大学(東京・豊島)において日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)主催の「第4回日本シティズンシップ教育ミーティング」が行われた。全国から研究者や現場教員、大学生、高校生などが集まり、シティズンシップ教育における様々な研究実践報告などが行われた。生徒会活動支援協会運営委員の上田と猪股がそれぞれ研究報告を行った。
概要
日程 | 2017年3月18日(土)・19日(日) |
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会場 | 立教大学池袋キャンパス(東京・豊島) |
発表 | 上田 秀麿(運営委員):分科会ゲスト 猪股 大輝(運営委員):実践報告 |
主催 | 日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF) |
共催 | 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科・社会デザイン研究所 |
本表の内容については、J-CEFウェブサイトによる[i]。
内容
3月18日(1日目)は、シティズンシップ教育における「市民像」をテーマに、東京大学の小玉重夫教授、法政大学の湯浅誠教授などが講演を行った後、会場全体で「市民像」を巡るワールドカフェが行われた。講演では「専門家」に対して、独自の視点で参加し専門家と協同して問題解決にあたる「市民」像などが提起され、こうした市民像をもとに様々な対話が展開された。
3月19日(2日目)は、午前中に会場ごとに研究・実践報告が行われ、午後には分科会ごとに別れてテーマごとの報告・議論が行われた。シティズンシップ教育に関する高大接続問題、評価に関する問題、小中高における実践手法に関する問題、社会教育的問題など様々な視点から議論が深められた。
分科会終了後、高校生・大学生発表セッションの時間が設けられ、生徒・学生目線から自分の所属する学校・団体でにおける実践や、普段取り組んでいる研究内容を報告した。本セッションで猪股が行った発表「生徒会活動の歴史-シティズンシップ教育としての生徒会の観点から-」で使用したプレゼンテーション資料はResearchmapに掲載している。
シティズンシップ教育は選挙権年齢が18歳に引き下げられたことを一つの契機として、教育学の様々な領域で議論が一層活発化している。また、次期学習指導要領から高等学校公民科において採用される予定の教科「公共」をどう扱うかといった実際的な問題も出てきている。こうした状況の中で、一般的な、特定領域の専門家が集まる学会ではなく、幅広い年齢層・職層・研究分野にわたる多彩な参加者が集う今回のフォーラムは、まさに1日目に提起された、「専門家と市民の協同的問題解決」という論点の線上にある会ものだったといえるだろう。
生徒会活動支援協会が目指す生徒会像も、こうしたシティズンシップ教育の文脈の中で生徒会を再構成しようとするものである。今後のシティズンシップ教育の発展に期待するとともに、本協会も歩みをともにして活動を進めていきたい。
参考
- 日本シティズンシップ教育フォーラム, 第4回シティズンシップ教育ミーティング, (確認日 2017-03-25)
【文】猪股 大輝/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【写真】日本シティズンシップ教育フォーラム提供
投稿者プロフィール
- 1997年東京都生まれ。桐朋高等学校、早稲田大学教育学部卒、東京大学大学院教育学研究科修了。博士(教育学)。現在、東洋大学文学部助教。高校在学時は総務委員長(生徒会長)、首都圏高等学校生徒会連盟代表、生徒シンポジウム実行委員を務め、生徒会大会(首都圏)を立ち上げる。専門は教育史(生徒会成立過程史研究)、シティズンシップ教育。
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