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外務活動の更なる可能性をめざして:高生連が第2回定例会を開催


8月5日に成城高等学校(東京・新宿)にて、首都圏高等学校生徒会連盟会の主催する「第2回連盟会」が開催された。夏休み期間であることもあり、関西圏・福岡の学校を含め合計14校から32名の参加者が集まった。

連盟会は、「活動報告セッション」、「意見交換セッション」、「グループディスカッション」の3つのプログラムで構成された。

活動報告セッション

活動報告セッション終了後の休憩の様子

活動報告セッションでは、夏休み後に迫っている文化祭などの学校行事に関する準備作業の報告を行う学校が多く目立った。他にも、意見箱の設置を行う学校、学校紹介のプロモーションビデオを作成している学校、会計規約の改正を目指している学校など、分野や話題も多岐にわたり、各々が学校・生徒会の課題に合わせて活動を進めていた。また、活動報告の中で、気になった他校の活動について、参加者は具体的な内容や手順を聞いてメモを取り、自分の学校に生かそうとする積極的な姿勢が印象的であった。

意見交換セッション

今回の意見交換セッションのテーマは「長期休暇期間中に行っている生徒会活動」で、各14校の紹介が行われた。全体的に、夏休み期間中は、学期中にできないような長時間かかる作業・活動を行っている学校が多かった。具体的に挙げれば、成城高等学校(東京・新宿)では冊子体の広報誌の作成を行ったり、海城高等学校(東京・新宿)では「保育ボランティア」を有志の生徒で行い、地域の人との関わりを増やす取り組みをしたりしているという。

一方で、学校によっては夏休み期間が短いということから、生徒会活動を行わない学校もあった。今後やってみたい活動として、多くの学校が共通して挙げたものが「生徒会役員による合宿の実施」だった。合宿を通して、集中的に作業を行う場にしたり、役員間の親睦を図り今後の活動の円滑化を図ったりといった様々な利用方法が挙がり、参加者の中では「合宿を実施」することに関して好評だったようだ。

質疑応答の時間では、特にボランティア活動を行う手順について質問する学校が多くみられ、活動報告セッションと同様、早速取り入れてみようとする意欲が目に見えた。

関西圏からの参加者からは「関西生徒会連盟では私服での参加が多いが、なぜ首都圏高等学校生徒会連盟では制服で参加しているのか」という質問が挙がった。首都圏高等学校生徒会連盟ではあくまで制服を推奨しているだけで強制しているわけではない。会場内は想定外の質問で盛り上がり、参加者の一人からは「学校生徒会として参加をしているので、制服といったフォーマルな服装で参加することにしている」「制服を着用していればどの学校の人か区別できる」といった回答があり、質疑応答を通して地域による生徒会活動の雰囲気の相違が垣間見えた、興味深い内容もあった。

グループディスカッション

今回のテーマは「生徒会役員内での壁をなくすには?」で、4班に分かれて議論が行われた。

1班 常にコミュニケーションを

井村大希さん(立教池袋・高2)のる班では、まず生徒会役員内の「壁」について、「壁=役員間で話しかけにくい・接しにくい」ものという定義を設定した上で、議論を展開していた。その「壁」に対する解決策として、共通の話題を持ち込んで話してみるなど、常日頃積極的にコミュニケーションを取り、距離感を縮めて対人関係を築くことが重要だと結論付けていた。

2班 壁は自然と無くなるもの

深海貴之さん(海城・高2/写真)の班では、生徒会役員内で壁を感じない仕事しない参加者が大半であったが、壁を感じる例としては、「生徒会活動に参画しない人」といった人間関係における「壁」が挙げられた。一方で壁を感じていない参加者の学校では、合宿の実施を行うといった方策を実際に取っているという話が挙がり、その実例を参考にしながら改善方法について議論を通し模索していた。最終的に、「壁」は無くすものではなく、連絡を密取るといったコミュニケーションを通じて、自然と無くなるものであると結論付けていた。

3班 生徒と先生に受け入れやすい身近な生徒会

大浦理愛さん(自修館中等教育学校・4年)の班では、「生徒と先生に受け入れやすい身近な生徒会」が理想的な立ち位置として、その実現方法について議論が展開された。生徒が受け入れてくれる生徒会を築くまでには役員内で協力が必須であり、コミュニケーションを密にとるべく、役員との協力―上下関係、横の関係を状況に合わせながらうまく使い分けたり、役員全員が企画に関わるようにしたりなど、いくつか具体的な方策を考案していた。

4班 情報共有を徹底的に

田附優さん(東大教育学部附属中等教育学校・4年)の班では、生徒会役員内の壁は壁でも、「あったほうが良い壁」と「無いほうが良い壁」の二つに分けて議論が展開された。先輩後輩との壁や、先生と役員との壁は、適度に持つべき壁であるとした。そして役員間の壁、組織間の壁については、無いほうが良い壁だとして、その解決策を模索した議論となった。原因としては情報共有の不足が共通して挙げられ、役員間、組織間それぞれで情報共有の徹底を行うことが必要だと結論付けた。また、同時に先生方と常に信頼関係も築く努力も行うことも必要であるとした。

参加者インタビュー

連盟会終了後、今回関西圏から参加した西出真梨さん(西大和学園・高2/写真)は、連盟会の様子に関して「関西圏の生徒会に比べて生徒会活動のレベルが高く、また連盟会の運営も安定感があり、首都圏の生徒会は先進的だと感じた」と語った。

龍大地さん(神戸龍谷・高2/写真)はグループディスカッションに関して「これまで自分の学校では企画を生徒会顧問に提案しても通り辛い場面があったが、今回のグループディスカッションで、役員全員が企画立案に参画して説得力を上げるのはどうか、という具体策が挙がり、早速実践していきたい」という。

川廣泰人さん(慶應義塾・高2/写真)は「グループディスカッション内で挙がった問題が自分の学校生徒会の現状に当てはまっており、それぞれの問題についての対処方法を、ディスカッションを通じて見つけることができて良かった」と語った。

 

おわりに

今回の連盟会は、各々が生徒会活動の経験を基に、他校生徒会で抱えている問題についてアドバイスし合い、解決策を探ろうとする様子が印象的だった。得たことを学校に「還元」する事目当てだけではなく、自校での経験を「発信」も積極的に行っている様子は、互いの学校生徒会の活動発展に寄与していくという、外務活動の更なる可能性を感じさせるものがあった。

次回は11月3日の開催を予定しているという。13年間の歴史を持つ高生連は、今後もこれまでの伝統を保ちつつ、連盟会の開催を重ね首都圏の学校生徒会活動の進展が図られていくことを期待したい。

【文】千島 洸太/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【写真】栗本 拓幸/一般社団法人生徒会活動支援協会 常任理事

投稿者プロフィール

千島 洸太
千島 洸太
2001年東京都生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会理事。慶應義塾大学総合政策学部在学。獨協高等学校卒。高校生徒会長の任期中に「生徒会組織改革」「受動喫煙防止施策」などに取り組む。2017年度神奈川県高校生徒会会議代表や首都圏高等学校生徒会連盟副代表を務める。第6回全国高校生徒会大会広報部長の在任中には、専門番組『NSCC-TV』の放映に尽力。