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自校流の外務活動の使い方を見つけよう:『「ハムスター」の教えS1』第1回


皆さんこんにちは!『ハムスター』こと、理事の千島洸太です。「ハムスター」という呼び名の所以は、私自身が現役時代に、周囲の方々から「ハムスター」と呼ばれていたことによります(笑)
今回から複数回にわたって、「生徒会OB『ハムスター』の教えS1(シーズン1)」というタイトルで、現在生徒会で活躍している皆さんに向けて、活動の手助けになるようなアドバイスをしていくコラム連載を行います。私自身の経験も踏まえながら、色々なテーマで生徒会活動についてお話し出来ればと思います。この連載を読んで頂いたことをきっかけに、学校の生徒会活動の活性化へと繋がることを願っております。
この記事は2019年3月に執筆されたものです。
生徒会活動は、学校内における本来の生徒会活動を指す「内務活動」と、他校生徒会間との交流を活かした活動を指す「外務活動」に分けられています。すべての学校生徒会がそのような分類で活動しているわけではありませんが、現在は主に首都圏や関西圏といった比較的学校が密集した地域で、外務活動が展開されています。
今回は「外務活動」のお話です。
生徒会関係者の皆さんは必要に応じて外務活動を活用出来ていますか?
外務活動には、「得たことを自校の生徒会活動に持ち帰る」というイメージが強くあると思います。しかし、「還元する」目的以外にも、様々な活用方法を考えることが出来るのです。では実際にどのような活用の方法があるのか。今回は、基本になるであろう3つの方法、『ATC』をご紹介。
『ATC』とは、つぎの3つのキーワードにある頭文字をとって表記したものです。

Absorb(吸収する)

Transmit(発信する)

Compare(比較する)

「ATC」、この字面を見たときに、鉄道又は飛行機好きの方なら「あっ!」と思うでしょう(笑)
それぞれ項目に分けて、今後の外務活動から実践できるよう、例を交えながらご紹介します。
外務活動の使い方については、これからご紹介する内容以外にも人それぞれ考えがあるはずです。
本稿も「1つの考え方」としてご覧ください。

吸収する(Absorb)

何を吸収するのかー外務活動参加に当たって必要な準備

『吸収する』。
これがよく言われている、「得たことを自校の生徒会活動に持ち帰る」という要素に当たるものです。ただ、「持ち帰る」とは言え外務活動を通して何を持ち帰る(吸収する)のか、あらかじめ吟味することが大切です。そして必然的に、吟味する為の判断基準も求められることになります。
「吸収する(Absorb)」のみならず、今後紹介する「発信する(Transmit)」及び「比較する(Compare)」でも大いに当てはまる事ですが、自校の生徒会活動で抱えている問題を分析して、「自校の生徒会には何が足りないのか」課題を把握し、その課題の中で学校生徒会内で十分に解決できる事象学校生徒会外からも意見を取り入れる方が好ましい事象に区別した上で、例えば「課題を乗り越えるにはどのような方策をとれば良いか先行事例を聞く・相談してみる」などと、外務活動へ参加する際に前もって参加目的[目標]を定めておくことが一つ大きなポイントになります参考コラム:内務・外務を捉える)。これが、外務活動で何を吸収するのかの判断基準にもなる訳です。
何かしらのアイデアを得たいのであればより議論に注力したり、他校の活動事例を知りたいのであれば当日積極的に参加者と接触したりと、参加目的が明確に定まっていれば其れ相応の対応ができるようになるので、有意義な時間が過ごせるでしょう。
関連した話を一つ。例えば、あらかじめ参加者に聞いてみる質問項目をあらかじめ設定しておくと、同じ質問項目でも様々な回答が出てきたり、時には一致した回答が出てきたりと、自校の活動にとって参考になるデータが得られるかもしれません。

議論の結論や立案した企画内容自体は重要ではない

多くの外務活動では、活動の場を提供するいわゆる「生徒会団体」によって設定された生徒会活動に纏わる議題で議論を行ったり、議論を通して実際に企画立案を行ったりしています。
そこで繰り広げられる議論や、議論を通した企画立案は、思いもよらない発想や企画が生まれる可能性を秘めており興味深いものです。しかし外務活動は様々な状況下にある学校生徒会の人たちが集結して執り行われている為、議論の結論や立案された企画内容自体をすべて吸収したとしても、一概に自校の活動に適用できるとは限りません。
つまり、議論の結論や立案した企画内容自体は重要ではないのです(参考にはなると思います)。
では何を重要視していけば良いのでしょうか。

議論中で挙がった発想や企画立案の過程を学ぶこと

一つ挙げると、「議論中で挙がった発想や企画立案の過程を学ぶこと」が方法としてあります。
外務活動の参加者の中には議論に慣れている人も多いので、意見が出やすく活発な議論になる場合が多く見受けられます。議論中挙がった意見や発想は、例えば今までにない視点での意見だったり、奇想天外な発想だったりと、今後の活動にとても参考になる良い素材が集まる可能性があります。その素材を集める為にも、「材料を集めるカゴ」として先述でも述べた「あらかじめテーマを定めておくこと」が大切です。
議論を通して企画立案を行う場合は、その企画立案から実現までの過程について学ぶことに意識すると良いでしょう。企画の立案から実現までの基本的な過程については、企画内容問わず共通している部分が多く存在します。
  • どのような手順を踏めば円滑に準備することが出来るのか
  • 取り組むにあたってどのようなことに気を付けたら良いのか
などといった問題は、企画立案から実現までの基本的な過程を学んだ上で、学んだことを自校にて実践、応用し、時には失敗も重ねながら、自校に見合った形を創り上げることが大事です。
このように、外務活動にて習得できる発想や知識を材料に、それを基に自校の生徒会活動に見合った形を追求することが、最終的には発展的な生徒会活動へと歩むことに繋がります。
外務活動を活用するにあたって「外務活動」と「内務活動」は、隔離してはいけないのです。
そして、「外務活動に参加すること」が目的化してしまわないよう注意しましょう
『ATC』の『A』に当たる、『吸収する(Absorb)』としての使い方をご紹介しました。今日はここまで!

【まとめ】『吸収する(Absorb)』

外務活動参加にあたって何を吸収するのか目的[目標]をあらかじめ定めておく(『ATC』の行動起因)
議論の結論や立案した企画内容自体は重要ではない
議論中で挙がった発想や企画立案の過程を学ぶこと
次回は、『T』に当たる、『発信する(Transmit)』としての使い方をご紹介します。次回も是非読んで頂けると幸いです。それではまた。

【文・図】千島 洸太/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事

投稿者プロフィール

千島 洸太
千島 洸太
2001年東京都生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会理事。慶應義塾大学総合政策学部在学。獨協高等学校卒。高校生徒会長の任期中に「生徒会組織改革」「受動喫煙防止施策」などに取り組む。2017年度神奈川県高校生徒会会議代表や首都圏高等学校生徒会連盟副代表を務める。第6回全国高校生徒会大会広報部長の在任中には、専門番組『NSCC-TV』の放映に尽力。