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これからへ向けて考える:招待会議2019


7月15日、慶應義塾高等学校(神奈川・横浜港北区)にて「招待会議2019(主催:慶應義塾高等学校生徒会 招待会議実行委員会)」が開催され、130名が参加した。今回のメインテーマを「保守 vs. 革新:2025を見つめる」とした。その理由について、実行委員長の長谷川 智也さん(慶應義塾・高3)は開会挨拶で「各議題のテーマに対して、保守と革新の双方から切り取って考える機会にしたく、このテーマを設定した。これから行われる2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博。大阪万博の頃には大半の人が就職して働いている頃かもしれない。今回はそんなことも含めた未来を見つめる機会にしたいという意味を込めた」と話した。

毎年の招待会議においては、同校の卒業生を招いての基調講演から始まる。今回は、2006年に卒業した清水映輔さん、明田直彦さん、矢津啓之さん(いずれも当時のOUI Inc.共同創業者/現在明田さんは退社)が登壇した。眼科医として勤務する3人は、起業前からの問題意識として、世界に3600万人の失明者がいることを挙げた。失明の要因で世界1位となる白内障は治療によって救うことができているのにも関わらず、海外特に東南アジアやアフリカにおいては、まだ治療が進んでいないという実情がある。そんな、白内障に起因する失明を少しでも減らすこと、ゼロにすることを目的に2016年7月15日に起業、現在も事業を進めている。

失明者が増える原因は、高齢化や医師不足に限らないが、一番大きな原因は医療機器不足であると分析している。つまり、高額な医療機器を購入する費用が捻出できないということである。日本国内において購入できるとしても、海外の医療機関においてはそれが厳しい。そこで、実際にベトナムを訪れ、現地で白内障手術をする機会を自分達の手で作った。100人の手術を終えて振り返るとスマートフォンの普及率がかなり高かったことを感じたという。そこに着眼点を見出し日本の眼科医院にあるような大きく固定式でしかない医療機器ではなく、眼科医でなくても眼球を撮影し、状況判断ができるようなデバイスを作るという発想になった。その後、医療機器としての開発は1年半かけて完遂したという。

創業する際に気をつけたことは、3人とも共通して、本当に心から信頼しておける仲間を作り、自分が騙されるようなことがあった時に本音で話せる相手かどうかを見極めることが必要だという。また、聴衆の高校生に対して「1万分の1の人材になれているか」と質問すると会場からは手が上がらなかった。そんな高校生に対して、“世界中で日本語ができる高校生”だとすれば、これで3000人に一人というスケールになる。つまり、どこに着目するかを考えると様々な見え方・捉え方ができるようになってほしい、という。

最後に、疑問に思ったらまずは調べること、疑問点を解決することでその先に何があるのか予想すること、1人ではなく仲間と行動を起こすこと、若いからやってはいけないという固定観念を捨てることが必要という。実際、高校時代の成績と社会でのバリューの相関関係は皆無であり、窮地に追い込まれた時に切り抜ける方法は一つだけで、どういう問題があるのかを本音で話す、適切なアドバイスを弁護士や税理士など、本当に自分が信頼できる人に話ができるか、そしてそれができているかが当たり前かつ重要なことだと締めくくった。

主題討論会では、討論テーマを8点設定し、そこから保守・革新の2種類、合計16議題が設定された。各議題での数時間に及ぶ議論の後、テーマごとに2時間の意見交換が行われた。

主題討論会で用意された議題

  1. メディア
    • 紙媒体の良さを再確認しよう
    • 電子化の未来、さらなる進化
  2. 食生活
    • 日本の食事、日本の生活
    • パンのイマドキ!
  3. 教育
    • 昔の方法でもできること
    • 教育のデジタルツール化
  4. スマホと生活
    • 古き良き時代、スマホの必要性
    • スマホの利用価値をあげよう
  5. 地域コミュニティと創生
    • 日本文化の何を継承し発展させていくか
    • 新たな未来都市づくり ~住み続けられる街~
  6. 大学制度
    • 日本の大学でできることを見つけよう
    • ギャップイヤー制度って何? ~上手な時間活用法~
  7. 職場
    • 人と人 ~職場をつなぐもの~
    • AIで仕事はこんなに変わる
  8. 医療
    • 命と倫理、どちらを優先しますか?
    • 化学の発展 ~医療現場に用いるためには~

テーマごとに開催された意見交換会 ではそれぞれの議題の内容をベースにさらに深い議論へと進んだ。「メディア」のテーマでは、媒体の特徴として、電子媒体はアウトプット型、紙媒体はインプット型の情報に強いということも言われた。それは、自分の考えをまとめるのは紙媒体が得意であり、情報の取り扱いとしては電子媒体が得意だということが挙げられた。

紙媒体・電子媒体がもつそれぞれの特徴を理解した上で利用していくこと、その点に配慮しながら情報配信者と利用者の双方が利活用していくことが必要であり、情報の生産者は本質を理解した上で、利活用していくべきという方向で一致した。最後に、情報化に伴う危険性については、リスクを分散化させることも必要であることも付記された。

石塚悠太さん(慶應義塾志木・高1)は、主題討論で「教育」のテーマ“教育のデジタルツール化”のグループで討論を行い、その後の意見交換会では、「革新派」としてディベートを行った。意見交換会では自身の学校での授業の様子を参考に、「デジタルツール化」推進の利点を語った。ディベートの難しさを尋ねると「自分もアナログの利点もよくわかるので革新派として主張するのが難しかった。」と述べた。また、「生徒会活動において、活動することによって得られるビジョンがあって、それを理解することが大切だとわかった。」と1日の感想を述べた。

今回初めて招待会議に参加したという、前田楓花さん(都立小平・高3)は、「食生活のテーマ」“パンのイマドキ!”のグループで討論を行った。衝撃を受けたのは、他の人は、家族で食事を取らないということだという。前田さん自身は、家族で話す機会が少ないことから、家族みんなで食事をしているそうだ。普段は学校で生徒会役員として活動しているが、「一人で行動することが多いが、今日のグループが優しく、雰囲気がとても良かったことで、仲間を大切にすることの大切さを再度感じることができた。」と満足そうに1日の感想を述べた。また、「仲間と協力して今後の生徒会活動も頑張っていきたい。」と今後への抱負も述べた。

今回の招待会議では、あまり普段の学校生活では体験することのない「ディベート形式」の討論が多かったように感じる。そこで重要なのは、いかに普遍的な意見を述べるかである。中には、主観的な意見を全面的に押し出しているグループもあった。この経験をもとに、参加者には今後開催される様々な会議や討論会で活躍することを切に願いたい。

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【文・写真】川名 悟史/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【文・写真】荒井 翔平/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事長

投稿者プロフィール

川名 悟史
川名 悟史
2002年埼玉県生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会運営委員。埼玉県立春日部高等学校在籍。同校生徒会会計、同校文化祭実行委員会会計局。第8回全国高校生徒会大会(NSCC8)経理部長。現在は、生徒会.jpにおける各種イベントやコラム記事の執筆を中心に活動する。