マスコットデザインと図書室の課題を考える:図書館フリーウェイ
6月19日、国分寺市立Lホール(東京・国分寺)で、図書館フリーウェイが開催された。イベントは、都立高校学校司書でつくるネットワークが主催したもので、初回の2013年から3回目となる。開催に当たっては図書館司書の仕事を広く知ってもらうことを毎回の目的においており、さらに今回はイベントのキャラクターが第11回図書館情報展の図書館キャラクターグランプリの図書館サポート部門に入賞したことを記念する趣旨も含めて開催された。
はじめに、都立高校図書委員が選ぶおすすめ本大賞が発表され、上位3位が発表された。これまでの選考では、ライトノベル部門と小説部門を分けて選考いたが、今回からはすべて統一しての方法をとした。また、初回選考として、各校の貸出が多かった98冊を事前にリスト化して選考した。
入賞作品は、大賞として図書館戦争シリーズ(有川浩)、第2位は〈物語〉シリーズ(西尾維新)、第3位は星新一の作品集(星新一)が選ばれた。
第1部では、マスコットキャラクターを作る上でのポイントについて、イベントのマスコットキャラクターを例に実行委員が解説した。その中で、キャラクターのコンセプト設定、どのようにキャラクターを導き出すのかが重要なポイントとなる。イベントのキャラクターである「トリッ・コッコー」は、親しみやすさ・わかりやすさ・何か気になるの3点をコンセプトとして設定し、そこからかわいい・シンプルさ・目立つというイメージを導き出した。
第2部では、公共図書館ボランティアや大学・高校の図書館団体・図書委員会のメンバーによるパネルディスカッションが開催され、それぞれが実施している特徴的な取り組みを紹介し、その後、図書館をどう活性化させていくための課題抽出を行った。大学においては、地域住民を始めとして、図書館の存在やニーズをつかめていないこと、高校においては、パソコンを使わない現役世代への対応が司書側に求められていることや、図書委員では次のステップとして、図書室の認知度を上げる取組を強化する必要があるなどの課題が出た。また、東京都立上水高校では、クラスの図書委員が10冊選書して、学級文庫の取組を行うなど、様々な事例が提示された。
パネラーとして登壇した、島田響貴さん(高3・東京都立上水)はイベント終了後に「学校内のみでの議論だと、意見に大きな偏りが出来てしまうが、全く違う立場の方と一緒に議論できたことで、意見の偏りがなくなったと思う。」と話し、今後については「自分が現役生が出来ない部分においては、サポート役として代役として動いてきたい」と今後の抱負を述べた。また、山縣尚史さん(大学3・帝京)は、図書委員会の高校生に対して「様々なニーズをつかむためには相手に聞きに行くことを忘れないでほしい。」といい、高校生時代を振り返ると「時間に押されすぎ別のことに使っていた。図書委員会には“図書室で時間を使う提案”をもっとしてほしい」といい、現役生に課題を提示した。
【文・写真】荒井 翔平/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事長
投稿者プロフィール
- 1991年東京都生まれ。東京都市大学環境情報学部環境情報学科卒業。一般社団法人生徒会活動支援協会代表理事、一般財団法人国際交流機構理事、私立大学環境保全協議会運営委員などを務める。2009年に生徒会活動支援協会を立ち上げ、生徒会活動に関わる様々な支援に取り組む。2010年に幅広い分野で社会的活動を行う、一般社団法人日本学生会議所を設立。
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