江東区立全24中学校で実施した生徒会活動に関する実態調査
先日、江東区立全24中学校の生徒会役員が集う「江東区立中学校生徒会交流会」についての報告記事を掲載しました。
今回は、事前に江東区立全24中学校で実施した「生徒会活動に関する実態調査」について紹介していきます。
生徒会に関するデータは、全国的なデータはもちろん、地域におけるデータも少なく、今回、調査結果をご提供いただいた江東区中学校教育研究会特別活動部や、回答いただいた各学校にはあらためて感謝申し上げます。また、江東区特別活動部より今回の調査結果を全国の多くの学校の生徒会活動のさらなる発展にご活用いただければとのメッセージをいただいております。
2017年に千葉市で筆者がアドバイザーを務めていた際に、同様に千葉市教育委員会と連携して実施した際の実態調査についてもご紹介しておきます。ご関心がありましたら、こちらも合わせてご覧ください。
それでは、江東区立全24中学校で実施した生徒会活動に関する実態調査についてご紹介していきます。

江東区立全24中学校の日常の生徒会役員による定例会は、週1回程度の実施している学校が11校と最も多く、月1回が6校、適宜実施している学校が7校となっており、1回当たりの実施時間については30分から60分が13校と半数以上を占め、次いで60分以上が9校、30分未満は2校でした。

江東区立全24中学校の生徒会役員選挙の実態については、生徒会長選挙は14校と半数以上が信任選挙で競争選挙は10校でした。副会長を置いている学校で15校が信任選挙で、競争選挙は8校でした。その他の役員については定数が多いということもあるのかもしれませんが、競争選挙が逆に15校と多く、信任選挙は9校でした。

江東区立全24中学校に各学校での生徒会活動で主な成果だと考えているものや特色ある取り組みについても自由筆記で回答をもらいました。系統別にまとめてみたところ、半数近い10校で「行事」についてが挙げられており、あらためて中学校における生徒会活動の中心が行事への関わりになっていることを感じました。次いで4校と多かったのが「委員会活動」と「生徒の主体的な活動」となっており、「主体的な活動」や「意見の吸い上げ」などがどういったものを指しているのかが今回の調査だけでは見えませんでしたが、校則改正などルールづくりや予算への関与など、学校民主主義や生徒自治に係る活動をもう少し実施していってもいいのではないかとの印象を受けました。

特色ある取り組みにある「学校運営協議会に参加している委員との意見交換」や「生徒会長サミット」というのは面白いと思いました。全国でこども議会などは行われていますが、多くは形式的なものにとどまっているようです。こうした現状を乗り越えて、各学校の生徒たちの意見を吸い上げ、自治体内の各学校の生徒会が集まって自治体内の中学生全体の声や要望を区長や教育長、行政や議会などに提案できるようになると生徒会がまさにこども若者参画の柱になっていくのではないかと思っています。

江東区立全24中学校に校則変更についても聞きました。8割近い19校が実施しているとの回答で、実施していないのはわずか5校でした。
ブラック校則の問題などがメディアに取り上げられてきたこともあり、校則改正は全国の学校で実際に実施されるようになってきました。2022年に「生徒指導提要」(生徒指導の指針)の改訂が行われるなど、近年、文部科学省は校則改正に生徒の意見を聞くことを強調してきています。
しかし、調査をしてみると、校則改正の提案や実施は教員が中心のケースが多く、全国的に教員が認める校則改正だけが行われるような状況があったりします。

校則改正の取り組みにおいて、今後ポイントとなるのは、大きく3つあると思っています。1つは今回の調査でも見られたように、教員主導で教員が必要としている部分のみを形式的に生徒の意見を聞いて実施するだけにとどめるのではなく、あくまで生徒主導での校則改正に変えて行くことができるのかどうかという点。もう一つが、他の生徒会活動全体においてもそうですが、この校則改正においても、役員以外の生徒をどう関わらせ「自分ごと化」させられるかという点があります。
その意味では、この実態調査の回答にあった「生徒会本部と各学年委員会・各専門委員長で校則委員会を組織、不定期で委員会開催し、校則の意味や背景も踏まえ、変える内容について影響など考慮し検討、お試し期間や全校生徒へのアンケートも行い試行錯誤している」という取り組みや、「校則の意義などについて、各クラスで生徒会本部役員を含む校則委員会のメンバーが教師役として授業を行った」、「他校の校則の調査、職員会議での起案、先生方へのプレゼンテーション、校則変更に対する教員へのアンケートの実施、校則変更についての全校生徒への連絡」といったといった取り組みなどは、他の学校も参考になるのではないかと思います。
最後に3つ目が、校則改正やそのプロセス自体を仕組み化することになります。学校によっては、こうした校則改正のプロセスが校則に明記されている学校や、生徒代表と学校代表とで協議する連絡協議会や、さらに保護者も加えた三者協議会などが設置されている学校もあります。是非、今後の校則改正の検討の際には、個々の校則改正だけでなく、こうした校則改正プロセスを仕組み化することも考えてもらいたいと思います。

最後に、今回の江東区立全24中学校に生徒会活動における課題も聞きました。自由筆記で回答してもらったものを系統別にまとめてみたものですが、最も多かったのは、現状で行っている活動のPDCAを行い「新たな取り組み」を実施して行くことでした。生徒会活動はどうしても活動が前年踏襲など固定化してしまうことが多く、その結果、生徒会活動に面白みを感じず形骸化していってしまうという傾向があるように思います。これまでの活動を進化させていくというためにも、生徒たちにより魅力的な生徒会活動にしていくためにも、他の学校の実践など先進事例についても知っていくということが重要だと思っています。
また、生徒の多忙化などもあり、役員をはじめとした生徒たちの時間確保などリソース不足は大きな課題になっているようです。役員の質と候補者の確保や、全校生徒の巻き込みなども一緒に考えると、どう特定の生徒会役員だけに固執しない、多くの生徒を巻き込んだ生徒会の仕組みを創っていけるかは、重要な要素のように思います。
また、そうした生徒会を創っていくためにも生徒会顧問をはじめとした教員側の生徒会に関する養成の仕組みやエンパワメント、また、教員だけに依存しない外部人材活用なども考えていく必要もあるのかもしれません。
ちなみに江東区で教員向けに行った研修の中で、最も関心を持ってもらえたのが、ドイツにおける、「教員は授業の持ちコマの一部を生徒会指導に割り当てることができ、実質的なコマ削減になるため、生徒会顧問を担うことが負担にならないようにしている」という事例の共有でした。
また、校則変更の部分でも書きましたが、校則の見直しなど生徒意見を実現させていく環境や体制を創っていくことも、生徒たちに生徒会の重要性や価値を認識してもらうためには重要なポイントだと思います。
今回は、江東区中学校教育研究会特別活動部から交流会での教員向け特別活動部教員研修会の実施のご依頼をいただき、生徒会実態調査の結果を引用し、江東区の生徒会活動の実態を踏まえた研修内容となりました。一方で時間的にもギリギリだったため、できたこととできなかったこともあったため、できれば、こうした取り組みも引き続き、継続して実施していければと思っているところです。
また、今回の記事をご覧いただき、一般社団法人生徒会活動支援協会と連携していきたいという自治体や教育委員会、学校などありましたら、ご連絡いただければと思います。
【文】高橋亮平(一般社団法人生徒会活動支援協会 理事長)