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新春特別鼎談―「生徒会」からもらったもの


生徒会活動支援協会では、2017年の一年間にさまざまな新たな事業を行い実行してきました。今回、事業に参加してくださった生徒会役員3名を招いて、新春特別鼎談を行いました。

ゲスト:八木澤 玲玖さん(栃木県立黒磯・高3)/遠藤 隆太さん(東京電機大・高3)/栗本 拓幸さん(浅野・高3)
司会猪股 大輝(早稲田大学教育学部)
コメンテーター西野 偉彦(生徒会活動支援協会)
写真荒井 翔平(生徒会活動支援協会)

猪股…あけましておめでとうございます。昨年は協会が主催した事業にご参加いただきましてありがとうございました。今回は、これまで皆さんが行った取り組みや協会事業とのマッチング度など、様々お伺いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。

学校の生徒会ではどの様な事に取り組んできたか

八木澤 玲玖さん

八木澤…生徒会活動は高校1年生の7月から高校3年生の10月まで取り組んだ。先生の誘いがきっかけで生徒会活動を始めたが、結果的に3年間副会長を続けた。中学校時代の経験もあり、『色々学校を変えたい』という思いで、校長室への直談判なども行ったが、勉強第一という教職員側の意向もあり、余りうまく行かなかった。地域のために何かしたいなという思いもあった為、今は那須旅という会社を立ち上げて、観光をテーマに活動をしている。

遠藤…深く短く、半年間生徒会長を務めた。大学の付属校という環境を活かした生徒会活動レベルアップに特に取り組んだ。生徒会活動に携わる以前は、スタジオジブリと連携した講演企画や地元の新市長と「若者の街」を作る為の座談会:対話イベントなどと言った地域活動に取り組み、それらの実績がマニフェスト大賞にノミネートされた。

栗本…中高一貫校に在籍し、4年間生徒会活動に携わった。校内では生徒会の体質改善・組織改革及び指定バッグ制度の改善に取り組んだ。校外では生徒会役員有志を集めた全国高校生徒会大会の実行委員長などを務める傍ら、「日本生徒会機構」という、生徒会に関する問題を社会に発出する仕組みを立ち上げ、生徒会を取り巻く環境整備を目的に、文部科学省や校長会等にロビーイングを行った。現在は生徒会活動支援協会の理事として生徒会活動の発展を目指す事業を展開している。

生徒会役員としての悩みあれこれ

西野…今日の鼎談には公立校・私立校、中高一貫校・大学付属校などといった、幅広い属性の学校の生徒会役員が集まっているが、それぞれの特徴的なエピソードを聞きたい。

八木澤…生徒会役員選挙の際に、決戦投票となることを学校側がかなり嫌がっていた他、生徒会予算を自主的に編成したり、増減額したりといった予算に関する活動がなく、活動の幅がかなり狭かったと感じている。

猪股…生徒会予算と一口に言っても、部活動や文化祭・体育祭予算といった、生徒が実際に使用する予算から、施設費などといった、生徒が直接的に使用できない予算まで幅広い。予算の自主編成権の有無、自主編成権を持つ範囲を考察すると興味深い。

遠藤…附属中学からの進学者と高校からの入学者、双方がいる環境であり、後者に属していた私は最初の生徒会役員選挙で惜敗に終わった経験がある。また、学校への愛着心が無い生徒も多く、生徒会そのものに対する関心を失っている状態にあった。生徒会長を務めた任期が半年しかなかった為、生徒会報の刷新などで、一定数の生徒から理解を得ることを目指した。

猪股…具体的にどのような生徒会報を発行したのか?

遠藤…二面刷りで表面には生徒会に関係する情報、裏面には生徒会活動とは直接的な関係性を持たない事柄を載せ、生徒の関心を持つような記事構成を心がけた。

栗本…生徒会活動の中心を担う高校2年生は、9月の文化祭を過ぎると、学校側から受験勉強へ注力する様にプレッシャーをかけられる。その為、例年は9月~任期末の翌年3月は生徒会活動が停滞していた。その状況を打破するために、如何に運用しやすい制度設計をするか、負担の少ない役員業務を実現するかに腐心した。

西野…特に進学校では、生徒会活動と受験の兼ね合いを学校側は気にすることが多い。その意味においても、活動に関わる煩雑な業務を如何にコンパクトにするかは重要なポイントとなる。

生徒会を続けるモチベーション

遠藤 隆太さん

西野…生徒会活動を始めた際のエピソードとは。

遠藤…それまで続けていた地域活動の延長線上として生徒会活動を捉えており、学校外の経験を学校内で活かすことができるのではと考えた事がきっかけ。選挙で落選を経験した際の悔しさをバネに、次の改選時に当選を果たした。

八木澤…高校に入学した当初は全く異なる部活動に所属していた。しかし、ある日に突然放送で呼び出され、半ば無理やり説得を受け、選挙に立候補することとなった。

栗本…小学校時代、友達と”国ごっこ”や”会社ごっこ”をしていた経験があった為、『組織』というものに漫然とした関心があった。中学校入学後に生徒会活動を知り、各クラスから選出される”生徒議会議員”を務めた事がきっかけとなった。

猪股…前テーマでも触れた様に、各々が悩みを抱えながら生徒会活動に継続して取り組んできた。そのモチベーションとは何だったのか。

八木澤…中学生の時にクラス委員を務め、その経験が『学校を変えたい』という思いの源泉となっていた。生徒会役員を務める中で、公立校の守旧的な体制の弊害を身をもって感じ、学校を変えたいとの思いをより一層強くしていった。

遠藤…学校への愛着心が低い生徒が多い中で、広報活動などを通して生徒会への共感を増やしていくことに楽しさを見出していた。

栗本…4年間生徒会を見てきた事もあり、各所に課題を見出していた。それらの課題を次世代へと転嫁していく事に限界を感じていた為、可能な限り自身の世代で課題を解決したいという思いがあった。

西野…自己実現のモチベーションの他に『公の為に難しい課題にも立ち向かおう』という意識を各々の中に見出すことができるのではないか。生徒会活動は主にリーダー向けと言うことも出来る。

猪股…万人向けとは思わないが、個人主義的ではないモチベーションを身に着ける事が出来るという可能性が生徒会にはあるのではないか。

受験と生徒会活動

栗本 拓幸さん

西野…今日の鼎談に参加している3名はいずれもAO入試で進学先を決定したが、そもそも生徒会活動と学力に関係性はあると考えているか。

八木澤…身の回りにはそのような生徒が多い。昨年立ち上げた”みらとち”という団体のメンバーにも、活動を始めてから成績が上がったと話す者もいる。現に、自分自身も成績が向上した。

遠藤…生徒会活動を通して、タスク管理能力などといった勉強に活かすことが出来る能力は培うことが出来ると思うが、それらの能力を実際に勉強へ活かす時間的余裕がなかった。

栗本…遠藤さんと同意見。確かに様々な能力が底上げされた実感はあるものの、生徒会活動にはキリがなく、能力が上がることで生まれる時間的余裕は生徒会活動へと費やしていた。

猪股…AO入試と生徒会活動の関係性をどう考えているか。

遠藤…大学に出願をした際、提出した資料などの中で殆ど生徒会に関する記述はしていない。もちろん、生徒会によって培われた能力があることは確かだが、培われる過程が生徒会活動である必要性はないと考えている。

八木澤…自身が受験したAO入試にはプレゼンテーションがあり、その中では現在取り組んでいる観光業に関する内容のみを取り上げた。但し、原点は生徒会活動にあると考えており、生徒会活動が自身を作ってくれたと言っても過言ではない

栗本…資料等の中で自身が持つ背景の1つとして記述はしたものの、大きく打ち出してはいない。生徒会活動はあくまでも原点の1つに過ぎない。また、生徒会活動そのものが評価されるとは考え難い。生徒会活動などを通して育まれる能力など、人間性を総合的に評価するのがAO入試の本質ではないか。

遠藤…結果として生徒会活動に取り組んだ生徒がAO入試で合格する場合もあるかもしれないが、生徒会活動をしたからといってAO入試に合格できるという事はあり得ない。

西野…今、自分自身の仕事の原点について振り返ると、中高時代の生徒会活動にあると感じている。物事に対する多様な見方やプロジェクトマネジメント能力など生徒会活動で学んだことが根幹となっている。

猪股…生徒会活動が絶対的なものでない一方で、高校生活のオプションとしては非常に有益であると考えている。生徒側・教職員側双方とも生徒会を腫れ物扱いせずに、向き合っていくことは大切ではないか。

今後の見通し

八木澤…大学では与えられた環境を活かし、様々な事を学んで行きたい。また、2019年のラグビーW杯、’20年オリンピックパラリンピック、’22年栃木国体などが控えているので、旅行関連の資格も取りたいと考えている。

遠藤…地方創生が大きなテーマであり、特に「如何に公民館を自律的に運営していくか」という課題について研究したいと考えている。各地域に存在する公民館には多様な人が集うため、可能性が大きいと考えている。

栗本…大学では安全保障、若者の政治参画、統治機構・電子政府、教育の4分野に関して横断的に学んだ上で、特に安全保障について研究をしていきたい。

合宿に参加して

猪股…2017年夏の「高校生徒会リーダー夏合宿in松下政経塾」に参加してどうだったか。

八木澤…本当に楽しかった。合宿プログラム自体は勿論のこと、夜遅くまで社会問題などについて議論することが出来る同世代の参加者と知り合う事ができた。この繋がりは高校時代だけではなく、大学生活や社会人生活でも確実に活きるのではないか。

遠藤…松下政経塾は決して”政治家志望”の人のみが集う場所ではないので、より多くの高校生に参加して欲しい。

日本生徒会大賞について

西野…2017年に実施した日本生徒会大賞の存在意義をどう考えているか。

遠藤…それまでは腫れ物扱いされていた生徒会だったが、受賞後は目に見える形で先生やOBからの反応が変わった。学校内で生徒会の地位を向上させるものとして、大きな意義を感じている。また、大賞に応募する際には「自分自身の生徒会活動を振り返り、文章化する」というプロセスが欠かせないが、そこから得るものも非常に大切なものであるのではないか。

猪股…今日は本当にお忙しい中、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

全員…ありがとうございました!

投稿者プロフィール

荒井 翔平
1991年東京都生まれ。東京都市大学環境情報学部環境情報学科卒業。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、一般財団法人国際協力機構理事などを務める。2008年、生徒シンポジウムの企画発案者として副実行委員長を務める。そのメンバーで2009年に生徒会活動支援協会を立ち上げ、生徒会活動に関わる様々な支援に取り組む。2010年に幅広い分野で社会的活動を行う、一般社団法人日本学生会議所を設立。