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日本生徒会大賞2018の審査結果について


生徒会.jp(一般社団法人生徒会活動支援協会)では、このたび日本生徒会大賞2018を開催いたしました。多数の応募から審査委員会を開催し、日本生徒会大賞を個人・団体・学校に各1点、優秀賞を団体2点、特別賞を個人・学校に各1点、奨励賞を個人2点・団体2点を授与することが決定いたしました。ここに審査結果をお知らせいたします。なお、その他応募された皆様にも生徒会活動賞が授与されます。

受賞者のみなさま

受賞者(敬称略・順不同)
日本生徒会大賞2018 (個人の部) 李 彩那(法政国際)
(団体の部)
  • 戸山地区高校生徒会連盟
(学校の部)
  • 筑紫女学園高等学校 筑紫会執行部
優秀賞 (学校の部)
  • 桃山学院自治会執行部
  • 神奈川県立市ケ尾高等学校生徒会
特別賞 (個人の部)
  • 千島 洸太(獨協)
(学校の部) 東京都立桜修館中等教育学校自治会
奨励賞 (個人の部)
  • 五十嵐 誠(東京都立八王子東)
  • 井澤 大樹(城北)
奨励賞 地域参画推進賞 (学校の部) 静岡県立小山高校生徒会
プロジェクト推進賞 (学校の部) 海城高校生徒会執行部

評価に際して

本大賞については、募集要項に基づき応募したすべての団体・個人の書類・添付資料を評価者が確認し、審査委員会において賞の対象者を決定した。

評価理由

(1) 日本生徒会大賞2018

個人の部:李 彩那(法政国際)

学校の組織形態が大きく変わる中で、確かなリーダーシップにより独自の校内自治に果敢に挑戦した点について、高く評価される。特に、速やかに課題を認識し、「将来構想委員会」を設立して、生徒と教職員の合意形成を図ったことに対する評価は著しく高い。加えて生徒会員の誰もが関係する「授業」の在り方についても問題意識を持ち、内外にむけて多くの取り組みをした姿勢にも好感が持てる。以上の事項を総合的に判断し、大賞を授与するに至った。

団体の部:戸山地区高校生徒会連盟

地域に根ざした生徒会連盟であるという特性を生かし、活動の幅を広げている点について高く評価される。特に、保育ボランティアやゴミ拾いという公益に資する活動が目立ち、単一の高校では難しいと考えられる点についても相互に支援しあって活動を継続していることなどを総合的に判断した結果、大賞を授与するに至った。

一方、各々の学校における生徒会活動の還元に資する活動についての記述が少なかったように見受けられる。今後、活動を発展させていく中で、より多くの生徒が利益を享受できるような仕組みづくりや取組を行なっていくことが期待される。

学校の部:筑紫女学園高等学校 筑紫会執行部

内務活動、地域貢献活動、他校との関わりといった幅広い生徒会活動に取り組んでいる。さらに個々の政策の質が高く、それらを持続させるための工夫が随所に見受けられる活動報告だった。特に、三送会の実施について生徒会執行部が主体となって綿密な計画を立て、実行に移したことについて高く評価した。こうした評価点を総合的に判断し、大賞を授与するに至った。なお、政策の質が高い分、より細かな課題分析をすることで、さらに活動の質が上がるものと考えられる。今後のより一層の活躍に期待する。

(2) 優秀賞

学校の部:桃山学院自治会執行部

自治会活動に割ける人的資源の限界を認識した上で、その中で出来ることを確実に実施していったことについての評価が高い。また、服装規定や文化祭日程など自治会員の利益を主眼に置いた活動は、生徒会活動の本質に重なるところがある。以上のことより、優秀賞に相応しいと判断した。これまで、取り組んだ政策について、実行した後の課題分析を行うことで、より継続的で質の高い活動ができると考えられる。今年度以降、PDCAサイクルを以て政策評価する水準に到達されることを期待する。

学校の部:神奈川県立市ケ尾高等学校生徒会

生徒会役員選挙について、選挙管理委員会と連携した本格的な選挙の実施は、「18歳選挙権」の導入に伴う主権者教育のモデルケースであり、全国に対して主権者教育としての生徒会活動の可能性を提示するという点で評価が高い。また、市ケ尾ユースプロジェクトや近隣高等学校生徒会との情報交換など地域社会の参画に積極的に貢献している点についても、評価した。以上により、優秀賞を授与することを決定した。一方で、こうした活動について、提出された資料では、市ケ尾高校生徒会がどの程度イニシアチブをとっているのか、やや不明瞭な印象も受けた。今後は、市ケ尾高等学校生徒会のより主体的な姿勢に期待したい。

(3) 特別賞

個人の部:千島 洸太(獨協)

個人としての活動実績が豊富であり、かつその中身も洗練されたものが目立つ。特に、校内業務についての抜本的な改革と生徒会員に利益の発生するシステム構築や取組について、細やかに実行されている点について高く評価される。例えば、「傘貸し出しシステム」において、傘に個別番号をつけることで取組の持続性を保つことができた。また、校内禁煙については昨今の受動喫煙に対する懸念を理解した上で、問題点を明示し実行に移したしたことについても評価できる。このような質の高い取組と外務活動の紐付けも明確であり、個人としての活動の一貫性があると認められた。上記を総合的に判断した結果、特別賞を授与すべきであるという結論に至った。

結果、個別具体的な政策を定量的に測定することは可能だが、それらの質的分析は難しい可能性があることが指摘される。活動を総括する際、それぞれの活動に明確な課題分析とその改善策を思考することで政策はより洗練される。この作業がいつ、どこで、誰がなすのかが極めて不明確であった。結果、個人としての活動のうち生徒会員の利益となって還元されるべき要素が矮小化してしまうリスクがある。受賞者には、ぜひそういった点について認識して、今後につなげていかれることを期待する。

学校の部:東京都立桜修館中等教育学校自治会

生徒一人ひとりの自治に対する意識が非常に高く、自治会が行うべき業務の大半に教職員が介在せず活動している点について、評価される。また、組織体系を明確にしたことにより、自治集団としての活動の正統性を高め、かつ効率的な業務の遂行が可能にした点などを総合的に判断し、特別賞を授与する。その一方で、活動の視点が「自治」に偏りがちである点も指摘される。自治そのものが生徒個々人の利益に繋がることは確かである。しかしながら、提出書類が自治会としての活動が構造改革や効率化に終始する印象が見受けられた。より個別具体的な政策を実行することで、さらに自治意識が向上し、質の高い活動を行うことを期待する。

(4) 奨励賞

個人の部:五十嵐 誠(東京都立八王子東)

会計担当としてその業務を抜本的に見直し、効率的・合理的なものに変革していった点は高い評価に値する。また、こうした活動を始め、在籍する高等学校の生徒会活動のマンネリ化に問題意識を持ち、外務活動へと活動の幅を広げたことも評価できる。生徒会活動の正統性と質の高さを示すものであると判断し、優秀賞を授与するに至った。

全体を通して、生徒会活動により、生徒会員と生徒会役員に便益が生じたという展開が示されているが、特に「生徒会員」の便益についての記述が定量的ではないことが指摘される。例えば、『「会計担当者の手引き」に手続きの日程の追加』を行ったことで年100枚のコピー用紙を削減できたとあるが、余剰の100枚はどのような合理的な利用がされたかが示されていない。今後は、生徒会員の利益についても更に明確に示されることに期待したい。

個人の部:井澤 大樹(城北)

「体育着」という、全生徒にとって学校生活において不可欠な道具について問題意識を持ち、その改革についてスピード感のある行動と綿密な計画への評価は高く評価する。更に、生徒会員と教職員の調整など全校的なコンセンサスの形成に尽力し成功した姿は、生徒会活動のモデルケースになりうる。また、この一連のプロセスを通し、生徒会役員としての認識の変化について謙虚に記述し、その経験を次世代に繋いでいく意思を持っていることなどを総合的に判断し、奨励賞を授与するに至った。

その一方、活動における非合理的部分が際立ってしまった。例えば、2,000人の一斉アンケートを10人で処理することについて、骨が折れたと記述しているが、より業務を簡便化させるために、他に考えられる施策もあったのではないか。こうした指摘を含め、施策の実現についての課題分析をより綿密にすることで、受賞者が苦労した点について次世代の生徒会に活きるよう、今後の活動に期待したい。

学校の部【地域参画推進賞】:静岡県立小山高校生徒会

地域参画について、学校所在地の抱える課題を捉えた上で、主体的に活動しようとする意思が見られる活動であり、その成果も著しい。生徒会活動を通じて、「足柄ふれあいバーベキューガーデン」が実現するなど、実際の行政に影響を与えていることが見て取れる。生徒会が地域社会に参画するモデルケースは数多く見られる中で、当該校の活動はまさに他校の範となりうる内容である。こうしたことから、奨励賞(地域参画推進)を授与すべきであるという判断に至った。

地域に積極的に貢献している姿が印象的であったが、それ以外の日常的な活動については充実度が気になるところである。大掛かりな地域参画を実施している分、学校自治組織としての生徒会業務にどこまで人的資源を投入できているか、やや懸念される。こうした点について、さらに邁進されることを期待する。

学校の部【プロジェクト推進賞】:海城高校生徒会執行部

BCTJというNPO法人の活動理念に賛同し、学校レベルで可能なボランティア活動についての検討を重ね、政策を実現した点について評価される。取組自体もさることながら、当該生徒会の政策の実行力には目を見張るものがある。活動を計画・実行した上で、課題まで分析することは、生徒会活動のプロセスにおいて必要な手順であり、それらを全て含有しているポイントについて高く評価するものである。こうした理由から、活動奨励賞(プロジェクト推進)を授与すべきであるという判断に至った。活動の質が高い一方、ボランティア活動以外の日常における活動がどの程度取り組まれているのか、資料だけではやや不明瞭である。ボランティア活動以外の生徒会活動についても、より高いレベルでの実行力を期待したい。

日本生徒会大賞とは

日本生徒会大賞は、全国各地の学校生徒会・生徒会団体・生徒会役員を対象としています。生徒会の活動内容やシステムなどを評価することによって、生徒会活動が持つ本来の意義を再確認し活性化させることを目的とした賞です。今回多数の審査対象から受賞が決定いたしました。

今後も継続して日本生徒会大賞の開催を計画しております。詳細が決定いたしましたら、生徒会.jpにてご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。