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「外務活動」とは何であるか:「外務・内務を捉える」第1回


連続3回で外務と内務の捉え方を俯瞰することをテーマに据えたコラム「外務・内務を捉える」を配信いたします.これまで,生徒会活動の展開の中で「外務活動」というワードが多用されていましたが,改めてその定義を確認するとともに,どのように向き合っていくべきかを考えます.

「外務活動」の定義を再確認

はじめに「外務活動(以下,外務と表現する)」の定義を共有しておきたいのですが,ここでカッコをつけたことには意図があります.そもそも外務活動という言葉は公式に生徒会活動が語られる際に用いれているものではありません.任意の人々によって,ある意味で恣意的に意義を持って共有されている言葉です.したがって,筆者は外務活動の定義や意義は時代と共に変容していくものであると個人的には考えています.その為にカッコをつけ,定義を共有しておくこととしました.

では,昨今特定の生徒会団体に所属する生徒会役員の間で共有されている定義とは何なのでしょうか.それは「生徒会本部役員が他校の役員と交流すること」です.具体的には,所属している生徒会団体の連盟会(意見交換会)に参加したり,任意の学校同士が個別的な目的を設定して交流会を行ったりするような活動のことを指します.文部科学省は高等学校学習指導要領解説の中で次の通り記述されており,外務という言い方は存在せずも外務の指す活動自体は推奨されています.つまり,校内の活動のみにとどまることなく,他校との相互交流を図り,自主的・実践的に活動することは教育的意義があると,文部科学省が認めています.

家庭や地域の人々との連携,社会教育施設等の活用などを工夫する 生徒会活動は,校内の活動はもとより,校外にも目を向けて,自主的,実践的に活動 することに教育的意義がある.そこで,必要に応じて,校内の活動のみでなく,他校との相互交流を図ったり,地域社会との連携を深めたりするなど,校外での活動への広がりを図るようにすることが重要である [i]

これまでの,外務や生徒会団体の源流,今日に至るまでの経過については“2000年代の日本における生徒会団体の展開と課題”をご参照ください.

活動の意義

外務が生徒会活動にもたらしたものとは何であったのでしょうか.端的には「新しい視座の獲得」であったと言えます.少し抽象的な話になりますが,外務を知る以前の私たちにとって生徒会活動とは学校内における活動のみであり,思考がその枠を出なかったはずです.しかし,外務が登場したことによって相対的に今までの活動は「内務活動(以下,内務と表現する)」となりました.つまり,私たちは外から学校内における生徒会活動を見ることが出来るようになったのです.加えて,生徒会団体に所属して連盟会に参加したり特定の学校と交流会を行うことによって,様々な形態の生徒会と自校の生徒会とを比較出来るようになりました.

中学生・高校生当時,私は関西の中高一貫校に通っており,中高で1度ずつ計2年間生徒会本部役員を務めました.中学では外務の存在すら知らぬままに任期を終え,高校の活動の際には1年間外務に大いに熱を注ぎました.前者においては活動に特段欠陥があったわけではありませんが,ルーティンワークをこなすだけで1から主体的に行った実績を残せずに不甲斐なく終わってしまいました.しかし内務と並行して外務にも熱を注いだ2度目の生徒会活動では,新しい取り組みを行ったり既存の生徒会システムを見直すことが出来ました.これら全てにおいて結果を残せたわけではありませんが,他校の生徒会との交流や比較によって得られた批判的な見方とインスピレーションによって,1年間常に課題を見つけ向き合い続けることが出来ました.これこそが主体的な生徒会の在り方ではないでしょうか.

外務に取り組むことは,自校の生徒会を多面的に見て批判をしたりその時のニーズに合ったものを創造するアイデアを生む機会を与えてくれる点で意義を持っているのです.

今後の可能性

最後に,これからの外務の可能性を紹介します.ここでキーワードとなるのが生徒会活動支援協会が提示している「新しい生徒会」というものです.これについて詳細は協会の概要ページなどを読んで頂きたいのですが,端的には言えば若者の参加社会をつくる上での基盤となる可能性を持つ生徒会活動のことです.殊に本コラムでは外務活動に焦点を置きます.周知のとおり,18歳選挙権の導入以降私たち若者の社会参画を重視する気運が高まっています.そこで機能するものとして協会は生徒会活動を重視しています.というのも,本来生徒会活動とは指導の対象であり,学校の中で主体的に社会参画のアクションを起こすには限界があるからです.そこで地域の生徒会団体は若者の活動の拠点となり得ます.生徒会団体には多くの学校の生徒会役員が集まる為,学校の制約からある程度解放された状態で活動をすることが可能となり,これが街づくりと言った形で社会参画に寄与します.

このように,外務活動は学校を良くする為の生徒会活動に留まらず,社会の中でも評価される可能性を有しているのです.しかしながら,この可能性は現役の生徒会役員が主体的に活動をしてこそ実現されるものであるということと共に強調されなければなりません.

外務の意義や可能性は上記の限りではありません.生徒会役員それぞれが新しい意義づけ,可能性の発見を行うことが外務延いては生徒会活動の発展に欠かせないことを強調して第1回を締めたいと思います.

参考

  1. 文部科学省(2018),『高等学校学習指導要領解説 特別活動編』,p.76

【文】楠瀬 千尋/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【写真】2017年に開催された「全国高校生徒会大会 Kansai edition」(撮影:荒井 翔平/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事長)

投稿者プロフィール

楠瀬 千尋
1999年奈良県生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会運営委員。奈良女子大学附属中等教育学校卒業、早稲田大学教育学部に在学。