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生徒主体の自治から“全校参画”へ:第9回日本生徒会大賞 大賞受賞者インタビュー

生徒主体の自治から“全校参画”へ:第9回日本生徒会大賞 大賞受賞者インタビュー


連続企画でお送りしている「第9回日本生徒会大賞」大賞受賞者インタビュー。

4回目の今回は、中学生の部で大賞を受賞された岡山大学附属中学校の皆さんへのインタビューをお届けします。

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インタビュー参加者

〈インタビューイー〉

  • 吉田 早希 さん/岡山大学附属中学校 生徒会長
  • 板東 郁仁 さん/岡山大学附属中学校 生徒会広報担当
  • 木村 祐香 先生/岡山大学附属中学校 生徒会顧問

インタビュー

自治の土壌が整った学校がさらに発展する取り組みを実施

第9回日本生徒会大賞「中学校の部」で大賞を受賞した感想を聞かせてください。

吉田:昨年から準備していて、今年チャレンジできたことが嬉しく、本当に嬉しいです。

板東:想定外という言葉しか浮かびません。大賞は取れましたが、正直後悔も残ります。質問に対する回答がうまくできていなかったり、もっと言えることがあったのではないかと思う部分があります。ただ、これは今後の生徒会活動にも活かせると思うので、今回学んだことや他校の事例も含めて学べたことは収穫でした。

生徒会大賞に応募したきっかけを教えてください。

吉田:生徒会大賞を知って、ぜひ出したいという先輩がいたのですが、その時は締め切りがギリギリ過ぎて応募できませんでした。それが私たちに引き継がれた時に、生徒会執行部は裏で働くことが多いのに、すごいことをやっていても生徒にはあまり知られる機会がないという課題がありました。自分たちの生徒会活動をより良くしていきたい気持ちもあったし、他の学校との交流もさせていただいていたので、アドバイスや自分の学校の特徴を他校と比較しながら知ることができればと思い、応募させていただきました。

応募当初は「決勝大会に来れるとは全く思っていませんでした。(板東さん)」というほど謙虚でしたが、結果として最高位の大賞を受賞することとなりました。

どのような点が評価されたと思いますか。

吉田:基盤作りというか、生徒の声を聞いたり話し合いを重ねたりすることをメインでやってきました。特に会議法の改正では、執行部だけでなく生徒委員長や副委員長も関わって、報告時間の短縮や時間の有効活用を図りました。法的な視点だけでなく、構成的な視点で少数意見と多数意見のバランスを考えながら試行錯誤してきた点が評価されたのかもしれません。

同校は元々自治の土壌が整った学校でしたが、「これらは実際、うちの学校では当たり前のように行っている活動なので、それにプラスして目安箱の設置などを行い、さらに活動を増やしていくことを重視しました。(板東さん)」と、既存の良い土壌をさらに発展させる取り組みを重視していたことが特徴的です。

身近なことの実現で委員会間の連携を強化 具体的にはどのような取り組みを行いましたか。

同校では、デジタル化されていた目安箱を紙のアナログ形式で復活させるという取り組みを行いました。

吉田:Google Formsは執行部側からすると情報の整理や収集がしやすく、生徒もパソコンで家でも休み時間でもできるという利便性があります。しかし、紙には気持ちがストレートに伝わるという良さがあります。目安箱が置いてあることが生徒会活動の象徴となり、日々目にすることで自治意識も関わってくるでしょう。目安箱をより身近なコミュニケーションツールにしたいと思い、復活させました。 この目安箱から実際に寄せられた要望として、ハンドソープの改善、自動販売機へのペン設置、会議法の改正という3つの取り組みが生まれました。

ハンドソープの改善について具体的に教えてください。

「ハンドソープの容器が老朽化し、使いにくい」という意見から、ハンドソープ容器の改善に向けた動きが生まれました。

板東:委員長と仲が良いので相談したところ、保健委員の担当だと分かりました。保健委員長と話をすると快く承諾してくれて、先生に相談することになりました。学校を変えることが意外と気軽にできるのだと感じ、連携が深まったという点でとても良い経験でした。

小さな取り組みでしたが、委員会間の連携を深めるきっかけとなった事例として印象に残っているといいます。

会議法の改正し全15クラスが会議法を使用

会議法の改正という大きな取り組みについて教えてください。

板東:会議法の改正は同校の大きな成果の一つです。「現在、学校では各クラスでの学級討議を充実させる取り組みが行われています。クラス内にプロジェクト係を作り、簡易的な企画書を作成して学級討議で話し合いを行うという取り組みです。学級討議の回数が今年度から急激に増え、そこで会議法が使われています。昨年まで会議法を使っていたクラスは1クラスだけでしたが、今は15クラス全てが会議法に則って行っています。

この改正により、少数意見も尊重される話し合いの文化が学校全体に浸透したといいます。

生徒会活動を継続していく上での課題はありますか。

吉田:執行部6人はそれぞれ個性豊かで、得意分野も違えば忙しさも人それぞれです。そのため仕事が特定の人に偏ってしまうことが課題です。長期的な見通しを持ったスケジュール管理をGoogleカレンダーで行い、みんなが見通しを持って活動できるようにすることが今の課題だと思います。

これ以外にも、活動の継承についても課題意識を持っており、「実行前の計画と実行後の振り返りを大切にしています。イベントがあった時は執行部全員で振り返りを行い、良かった点だけでなく反省すべき点もしっかりと共有して次に繋げています。企画段階からのプロセスをすべてGoogleドライブで管理し、次世代に繋げていくためにも、プロセスや証拠をエビデンスとして残していくことが大切(吉田さん)」という工夫を行っています。

将来的に全校生徒の参画に。他校や地域との関わりも増やしたい

今回の受賞を通じて学んだことはありますか。

吉田:他校や地域との関わりを増やしている学校が多いと感じました。私たちはあまり外に出ることがなく、基盤作りで精一杯だったところもありますが、外に出ることで自分の学校の特徴を知り、自分たちを見つめ直すきっかけになると思います。

板東:他校の事例を聞いて、うちの学校は執行部に仕事が偏っているので、委員会同士の連携が重要だと感じました。各委員会にも執行部の活動内容を共有し、専門性の高い分野は各委員会に協力してもらうことで、執行部がアイデアを実現できる時間を作ることができると思います。学校全体が意欲を高めて連携できるようになれば、将来的には全員の行動・参画によって構成される学校になれるのではないかと思います。

担当の木村先生から見た生徒会の特徴を教えてください。

木村:本当にいろんなことを生徒主体で行っています。生徒会担当の先生はいますが、役員会議で出たことを報告してもらう程度で、生徒たちがきちんと自分たちで対応するシステムができています。

教員の立場から見ても、生徒の自主性の高さが際立っているといいます。今後については「やりたいと言ったことにはチャレンジさせてあげたいですし、面白いと思った取り組みを自分たちの学校なりにアレンジして還元できる力があると思うので、そういう機会を大切にしたいと思います。(木村先生)」と、生徒の可能性を信じて支援していく姿勢を示されました。

同校の生徒会活動は、既存の良い自治の土壌をさらに発展させ、アナログとデジタルを使い分けた目安箱の運用、会議法の改正による民主的な話し合い文化の浸透など、基盤づくりを重視した取り組みが特徴的です。生徒主体の活動でありながら、きめ細かな振り返りと記録の蓄積により、持続可能な生徒会運営を目指している点も評価できます。今回の大賞受賞を契機に、同校の取り組みが全国の中学校生徒会活動のモデルケースとして参考にされることが期待されます。


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【大賞受賞者インタビュー】

 

【文】荒井 翔平/一般社団法人生徒会活動支援協会 常務理事
【インタビュアー】吉水 隆太郎/一般社団法人生徒会活動支援協会 常務理事
【写真】猪股 大輝/一般社団法人生徒会活動支援協会 専務理事