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若者代表として社会に寄与するLSU:スウェーデンから私たちは何を学ぶことができるか 第2回


2月12日~18日の日程で、生徒会活動支援協会理事の栗本がNPO法人わかもののまち静岡の皆さんと一緒にいわゆる若者政策や若者の社会参画をリードしていると言われるスウェーデンを訪れています。その模様を断続的にお伝えしていきます。

LSU(全国青年協議会)は若者を代表する組織

LSU(全国青年協議会)はスウェーデンに存在する全国規模の若者団体の「傘」となる組織です。第1回コラムでも紹介した通り、スウェーデンにおいては若者の社会参加を推進することを目的として、一定規模以上、具体的には直接的に参加する若者が1,000人以上である団体に対しては、政府機関である若者市民社会庁が助成金を拠出しています。一方で、資金面が潤沢になろうとも、若者はスウェーデン国内においても“強い”立場の存在ではありません。政策決定など社会全体に対し、その様な若者達の声を反映をさせる為の連合体として、そして若者たちが運営する団体の各種支援を行うためにLSUの活動があります。LSUは公的機関からスウェーデンの若者を代表する組織として認識されており、影響力を有しています。

インタビュー

インタビューに応じていただいたHannahさん

2月14日、LSUの事務総長であるHannah Andrenさんに直接インタビューをする機会をいただきました。以下は対談形式でお伝えしていきます。

Hannahさんは元々LSUに加盟する教会全国組織で活動をしていましたが、その後LSUに参画。LSUの副代表を務めた後、2015年に事務総長に就任されました。

LSUの活動について

LSUには2つの役割がある。1つは若者に関連する政策のアドボカシー(提言)、もう1つは傘下にある団体の組織の能力の向上である。前者に関して、政府は我々のことを信用していて、政府機関とも良い連携を保っている。LSUは若者に関する政策に関して影響力を保持している。子どもの権利条約をスウェーデン国内で法制化する際に、政府に対して様々な働きかけを行った。後者に関してはキャパシティー・ビルディングと言って、多くの若者がストレスを抱えているというデータに基いて行っている。

また、これらとは別に国際協力も推進しており、例えばジンバブエやケニア、ミャンマーやベラルーシにある若者の団体と連携をとり、”Global Action Local Empowerment (GALE)”というプロジェクトを進めている。このプロジェクトはスウェーデンにある国際協力機関からの財政援助を受けている。今後はフィリピンなどの団体とも連携を図っていきたいと考えている。

LSUと政府が連携を図る際の基本的な考え方

LSUに限らず、政府と市民社会(Civil-Society)の間には、お互いの関係性に関しての共通認識が存在する。それは(1)独立している、(2)安定している、(3)対話をする、(4)質を保つ、(5)多様性を保持する、(6)(両者の関係性が)開かれているの6点である。これらは遵守されている。

LSUはスウェーデンにおける若者を代表する組織

私たちは”European Youth Forum” に加盟し、スウェーデンの若者代表としてEUレベルでの政策反映等に取り組んでいる。また、国連にスウェーデンの若者代表を派遣する際にはLSUからメンバーを派遣し、環境問題や持続可能な開発目標(SDGs)などのアドボカシーを行っている。同時に、ユネスコとも連携を取っている。

政府組織との連携は

例えば、政府が何かしらの若者が関する政策課題のワーキンググループを設ける際、LSUがそのワーキンググループに参加する、その課題に関して見識を有する若者団体を選出している。

LSUはどの程度の若者をカバーしているのか

間接的に70万人の若者(6~25歳)をカバーしている。これはスウェーデンの若者人口の3分の1以上に相当する。団体としては、生徒会組織から政党青年部まである。

LSU加盟団体とはどの様に相互の交流の方法と距離感

年に1回の総会を毎年開催している。総会では毎年異なるテーマを設定し、2015年は移民、2016年はストレスマネジメント、2017年は若者政策(Youth Policies)であった。

加盟するそれぞれの若者団体が、自らで運営を出来ている状態ができていれば、距離感は特段意識しない。

インタビューの様子

LSUに加盟している団体で規模の大きい団体は

2番目に大きい団体がスウェーデン全国生徒会である。最も規模の大きい団体はスヴェロックという団体で、ボードゲームからE-Sportsまで、各種ゲームのプレイヤーによって構成される団体である。

LSUが政治的中立性を担保する方法とその実際

現在、LSUに参加する政党青年部は左派に属するものが多い(筆者注:数年前までは中道右派から右派の政党青年部も加盟をしていたが、LSUが過度に政治化したとして退会をしている)。その一方で、公式に発出をする各種声明などでは右派の主張を十分に考慮している。但し、極右とされるスウェーデン民主党の青年組織の加盟は認めなかった。

スウェーデン民主党の青年組織の加盟を認めなかったのはなぜか。また、LSU自体はそのような主張の存在を認めるのか。

スウェーデン民主党はスウェーデンの民主主義や普遍的原則に沿わない主張を政策文書の中で行っているからである。LSUは民主的な手続きとスウェーデンの基本的価値観を尊重している。一方で、スウェーデン民主党の様な主張を行う団体の存在は否定しない。単に私達(LSU)と共に活動を行うことが出来ないということである。

LSUという組織が持続可能なものになっている背景

(先程も述べた通り)LSUは政府と相互に信頼関係を築いており、政党とも良好な関係がある。つまり、LSUと公的な組織は彼らも私達もお互いにお互いを信用している。時の政権の右派・左派を問わず、市民社会とのコミュニケーションを図っている。

LSUの今後の目標

子どもの権利条約の法制化に関係するアドボカシー、アジェンダ2030の策定、そして市民生活の向上に関するアドボカシーを行っていきたい。

最後に改めて、LSUの存在意義

まず第一に若者たちの声を届けなければ、社会の中にある1つの見方を失い、民主主義の重要な要素が欠けることになる。また、若者たちが社会を変えられるという経験をすることが若者にとっても、社会にとっても非常に有意義であると考えている。

インタビュー終了後の懇談

さいごに

視察団とHannahさん(右から3人目)

LSUは、日本には一切存在がない立ち位置にある団体と言えるでしょう。LSUの様に系統だった組織で意見集約を行うシステムにはメリット・デメリットの両面があることは容易に想像がつく一方で、若者の声を社会に反映をする重要性を政府・公的機関、そして何より若者自身が共有しているという点は非常に興味深いと言うことが出来ます。今回、インタビューに応じて頂いたHannahさん含め、その”自立しよう”という考え方は、果たして文化的・社会的なものなのか、それとも学校教育によるものなのか。いまだ答えを掴むことは出来ていません。

投稿者プロフィール

栗本 拓幸
1999年生まれ、慶応義塾大学総合政策学部在学。一般社団法人生徒会活動支援協会常任理事、一般財団法人国際交流機構理事、日本シティズンシップ教育フォーラム会員など。生徒会活動が持つ主権者教育や次世代型教育としての可能性に着目。各種研究・コンサルティングの他、文部科学省に対する提言発出等を実施。また、若者の政治・社会参画を進める「若者政策」のアドボカシーにも参画。富士通総研「トポス会議」などに登壇。