川廣泰人さん(慶應義塾):私の生徒会 セオリーファイル
日本全国で様々な団体が生徒会活動の活性化、あるいは自身の学校をより良くする為に活動を行なっています。そこには”思い”を持った高校生が多く集まっていると言っても過言ではありません。同時に、多くの大学生や社会人が、高校生と同じような“思い”を持ちながら高校生の活動をサポートしています。
連載『私の生徒会 セオリーファイル』では、団体の中心を担う高校生、あるいは活動のサポートを行う大学生、社会人などに焦点を当て、それぞれの思いを深掘りします。
川廣泰人[カワヒロ タイト]
2002年生まれ、慶應義塾高等学校在学。生徒シンポジウム2019、神奈川県高校生生徒会会議、高校生生徒会会談を始めとする外務団体6団体に運営として参加。
川廣さんには、11月4日に開催された「第5回首都圏高等学校生徒会連盟総会」の終了後にお話を伺いました。
自己紹介〜学校内で取り組んでいること〜
千島:自己紹介からお願いします。
川廣:慶應義塾高等学校2年の川廣泰人です。好きな…
千島:好きな・・は?笑
川廣:好きな球団は東京ヤクルトスワローズ、嫌いな生徒会役員のタイプは真面目に働かない人です。
千島:それでは早速インタビューを初めてさせていただきます。よろしくお願い致します。今、生徒会でどの様な役割についているのか、あるいはどの様な活動を行なっているのか教えてください。
川廣:僕は役職上は無職ということになっています。なので、外務活動に積極的に参加させていただいています。
千島:役職に就かなくても生徒会役員の活動ができるのですね。
川廣:はい。僕の学校では、生徒会役員の一般業務として様々な行事の運営がありまして、その運営が部署制になっています。そして、僕がその部署のチーフをさせて頂くことが多々あります。また、生徒会に設置されている委員会の一つとして「環境福祉委員会」というものがあります。その委員会で、森の整備などと言った、環境保全に関する活動を行なっておりまして、力を入れております。またこういう風な外務活動の場によく参加をしています。
千島:川廣さん自身で何か立ち上げた活動はありますか。
川廣:非公式な組織にはなりますが、”新入生指導係”というものを僕ともう一人が主体となり、今年立ち上げました。その組織では主に新入生のスキルアップを目的にした活動を展開しています。
千島:慶應義塾高等学校では毎年『招待会議』も実施していますよね。
川廣:はい。我が校で毎年開催されている招待会議は、高校1・2年の生徒会役員は全員参加になっています。そこで喋ること、あるいは楽しむことが出来るように、1年生と練習しています。慶應義塾の生徒会では1年生からでも企画を出すことができる制度にはなっていますので、企画書の書き方などと言った、2・3年生になっても必要なスキルを教える企画を行っています。
きっかけは「責任から逃げる気持ちを克服したい」という気持ち
千島:なるほど。では今はそのような活動をなされているということですが、そもそも生徒会を始めたきっかけなどがありましたら教えてください。
川廣:最初に入ろうと思ったきっかけの一つとして、恥ずかしながら……責任という言葉が一番嫌いでした笑
千島:そうだったんですね(笑
川廣:責任だとかそういうものを持つのが嫌だったんですね。けれども、社会人というのは、責任の中で生きていくようなものじゃないですか。その為にも責任から逃げようとする自分の気持ちなどを克服するために、生徒会という場で、責任を相手を持つことによって、克服できたらなという気持ちで入りました。なので、入った当時は、例えば外務活動がやりたいだとかそういった具体的な目的というのは持たないで入りました。
内務活動に還元していこうとすることがモチベーション
千島:今、生徒会活動を続けるモチベーションとなっているものはありますか?
川廣:基本的には自身の生徒会活動の流れの中で僕がいくっていうことになった外務活動、あるいはその活動で得たものを学校に持ち帰り、そこで得たもの知識などを生徒会の内務活動に還元することに行っていきたいと思っているのですが…
千島:ですが…?
川廣:外務活動の担当者が高校3年生で、その担当者が新しいことを始めたがらず、またなかなか先に進まず困るなと思う所があるんです。そこで私は内務活動の一環として、企画書を書いたり、何かしらの行事に関しての提案などを他校生徒会のメンバーからのアドバイスを基に、進めようと頑張っています。
生徒の要望に応える為に認知度を上げなければいけないのでは
千島:では話は変わりますが、あなたにとっての『理想の生徒会』はどういったものですか?
川廣:大きな理想としては、生徒会が生徒の要望に簡単に応えられるといわれること。今回のグループディスカッションの議題「生徒会が関わることができる範囲とは」ではないですが、個人の意見としては、意見箱に来たものをなるべく多く実現したいということがあります。
その為にはどうすれば良いのか。例えば生徒会だけじゃできないこともある、先生の協力を仰がなければならない。でも現状多くの学校でそれができてないということは、先生がそこまで協力頂けていない、言い換えれば非協力的なのではないか。生徒会が関わることの出来る範囲をさらに広げることが重要だと思います。
そして、生徒会というものが、生徒により認知してもらえれば、生徒会がやってくれただとか、生徒会に頼むと何か新しいことを始める状況が学校内で確立できれば、それは素晴らしいことなのではないか、と思います。
外務活動から広がる交流の“あて”
千島:続きまして、今まで様々な外務活動に参加されていたということなのですが、外務活動の現状をどの様に捉えていますか。
川廣:まず、外務活動に参加して得ることができるものに関してお話ししたいと思います。これに関しては、私自身の経験則によるものではあるのですが、一つは外務活動に参加することで得ることができる、そしてもう一つ、大きなものとして交流を持つことができるということを挙げたいと思います。これは本当に素晴らしいことだと思っています。
千島:何か素晴しいと実感した瞬間はありますか。
川廣:生徒会に限らず、その学校の部活にも関わってくるのですが、航空研究部と應援指導部なんですけれども、その部活に所属している生徒が生徒会に他の学校の人たちと関わってみたいと僕に連絡が来て、そこから他校の生徒との間を取り持ったっていうことがありました。これは本当に外務活動の賜物だなと思っています。これまでは、交流する“あて”がなかったものに、外務活動が“あて”を作る存在となっています。
したがって、外務活動は生徒会だけのみならず学校全体の部活動の間に関してもまた、人と人をつなげるという作用を果たす、大事な活動であると考えています。
高校生の視点に拘った新しい外務活動の展開を
千島:今後の外務活動に期待する事柄は何かありますか?
川廣:私事ではありますが、現在6つ程度の団体の活動に関わっております。ただ、どの団体も等しく「討論会」を行うじゃないですか。この状況は参加者側から「マンネリ化している」と捉えられてしまうと思っています。
そういった状況の中、どうして行けばいいのか、討論会以外の活動方法があるんじゃないか。企画内容に関して言えば、ただ単に話すこと以外の活動をしたり、基調講演を開く、そういった、討論をするという枠組みに捕らわれないことが大事だなと思っています。
千島:具体的に参考になる事例はありますか。
川廣:例を挙げますと、京都府生徒会連盟が『はんなり京都ナビ』という活動を始めました(参考:Twitter)。高校生から見た京都の良さ、これをツアー形式で案内する活動なのですが、この活動は本当に凄いな、いい企画だな、と考えています。
この様に、討論のみならず重要な価値を発信する企画であったり、高校生として別の視点で物事を捉える、“高校生”からの視点というものに拘った新しい活動を今後様々な団体で展開されることを期待したいと思います。
生徒会は「結び目」
千島:最後にあなたにとって生徒会とは?
川廣:最初は「責任を持つため」だったのですけれども、人間の集まりといった観点から見るならば、生徒会は人と人をつなぐ窓口、色々な人と人とを繋ぐ、最重要なものだと思います。それは外務活動の場においては、他校の生徒と自校の生徒を繋ぐ媒体に生徒会がなるのですけれども、それぞれの学校内では、生徒の意見が先生に伝わるという、唯一の媒体だと思います。
生徒と先生、 自校と他校など、あらゆるもの同士を繋ぐ『結び目』となるものが、生徒会なんじゃないかなと思っております。
千島:川廣さん、ありがとうございました!
【聞き手】千島 洸太/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【写真・構成】栗本 拓幸/一般社団法人生徒会活動支援協会 常任理事
投稿者プロフィール
- 1999年生まれ、東京都出身。浅野高校卒、慶應義塾大学総合政策学部在学。統治機構改革、若者の政治参画、憲法改正などが主たる研究・関心領域。他、キャリアに関する授業登壇、AO入試対策など多数。Podcast「この○○の片隅から」配信。2019年度限りで理事を辞任。
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