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「生徒会顧問はおじいちゃん」多治見西高校:特活学会実践事例


生き残りをかけた厳しい戦いー文化祭の存在の大きさー

千島:文化祭に取り組むことに関して、執行部以外の生徒はどのように考えていますか?また、文化祭をどのようなものとして認識していますか?恐らく運営している生徒さんとクラスで企画をしている生徒さんとでは視点が違うと思うのですが。

小島:やっぱり前期で最大規模の行事なので力を入れると言えば入れますね。この学校はそもそも行事が少ないので、年間を通しても一番大きい行事です。それでいてクラスの1人1人が行事に参加するというのは西華祭だけなので、やる気は他の行事と比べれば結構あるかなぁと思います。

千島:ということはクラスの団結力も結構高くなって取り組むということですね。では文化祭の準備となればみんな結構テンションも上がる感じですか?

2年生一同:いや、そんなこともないです(笑)それは個人差があります。

小島:それでも、個人差があるとはいえ劇をやるクラス(2・3年生)なんかは場所の取り合いもあるので、結構みんな本気で取り組んでいます。4月にテーマや内容や配置図を描き、それをプレゼンテーションしなければならないんです。審査員が市議会議員と教員で、そこのプレゼンテーションで合格しなければ企画が通らなかったり、もう一度練り直ししなければならないんです。

村瀬:多分、このプレゼンテーションに一番本気で取り組んでいます。そこに一番力が入ります。

楠瀨:それで結構後のことが決まる感じですか。

村瀬:そうですね。場所も点数が高いところから確保することが出来ます。また、例えばお化け屋敷であれば、2枠というように枠数が決まっていて、それを超える数の企画案があれば点数の低い企画案は外されます。

楠瀨:資本主義的ですね。

千島:なかなか厳しいですね(笑)

楠瀨:でも、結構結果に納得がいく形式ではありますか?

小島:そうですね。点数と、審査員1人1人からのコメントが公開されるので。

村瀬:改善点とかも見つかりますね。

千島:自分の学校は、そもそも枠が与えられていて、規範に反することでなければ何でもやって良いという風な形式だったのですが…そこまで競争率が高ければそれは熱も入りますね。

楠瀨:文化祭の準備は先生と協力しながらという形になると思うのですが、先生はどのようなサポートをして下さっていましたか?

村瀬:基本的には生徒の様子を見るだけ、という感じです。

小島:それとたまにアドバイスをくれたり。先生にもよります。

千島:基本的には生徒だけで進めていく形なのですね。

生徒会顧問は「おじいちゃん」

千島:生徒会役員にとって生徒会顧問の先生はどのような存在ですか?

役員一同:…おじいちゃんです(笑)

千島:全員一致(笑)(田山地先生は笑っている)

村瀬:特に壁もなく、言いたいことが言える先生なので今の関係性に満足しています。欲を言えば、もうちょっと協力してくれたらいいなと思ったり(笑)

楠瀨:結構生徒会の先生が圧迫するケースが多いのですが、インタビュー前の皆さんと顧問の先生との会話を聞いているともしかしたら力関係が逆なのではないかと思うくらい、非常に愛のある雰囲気が出ていていいと思いました。

千島:生徒会役員の皆さんからは、顧問の先生は「おじいちゃん」という回答が出ましたけれども、田山地先生はそれを聞いてどうですか?

田山地先生:良いんじゃないでしょうか。良いと思いますよ(笑)

楠瀨:お互い、祖父と…?

2年生一同:孫?笑

千島:という感じでしょうかね(笑)

多治見西高校の強み ー「坂」と「多様性」ー

千島:多治見西高校の周りには見られない特徴は何でしょうか?

小島:プレゼンが上手いということですしょうか。先生達が多治見西高校外で多治見西高校を紹介するプレゼンが上手いですね。

村瀬:あ、坂!校舎から体育館までの坂と距離は多治見西の特徴ですね。本当に斜面が急で大変です(笑)部活でもその坂はよく使われています。

曲直瀬:多治見西高校は体育館が2つあって、1つの体育館は坂を登ったら行き着きますが、2つ目の体育館は坂を登った上に階段を登らなくてはいけないので、えらい大変です…

楠瀨:地形的にしょうがないことですね…

千島:確かに、多治見西高校にしかない特徴ですね(笑)学校内の雰囲気はいかがですか?

小島:いろんな生徒がいますね。勉強できる生徒もいれば、スポーツ万能な生徒もいれば。様々な特徴を持った人たちがたくさんいるなと感じます。

生徒会役員の苦労

千島:生徒会役員として活動をしていて大変なことは何ですか?

村瀬:後期生徒会の場合、予餞会の準備と期末試験が被ってしまうことですかね。期末試験の準備には、ほぼ手をつけられない状態になることが明確で、それを覚悟の上で活動しています。前期生徒会の時も西華祭の準備で夏休みが潰れますね。

会計の曲直瀬 恵紀さん

曲直瀬:生徒会活動は部活動とは別扱いで、部活動との両立が結構厳しくなりますね。部活動は18、19時くらいまで、生徒会活動は20時くらいまで行なわれています。なので部活動の時間帯と丸かぶりで部活動に参加できなくなってしまうんです。部活動と生徒会活動の関わり方にはいつも苦労しています。

小島:人によっては授業が17時近くまである人もいて、宿題など他のタスクがある中で、その後生徒会活動に取り組むとなると負担になることもありますね…。

楠瀨:何よりも部活動を優先しろというような風潮はあるのですか?

村瀬:部活によりけりです。ソフトボール部とか、テニス部とかはその風潮がありますね。

小島:ソフトボール部は、朝練もやって、放課後も20時までやっているようです…。

生徒から見た「生徒会執行部」の存在

千島:生徒会執行部は生徒からどのように見られているように感じていますか?

小島:嫌われ役ですね。

伊藤:敬遠されがち…。

千島:その原因はなんだと思いますか?

曲直瀬:活動していく中で、役員が生徒に何か要請する為に会いにいく頻度が多いからでしょうか。面倒臭がられている感じが否めないですね。

村瀬:予餞会の動画撮影を例に挙げると、「ダンスを覚えて」とか「アンケートを実施・集計をして執行部まで持ってきて」という感じの関わりしか持てていないので、役員以外の生徒にとって面倒くさいと感じられているのかもしれません。

生徒会活動から学んだこと

千島:生徒会役員として、生徒会活動をして良かったこと、学んだことは何かありますか?

加藤:元からの性格が面倒くさがり屋で、大抵のことは人任せだったのですが、生徒会役員としての活動を通して生徒会役員は結構責任重大な職務なんだなと感じました。活動を通して責任感は強くなりましたね。それが一番大きいです。

曲直瀬:部活とか色々やることがあり、時間に余裕が無く忙しいですが、その分時間の配分を考えてどれだけ自分は動けるのか考えるようになり、常にタイムマネジメントをできるようになりました。忙しい中、何かしらタスクをやりきった時に達成感を感じたりすることもあるので、やっていて楽しかったし良かったなと思っています。

村瀬:人前で何か喋ったりすることは機会がないと出来ないし、皆で何かを作り上げることはすごく貴重な経験だと思うので、やっていて良かったなと思います。

藤井:生徒会に入るまでは学校のことすらよく知らなくて、先輩のことや同級生のことも良く分からなかったのですが、生徒会に入って人脈が増えたなということは思います。生徒会から関われる行事であったり、色んな頼みごとをしに行くこともあったり、やりがいのある仕事が沢山あるなぁと思いました。

伊藤:生徒会の中でゼロから自分たちで考えていくということが多く、自分たちが考えたことで生徒を動かさなければならないという機会が生徒会の中で一番多いかなぁと思います。その経験によって、多くの人を動かすということの責任の重さを学べたと思います。

小島:生徒会に入らなければ、関わる先生も生徒も少なかったし、先輩ともあまりかかわりが無かったと思います。ですが生徒会に入ったことによって色んな人や先生と関わることが増えたので良かったなぁと思っています。今後の高校生活、社会において人との関わりや経験によって学んだ関わり方は活かせることができるかなと思っています。

生徒会役員の考える「将来の夢」

千島:今後の社会に役立てていくということでしたけれども、将来の夢はなんですか?

小島:明確には決まっていないですが、医療系の仕事に就きたいと思っています。

曲直瀬:会長に同じく医療系なのですが、僕は看護師か理学療法士になりたいと思っています。

伊藤:二人と同じで、自分も人と関わることをしたいので理学療法士だとかを目指そうかなぁと思っています。

会計の加藤 ちからさん

千島:なるほど。僕は医療系の分野のことには詳しくないのですが、恐らくチームワークや人との関り方であったりは重要で、生徒会での経験は活きてくるかもしれませんね。頑張ってください。加藤さんは如何でしょうか?

加藤:誰かを助けられる仕事をしたいと思っています。

村瀬:最終目標は税理士です。関係することを学んでその職業に就けたら良いなぁと思っています。

藤井:私は建築関係です。

最後に

千島:それでは楠瀬さん、最後に何かコメントを。

楠瀨:全体として雰囲気がすごく良いなぁと思いました。それは、先生との関係が非常に良好であることが初見で伝わってきましたし、話していても圧迫感が無くて。私が今までに見てきた生徒会とは少し異質だなと、良い意味でゆるくて、ピリピリしていなくて良いなと思いました。個人的にはプレゼンのシステムはなかなか厳しいものだなと思ったのですが、なかなか新しいしモチベーションになるんだろうなと思いました。あと文化祭も、模擬店に頼ってしまうイメージが強いのですが、創ったもので魅せている点に感銘を受けました。

田山地先生:数年前に食中毒を起こしたことがあり、食品を扱うこと出来ないんです。

楠瀨:それでも、これは模擬店がないからなのかはわからないけれども、すごいと思いました。

千島:では最後に田山地先生から、今年度後期の生徒会を見て思ったことがあれば感想をいただけますでしょうか。

田山地先生:実は私、今年度(2018年度)を以て定年退職で、最後の年なんです。最後の生徒会でしたが、良いかなぁという感じです。ずっと11年間、予餞会だとか西華祭をつくってきたので、最後この子たちと予餞会をして、終われたらと思います。

千島:以上をもちましてインタビューを終わらせていただきます。田山地先生、みなさん、ありがとうございました!


【文・聞き手】千島 洸太/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【聞き手】楠瀨 千尋/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【写真】荒井 翔平/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事長

投稿者プロフィール

千島 洸太
千島 洸太
2001年東京都生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会理事。慶應義塾大学総合政策学部在学。獨協高等学校卒。高校生徒会長の任期中に「生徒会組織改革」「受動喫煙防止施策」などに取り組む。2017年度神奈川県高校生徒会会議代表や首都圏高等学校生徒会連盟副代表を務める。第6回全国高校生徒会大会広報部長の在任中には、専門番組『NSCC-TV』の放映に尽力。