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コロナ禍で「文化祭」開催中止3割、オンラインも4割ー多摩協調査


2020年6月9日より「各校文化祭に関するアンケート」と称し行った、新型コロナウイルス感染拡大に伴う文化祭に於ける各学校での対応に関する調査の結果報告を以下に記す。本調査は6月29日まで実施し、88サンプル、17都道府県、学校数としては62校のデータが集まった。その結果、中止・未定・文化祭以外のイベントに変更した学校が3割、オンラインもしくはオンライン開催を併用した学校は4割近くに及んだことが分かった。

I.調査背景・目的・実施方法h

新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドライン【都立学校】~学校︎の「新しい日常」の定着に向けて~(東京都教育委員会・令和2年5月28日発行、6月19日改訂)には、文化祭の開催に関して以下のような内容が記載されている。以下は、2 教育活動の再開,(8)年間指︎計︎の見︎し, エ 学校行事より抜粋。

(ア) 都立高校・中等教育︎学校・都立高校附属︎中学校
12 月までに実施予定の、︎児童・生徒等︎が学年(学部)を超えて一堂︎に集まって行う活動(文化祭︎、体︎育祭等︎)、︎宿泊︎を伴う行事や校外での活動は、延期又︎は中止する。

(イ) 特別支援学校
上記(ア)に準ずるが、︎移動教室及び修学旅行については、今後の新型コロナウイルス感染症の状況を把握し、実施の可否を判断する。

このように、東京都教育委員会の方針は、12月まで学年を超えて一堂に集まるような文化祭は禁止となっている。この方針を受けて、文化祭が中止となってしまった学校や、開催様式の革新を迫られつつある学校が多くあることであろう。そこで、各校の文化祭の開催予定状況やアイディアを一点に集約し、共有することで、総合的な文化祭のクオリティーの向上に貢献することを目的とする。

【実施期間】2020年6月9日~29日
【実施方法】インターネット調査(学校名記載)
【実施主体】多摩生徒会協議会
【広報協力】おたくの文化祭どないでっか?、集まれ文実!、関東圏生徒会連盟代表者会
【調査協力】生徒会活動支援協会

II.結果

今回の調査での回答については、学校名を伏せた形で回答の内容をファイルにまとめた。詳細については、こちらを参照されたい(データファイル [Excel])。

1.新型コロナウイルス感染拡大に伴う各校の開催方式について(n=62)

複数の案を検討している学校に関しては、1を検討している案の数で割り、換算した。ここでの「ハイブリッド」は、リアル開催、オンライン開催の併用開催を意味する。

2.新型コロナウイルス感染拡大に伴う各校入場者制限について(n=25)

 

III. データ分析・考察

本調査により、文化祭の中止・イベント変更・中止といった決定をしている学校は全体の3割に上った。何らかの形でオンライン要素の導入へ動いている学校は全体の4割であった。この結果をもとに、考えられる具体例を列挙しても構わないが、各校の個性を尊重するために避けることとし、データ分析・考察を記すこととする。

このまま新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いた場合、社会情勢を鑑みるとどんな開催形式であれど、例年通りの来場人数に特別な制限を設けずに受け入れることは難しいだろう。また、東京都教育委員会は「学年を超えて一同に集まる行事を禁止」としている。以上の二点を踏まえると、文化祭を中止するという判断を下しても仕方ないようにも考えられる。しかしながら、「文化祭」とは自校生徒が学校の外部に対し、努力や成果を発信することができる、最大の場であると言っても過言ではないだろう。その文化祭を心待ちに、楽しみにしていた生徒もきっと少なくないはずだ。ここで、「生徒会の存在意義」に立ち返って考えてみよう。生徒会の大きな役割として、全生徒の代表者として学校に意見を届けるというものがある。生徒の意見を汲み、学校へ届ける。これを行わなくて「生徒会」と言えようか。今年度、前例の無い特殊な状況で、教育委員会から指針が示された後、すぐに中止の判断をした学校は特に公立校に多いようだった。この判断を鵜呑みにするのではなく、こんな時だからこそ「生徒会の存在意義」を再考し、生徒の意見を生徒会として学校側へ提示しなくてはならないと考える。「例年通り開催できないから中止」ではなく「例年通り開催できないから革新」と発想の転換を行うべきではなかろうか。

ウイルスへのワクチンや特効薬はいつ実用化されるかわからない。何年どころか何十年と開発されない可能性もある。せっかくの発表の場を永遠に中止いう訳にはいかないだろう。今年からでも革新の方向へ努力することは、たとえ結果的に中止になったとしても意義があることだと考えられる。将来、我々と同じように大きな壁にぶつかった後輩たちの希望になるかもしれないのだ。

たしかに、我々の代は運が悪かったのかもしれない。しかし、逆に新しいものを作り出す可能性を秘めているのだ。その可能性へ努力をせず、生徒の意見を汲む前に、即刻中止と判断してしまうのはかなりもったいない。そこへ向けて一歩を踏み出すのは、他のどこでもない「生徒会」の役割だ。

【文】章 子昱/2020年度多摩生徒会協議会 議長

投稿者プロフィール

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章 子昱
2003年東京生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会理事。現在、慶應義塾大学に在籍。桐朋中学・高等学校在籍時、4年間にわたり生徒会活動に携わる。多摩生徒会協議会12期代表や、第1回全国オンライン学生祭代表、国際生徒会機構(ISCO)副代表を務め、マスクを3000枚寄付する等の活動を行なった。