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「生徒会が好き!」~静岡県立富士高校生徒会インタビュー前編~


これから数か月にわたり、「日本生徒会大賞2022」にて受賞された生徒会や個人に実施したインタビューの模様をお届けします!
今月は、学校の部大賞を受賞された静岡県立富士高校生徒会執行部です。(受賞理由などは、こちらからご覧ください。)

インタビュー概要

富士高校生徒会本部は、柔軟な組織形態の実現や役員の仕事量の偏りの解消という視点から、新しい生徒会システムである「部署制度」を導入し高い評価を得た。今回、富士高校生徒会長の鈴木康峰さんと、生徒会顧問の近藤健先生にインタビューを行い、これまでの取り組みやその背景、今後についてなどの話を伺った。

参加者

<インタビュイー>

  • 鈴木 康峰さん(富士高校・前生徒会長)
  • 近藤 健先生(富士高校・生徒会顧問)

<インタビュアー>

  • 吉水 隆太郎(一般社団法人生徒会活動支援協会理事)

インタビュー

応募理由やこれまでの取り組みについて

吉水:受験や進路など、色々と大変な時期にありがとうございます。本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、今回、生徒会大賞に応募された理由は何ですか?
鈴木さん:昨年度の全国生徒会大会で協会の方と一緒にファシリテーターとかをやらせていただいたときに、生徒会大賞のことを深く知りました。そのあと活動していく中で結構良い活動ができたというふうに自分たちの中で思い、それを有識者の方々に評価していただきたいということで応募しました。
吉水:今回大賞を受賞するにあたって、生徒会のスタートがあったと思います。そのスタートのときの状況から今にかけて、どのように生徒会の中身や取り組みは変化してきましたか?
鈴木さん:私たちの学校では、主に行事運営が生徒会活動の核になっています。あとは今年創立100周年なので、それに合わせた活動などを行いました。更に常時活動として意見箱とかをやっていくという感じです。私が入ったときには行事に向けて頑張っていくっていう感じだったのですが、会長や副会長などを中心とした一部のメンバーに仕事が偏っている状況だったので、『部署制度』というものを導入したというのが、最初に行った改革としての取り組みになります。
吉水:なるほど。会長と副会長に仕事が集中していることが問題だと気づいたきっかけや、普段から何か参考にされている考え方などがあるのかなと思ったのですが、そのときどういったことが頭の中にありましたか?
鈴木さん:一部の人に仕事が偏っているというのは、やっている方も上手くそれを吐き出せる雰囲気ではなく、逆に仕事があまり来ない人にとっては物足りないっていうような感じが、本当に露わになっていきました。そういったところから「みんなで取り組めるようなシステム、分担させるようなシステムを作っていかなければいけないな」と思いしました。
吉水:ありがとうございます。その「分担システムを作りましょう」「部署を作りましょう」といったときに、どのようにその部署の検討の話を進めていきましたか?
鈴木さん:顧問の先生方とも話し合いながら進めました。今まで文化祭である富嶽祭は部署ごとに運営していたので、それに繋がるような形で部署を決めて行ったら良いのではないかということで、富嶽祭の部署に近いような形で常時活動が行えるように部署決めを行いました。
吉水:ある意味、文化祭の組織構造と言いますか、役割分担の仕方というのを他の組織、他の委員会や部署にも広げていったというようなイメージですか?
鈴木さん:そうですね。私たちの学校の文化祭には総合開会式という文化主に祭が始まる前に文化部がパフォーマンスするような場があるんですけど、生徒会本部の中にはそれを担当する総合開会式部署というものがあります。その部署であれば、普段の部活動の壮行会であったりだとか、文化祭の練習のために設けられた放映祭という行事で文化部の発表する場面があるので、その進行してもらったりしました。文化祭に直結する、あるいは近いような形で、生徒会本部の中で6つに分けました。
吉水:実際に組織として動かしていく中で、ご本人が苦しかったこと、あるいは割とスムーズにいったことなど、何かあったりしますか?
鈴木さん: 部署を6つに分けた際に、部署長というリーダーを決めました。基本的には部署長を中心に、その部署を回してもらうというシステムにしていました。会長と副会長はその部署の中には入らず、全体統括というような形で全体が見えるようにしました。またしっかりと部署長とコミュニケーションをとり、全体でも集まる場所を設定していました。なので、そこまで問題が起こるということは無かったと思っています。
吉水:ちなみに、新しい組織を作る際に、いわゆる「縦割り化」に陥りやすかったり、仕事を部署でたらい回すようなことが起こって、ずっと仕事が終わらなかったりすることが、割と大きな組織だとあったりしますよね。実際に部署を分割してそれぞれに色々とこなしてもらう中で、そういった課題などは何か発生しましたか?
鈴木さん:部署が主にやることは、最初に明確化していました。また、会長・副会長と部署長が話し合う会議の中で、毎回大体その月にやることをまとめて、大変な仕事は部署を統合したり、仕事が一部の部署に偏ったときは他の部署に回そうといったことをしてきました。ですので、臨機応変にできたと思います。ただ、部署ごとの組み分けや、部署の仕事を他の部署に回すというようなことは、今年度の反省や経験を活かしてできたらなと思っています。
吉水:その経験は具体的にどのように生かされて、今の後輩の皆さんなどは活用していけると思いますか?
鈴木さん:主にまとまった仕事として、宝永祭の運営であったりとか、あとは内部部であれば意見箱、広報部であればSNSといったような広報活動を行うなど、しっかりとした仕事がある中で、球技大会に関しては、宝永祭との行事間隔が狭かったためうまく部署ごとにできたというわけではないと思います。ですので、球技大会とかとの組み分けというのは、検討してみても良いのではないのかなと思っています。
吉水:さらに少し難しいことを聞くかもしれないのですが、仮にうまくいかなかった課題を検討し、解決をしなければならないというような問題点があるとします。例えば自分だったら、どのように問題を整理して、解決に導こうと思われますか?
鈴木さん:今年は少し変則的になってしまったと思います。創立100周年の方の取り組みがかなりあり、そこについては「今年だけだから」と分離して考えたりしながら行っていました。生徒会主催の球技大会が3月、宝永祭という行事が2月にあるということを考えると、そこの期間にしっかりと終わらせる、完成させるということが必要です。これをどのようにどこの部署が同時並行しながら活動していくのかということや、常時活動の質を落とさずに行うのかといったことをまず考えてから、部署ごとに仕事を割り振ることが大切だと思いました。

会長としての責任感や考えについて

吉水:話は変わるのですが、組織を作るにあたって、生徒会役員は選挙で選ばれていると思います。鈴木さんの中で、いわゆる選挙によって選ばれたというような、何かしらの自覚や責任感というものは、どこかで感じていたりとかしましたか?
鈴木さん:選挙は信任投票だったのですが、意見箱やアンケートなどを進めていく中で、やはり生徒の意見は大切だなと常に感じていました。あとは生徒会をみんなで作っていくということで、なるべく生徒全員に生徒会活動に協力や参加してほしいという気持ちが常日頃からあり、その点は100周年の委員会とも一致するところでした。100周年の授業で行った富士高体操という伝統の体操があるのですが、その体操の動画撮影では生徒全員が集まるなど、生徒全員に協力してもらうというようなことをすごく考えながら行ってきました。
吉水:なるほど。いわゆる「全員野球だ」というような気持ちで「生徒会に邁進していくぞ」って思ったのか、それとも仕事をしていく中で少しずつそういった気持ちが出てきたのか、どっちですか?
鈴木さん:中学校で生徒会長を務めたときに、それまで運動会になかった寮別応援をやりたいという声を受けて、先生と交渉し導入しました。そのときにみんなとの一体感や共有した思いというのを自分自身がすごく感じ取ることができたなと思った経験がありました。だから「やっぱり生徒会はみんなで作るものだ」っていう意識は、立候補したときからありました。
吉水:少し昔のことの質問になると思いますが、お話を伺っていると、高校で生徒会長に立候補したのは中学校での経験がきっと大きいのかなと感じます。立候補には以前の経験によるもの、それともまた別の何かがモチベーションになりましたか?
鈴木さん:そうですね。とにかく生徒会活動が好きだというのと、やっぱりみんなで作っていきたいという思いが中学校からずっとありました。
吉水:なるほど。どのようなときに生徒会活動が好きだなって感じましたか?
鈴木さん:中学校1年生のときに、校門に立って挨拶をする「挨拶ボランティア」という有志の活動が毎週水曜日にありました。そのプロジェクトチームに入ったときに頑張ってやってみようという気持ちが、生徒会活動が好きになったきっかけだと思います。

大賞を受賞できた理由や今後について

吉水:鈴木さんのこの1年間や生徒会との関わりについてお伺いできました。では、大賞の方へ話題を移らせていただきます。今回大賞を受賞されたわけですが、なぜ自分が受賞できたのかなと思ったりされましたか?
鈴木さん:やはり1番は、「みんなで生徒会活動を全力でできた」、「楽しんでみんながやれた」というところが大きいのではないかなという風に思ってます。
吉水:ありがとうございます。少し難しい質問を2つほどお伺いしたいのですが、まず他の学校の生徒会に絶対に負けないと思うポイントは何ですか?
鈴木さん:自分たちの学校が負けないポイントは、かなり忙しい時期にもかかわらずやらなければならない仕事が多いときでも、その仕事を嫌々やるのではなく、頑張って楽しみながらやるっていう部分と、あとは部署制によって多くの人が効率よく関わりながら運営できた部分なのではないかなと思っています。
吉水:もう1つ、鈴木さんが今回受賞されて、静岡県内では大賞初受賞となります。鈴木さんのような成果を今後もどうやったら、富士高校は出し続けることができると思いますか?
鈴木さん:毎年行事とかはやることが決まってる部分もあるので、毎年同じことをやるときにそこまで時間をかけないことや、なるべく活動の統一面のことを考えて引き継いで毎年一から行わないということが大事だと思います。また、それによって浮いた時間に少し新しいことを挑戦してみようと思えばやってみれば良いと思いますし、ちょっと大変だなと感じたら、その都度臨機応変に対応できるというのがある意味で生徒会の良いところだと思ってます。なので、毎年行うところに時間をかけずに、その年に合わせて「何か今年はこれやってみよう」だとか、「こっちを頑張ってみよう」だとか、ベクトルを変えていくっていうことが大切だと思います。
吉水:ありがとうございます。最後ですが、鈴木さんは生徒会長として様々な経験されてきましたけれども、それを今後どんな風に、例えば大学生活だったりとかその先であったりだとかに活かしていきたいと考えていますか?
鈴木さん:やっぱり仲間と一緒に何か協力してやることの大切さや、自分が会長をやってみてどうやったらみんながうまく動いてくれるのかということが少しは分かってきたと思うので、大学生になってもみんなで協力してやるようなそういう活動に関わってみたいなと思っています。

インタビュー時の様子(左:近藤先生・右:鈴木さん)


後編は、9月9日公開予定です!お楽しみに!

【聞き手】吉水 隆太郎/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事
【文】石名坂 陸人/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【構成】猪股大輝/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事

 

投稿者プロフィール

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石名坂陸人
2002年埼玉県生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会運営委員。専修大学法学部に在籍。大東文化大学第一高等学校在学中に、生徒会長を務め、「生徒主体」をモットーに生徒会組織や学校行事運営の改革などを行なった。