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「生徒の自治意識向上へ」~埼玉県立所沢高校生徒会インタビュー後編~


今回も、引き続き学校の部・特別賞を受賞された埼玉県立所沢高等学校のインタビューの様子をお届けします。(受賞理由は、こちらからご覧ください。)
前編はこちらからお読みいただけます。

インタビュー概要

所沢高校生徒会は、貴重品管理の一環として検討されていた「上履きの学年カラー導入」について、生徒総会やその事前討議などで生徒間が徹底的に考える議論を行い、生徒の自治意識を向上させようと取り組んだことで高い評価を得た。今回、所沢高校生徒会長の佐藤一水さん、副会長の富澤蒼さん、会計の星里歩さん、そして生徒会顧問の長部薫先生、杉山貴志先生にインタビューを行った。

参加者

<インタビュイー>

  • 佐藤 一水さん(所沢高校・前生徒会長)
  • 富澤 蒼さん(所沢高校・前副会長)
  • 星 里歩さん(所沢高校・前会計)
  • 長部 薫先生(所沢高校・生徒会顧問)
  • 杉山 貴志先生(所沢高校・生徒会顧問)

<インタビュアー>

  • 川名 悟史(一般社団法人生徒会活動支援協会理事)

インタビュー

顧問の先生から見た所沢高校生徒会について

川名:顧問の先生にも質問させていただきます。よろしくお願いいたします。生徒会顧問は、所沢高校の前でも何年かご経験されていたのですか?
長部先生:そうですね。前任校で5年くらい経験して、所沢高校で10年近くやってきました。10年間ずっとやってきたというよりは、なかなか大変な分掌なので一回抜けてまた戻ってきたという形です。
川名:そうなんですね。顧問の先生から見て、今年の生徒会活動が「これまでと違うな」と実感したことは何かありましたか?
長部先生:私は去年まで3年間チーフをやっていたのですが、私のスタンスとして、生徒会という組織の中で役員は「誰もがリーダー」ということを言い続けてきました。最初はなかなか理解されませんでした。生徒からは「組織が滅茶苦茶になるのではないか」とも言われました。しかし、組織の目標が明確に共有されていて、それぞれがリーダーという自覚を持ってやっていけば、一人ひとりの発言や行動はわがままにならず、組織としては良い方向に行くはずだという話をずっとしてきました。それがだいぶ浸透して結実したところに、今の役員がいると思います。3年間見てきて、この3人は決して飛び抜けて素晴らしいわけではないんです。去年やその前の先輩方からの流れをしっかりと引継いで成長してくれました。こちらの話に対する理解力や行動力、修正力が素晴らしいと感じます。顧問として「こういう生徒会でありたいな」という思いを実現してくれたという意味では、この3人は素晴らしいと思います。繰り返し言いますけど、3人はそれほどではないんです(笑)。
川名:ありがとうございます。いや、理解力や行動力があるという大絶賛な内容でしたし、全国的には上位層なレベルだと思いますので評価していただいて大丈夫だと思います(笑)。では、社会の一大人として見たときに生徒さんをどのように評価していらっしゃいますか?
長部先生:他の学校でもそうだと思いますが、生徒会の役員は自分で考えて行動できる素質を持った生徒たちだと思います。しかし、、当初はそれを活かして行動出来ていない状態でした。それが、生徒会行事という荒波をいくつも乗り越える中で、自分で考えて行動する力が相当身についたと思います。他の高校生と比べて、この3人は貴重な経験を積めたのかなと思います。
川名:ありがとうございます。生徒会活動を通じてたくさん成長をされていたということでしたけれども、今後の所沢高校の生徒さんや全国的な高校生などに対して、生徒会活動を行う上で身に付けてほしいスキルや考えは何かありますか?
長部先生:先ほどと同じ話になるのですが、自分でしっかりと考えて行動できるというのは本当に重要だと思います。私が見る限り、授業や普段の生活の中で高校生は「自分は良く考えているんだ」と思っているようですが、実際は自分が思っているほど「考えていない」と感じます。色々な人間関係が渦巻いたり、自分一人では出来ないことをみんなと一緒にやったりなど、目標に向けて行動する生徒会行事などリアルな人と人とがぶつかり合う修羅場の中でこそ「考える力」というものは本当に身に付くと思います。そういう経験ができる機会を大事にしてほしいと思います。
川名:ありがとうございます。「考えているようで考えていない」という言葉は、私自身も心に刺さりました。おっしゃられた通り、高校という小さな社会で評価されていたことが社会に出たらそうとは限らないということは、なかなか見えるものではないので、高校のときからそういった視点を持つことはすごく大事だと思いました。では、生徒会顧問として生徒との関わり方について、顧問として重視したことは何ですか?
長部先生:それは、答えを言ってしまいがちになるので極力言わないことです。これはかなり忍耐がいることで私も言うほどできていません。でも、ヒントを与えることはあっても「こうしたら良い」ということは、出来るだけ言わないようにしてきました。あえて失敗させて、そこで考えさせる。そうでないと生徒は成長しないと思います。まず自分たちで考えさせて、上手くいかなかったところで次にどこを修正していくのかということをやらせてきました。それが重要だと思います。所沢高校は顧問が9人いるんですが、全員がそのスタンスでやっているので、効果が大きいなと感じます。
川名:顧問の先生が9名もいらっしゃるんですね。そんなに多いのは珍しいと思いますが、9人それぞれが生徒会活動に対して何かしらの形で指導されているということでしょうか?
長部先生:そうです。体育祭担当や文化祭担当というような形です。

今後の目標や後輩へのアドバイスについて

川名:今後社会に出ていくと思いますが、残りの学校生活やこれからの学生生活などに生徒会で得たスキルをどのように活かしていこうと考えていますか?
佐藤さん:そうですね。生徒会活動を通して、リーダーになるということに多くのことを経験できました。自分で今の状況の中から問題を見つけて、それに対して自分たちがどうやって動いていくのかということや、場合によっては周りの人たちに協力してもらったり、輪を広げていくということに多くのことも経験して自分でも成長できたと思います。自分の中で将来やりたいことはまだ明確ではないんですけど、生徒会活動の経験を通して学んだ「自分から動いていくこと」や「周りを引き込んでいくという力」を活かしていきたいと思います。
富澤さん:私は生徒会活動を通して、副会長だったので人前に出て話すことが多かったんです。でも正直、昔から前に出て話すことが苦手で緊張して頭が真っ白になる感じでした。ただ、前日にお願いされても文章を自分で考えて、言葉にして発表できるようになったと感じます。また、先生の方から「本当にそれは考えられているのか」という話があったのですが、生徒会に入るまでボーっと生きていたタイプだったのが、1つの物事に対して今までよりは深く考えられるようになったと思います。ある先生から会議の場で質問されたときに、自分の考えを交えながら発言できるようになりました。
星さん:私は3年間の生徒会活動を通して、自分がやりたいと思ったことには多少勇気が必要であったとしても挑戦してみることが大事だと思いました。私は、高校生になってから生徒会役員になることに憧れていたので立候補しようと思っていました。ですが「選ばれなかったらどうしよう」と思って立候補を辞めようと考えたこともありました。だけど、勇気が無くてそういうことを諦めるのはもったいないことだなと思って挑戦してみたら素晴らしい経験ができました。今後の人生の中でも、自分がやりたいと思ったことにはちゃんと挑戦していこうと思うようになりました。
川名:ありがとうございます。では、今生徒会活動を行っている後輩に対して何かアドバイスなどをお願いします。
佐藤さん:「自分から動かないと何も始まらない」という思いが自分の中で強くあって、チャンスを待っていても来るわけでもないし、自分から動かないとチャンスは訪れないと思います。良い機会といっても何度も訪れるものではないので、一回の運命的な出会いを掴むためにも自分から動くことが大切だと思います。あとは、「思っているよりも自分の周りには味方の人が多いよ」ということを伝えたいです。自分の意見を人前で言ったりするときに「何かあったらどうしよう」と感じることがあると思うんですけど、自分もたくさんの人の前で話した後にみんなの方へ戻ると「良かったよ」って言ってくれる人がたくさんいたり、友達や両親とかも応援してくれていて「自分が想像している以上に自分のことを応援してくれている人はたくさんいるから、勇気を出して前に出て大丈夫だよ」ということを伝えたいです。
富澤さん:私はさっきも言ったのですけど、前に出ることが苦手なタイプだったんですけど、生徒会という学校の中の上の組織に入ってみるという挑戦をしたことで、得られたことがすごく大きいと思っています。生徒会に入って色々な先生方とお話しすることが多くて、そうした機会を通じて自分とは違う考えを知ることができたことが面白かったです。挑戦することを以前は恐れていて、「失敗したらどうしよう」と思うこともあったし苦手だったので、そういうことが自分では出来ないと思っていました。でも、それを一回やってみたらすんなりとはいかなくても、最終的には副会長になって色々な経験ができたので、私みたいに前に出ることが苦手な人には「何事も挑戦することを恐れないで、挑戦してみてほしい」と思います。
星さん:私は素直な気持ちを持つことと、挑戦することと、主張することが大事だと思います。

最後に

川名:ありがとうございます。では、最後に顧問の先生に伺いたいと思います。これまで大賞インタビューをさせていただく中で、新任の先生がいきなり生徒会顧問になって「何をやったら良いのか分からない」という先生もいらっしゃいました。そういう先生へ、何かアドバイスなどをいただいてもよろしいでしょうか?
長部先生:川名さんのお話を伺って、全国でそういう方が多いんだなということを改めて実感しました。私も新任で生徒会担当になって3年目で担任と生徒会チーフを同時に担当するという経験をしました。「何をやったら良いのか分からない」というのは、よくわかります。毎日が手探りの状態でした。でも、それでやるしかないのかなと思います。結局、教師というのは生徒としっかり関わって初めて教師になれると思います。確かに「授業が第一」とおっしゃる方もいてその通りですが、生徒とどう関わるかというのは教師としてのベースになるので、生徒会というのはそれに取り組める近道です。こうした経験を積まなければ教師として最後まで走りきるということは難しいと思います。大変なのは十分理解していますが、どういう学校の生徒であっても生徒会をやってくれている子たちは頑張ろうといった崇高な精神を持っているので、その生徒と一緒に頑張ることで自分の教師としての基本が作られると信じて歩んでほしいと思います。なかなか若いうちはこういうふうに考えることは難しいと思うのですが、教師を長くやっていくのであれば大事なことなので諦めないでほしいと思います。
杉山先生:実は初任の1年目から生徒会担当で、もう5年目に入りました。最初は、生徒会担当としてどういう風に色々な生徒と携わっていくのかすごく悩みました。今でもそこは悩みながらやっているところがあります。やっぱり何が難しいのかと考えたときに、生徒会担当というのは一定のルールはありますが、色々な関わり方があるのであまり制約が無いなかで生徒と会話してやっていくので、そこが1年目などの若手教員が困るところなのかなと思っています。ただ、自分がやってみて本当に思うことは、生徒と色々話をして関わっていくと自分自身学ぶことがかなり多くて、「全部教えてやろう」というわけではなくて、対等な立場で生徒から吸収しながらお互い理解し合っていくというのがすごく大事だと思います。その中である程度「こういう風に組織を動かしていくんだ」というような押さえるべきポイントは押さえながらも、自分も学んでいくという姿勢でいくと悩んでいかなくても良いのかなと思います。あとは、長部の方からもありましたが、とにかく生徒と関わるということが第一だと思います。
川名:インタビューは以上となります。役員の皆さん、長部先生、杉山先生、本日はありがとうございました。

【聞き手】川名 悟史/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事
【文】石名坂 陸人/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員

投稿者プロフィール

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石名坂陸人
2002年埼玉県生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会運営委員。専修大学法学部に在籍。大東文化大学第一高等学校在学中に、生徒会長を務め、「生徒主体」をモットーに生徒会組織や学校行事運営の改革などを行なった。
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