一般社団法人生徒会活動支援協会では、このたび日本生徒会大賞2022を実施いたしました。多数の応募から審査委員会を開催し、日本生徒会大賞を個人・学校に各1点、優秀賞を個人・学校に各2点、奨励賞を個人・学校に各2点、特別賞を学校に2点を授与することを決定いたしましたので、審査結果をお知らせいたします。本年においては、団体の部についていずれの賞も該当者なしといたしました。

受賞者のみなさま

受賞者(敬称略・五十音順)
日本生徒会大賞2022 (個人の部) 桃井 晴崇(渋谷教育学園渋谷高等学校)
(学校の部) 静岡県立富士高等学校生徒会本部
優秀賞 (個人の部) 安武 優(熊本県立熊本農業高等学校)
綿貫 鈴(広島県瀬戸内高等学校)
(学校の部) 熊本県立熊本農業高等学校生徒会執行部
桐朋学園生徒会
奨励賞 (個人の部) 亀崎 巧(順天高等学校)
坂本 優樹(浅野高等学校)
(学校の部) 渋谷教育学園渋谷中学高等学校生徒会
清教学園高等学校生徒会
特別賞 (学校の部) 埼玉県立所沢高等学校生徒会
箕面市立第一中学校生徒会

評価に際して

本大賞については、募集要項に基づき応募したすべての団体・個人の書類・添付資料を評価者が確認し、審査委員会において賞の対象者を決定した。

総評

本年度は、特にコロナ禍の中でICT化が一層進んだためか、例年にも増して多くの応募をいただき、困難な時期にも関わらず生徒会活動が継続され、益々充実したものになっていることを実感できた。

   以下、今回の応募書類全体の動向について整理したい。今年度の応募資料にも各地の生徒会が社会変化に柔軟に対応しながら行った活動が多く見られた。例えば、生徒会活動とSDGsとの連続性を踏まえた取り組みや、コロナ禍で活用が広まったGoogle Classroom、Classi、Google Drive、Slackなどのツールを利用し生徒からの意見収集や活動の効率化を図るICT化関連の取り組みなどが目立った。

このような一連の活動の中でも、近年広く議論されるようになった「ブラック校則」や制服などに関する「ジェンダー平等」の議論を汲み、校則改正を目指す取り組みが一層広まったことは特筆すべきである。生徒会活動を通じてルールメイキングに積極的に参加した経験は「子ども・若者参画社会」の実現に向けて極めて重要な意義を持つ。従来、ともすれば「イベント屋」や「教員のお手伝い屋」であった生徒会活動がルールメイキングに取り組むようになる、という変化は大変望ましいものである。

 以上の変化の中で、再度留意すべき点をいくつか指摘しておきたい。第一に、校則改正やSDGsについての取り組みにおいて、しばしば実施の方向性が(場合によっては教師によって)固定化されている場面が目についた。今回の校則改正などのムーブメントを一過性のものとしないためにも、実施の方向性も含めてボトムアップで議論できるような仕組みづくりが欠かせない。

第二に、上記と関連して、活動の過程で生徒内部の多様な意見を出し合い、議論を深める場面が少ないことも気になった。英国の政治学者でシティズンシップ教育に関する提言でも知られるバーナード・クリックは「政治とは、相異なる利益の創造的調停である」と述べているが、この前提には「相異なる利益」が表に現れる機会作りが必要不可欠なことを忘れてはならない。クリックはまた「意見を持つこと、力強く確固とした意見を持つことを、われわれは推奨すべきである。ただし、誰もが議論でき反駁できるような仕方である」とも言う(いずれもクリック『シティズンシップ教育論』より)。校則を変えるべく確固たる課題意識にもとづいて問題を提起し、合意を目指す過程には、多様な意見を集め、互いに時間をかけて意見を戦わせ全体として考えを深めるような議論を生み出す場が不可欠であり、そのための仕組みづくりが一層求められている。

   以上の観点を踏まえつつ、生徒会活動支援協会では、本賞の審査を通じて集積された優れた実践を、より広く全国の活動のために周知していくような活動・イベントを企画している。ぜひともこれらの取り組みを参考としていただきながら、新たな生徒会活動の可能性を切り開いていっていただければ幸いである。

評価理由

(1)日本生徒会大賞2022

個人の部:桃井 晴崇(渋谷教育学園渋谷高等学校)

例年の生徒会活動に対する課題意識を基盤に据えながら、多数の役員・生徒を巻き込み、幅広い活動を主体的に牽引したリーダーシップと実行力を高く評価した。活動としては、スタイルを一新した広報紙「渋渋TODAY」の発行を始め情報公開をめぐる様々な取り組みを進めたほか、生徒会活動を効率的に進めるチーム制の刷新や目安箱への投稿意見へ応答する目安箱委員会を創設するなどシステム面への配慮も見られた。また、会計制度の透明性と公平性を担保すべくルールメイキング活動にも取り組んだ。このような幅広く、質の高い活動を先頭に立って推し進めた点は応募書類の中でも随一のものであり、生徒会大賞を授与するに至った。

学校の部:静岡県立富士高等学校生徒会本部

生徒会組織の変革について、役員の仕事量の偏りや柔軟な組織形態という視点から組織の改善を行い、生徒会と部活動の両立が可能で、後任との引継ぎの機会を設ける必要のない新しい生徒会システムを実現させた。また、校則の変更については、ただ生徒にアンケートを実施し教員と話を進めただけでなく、その過程で生徒が校則について考える機会という点に着目し、校則変更の際のプロセスについて細則を定めて明確化した。さらに、コロナ禍の文化祭では、手作りの飲食販売中止という問題を地域飲食店によるお弁当販売という形で地域との関わりを広げる策として活用した。また、文化祭の収益を地元自治体に寄付し地域への貢献を果たした。
このように、生徒会システムの適切な見直しや校則変更における民主的過程の実現に向けた取り組み、地域社会との交流活動や貢献活動など、全ての面で高いレベルの生徒会活動を行ってきたことを踏まえ、生徒会大賞を授与するに至った。今回築き上げたシステムや知識を継続できるように、これまで以上に多くの人を活動に巻き込み、今後さらに活躍をすることを期待したい。

(2)優秀賞

個人の部:安武 優(熊本県立熊本農業高等学校)

学校内外を通じて、幅広く活動を牽引した点を高く評価した。活動としては、コロナ禍の様々なイレギュラーの中、学校行事を工夫して行うとともに活動のたびにアンケートを重ね質の向上に取り組んだほか、校則改正活動において中心的な役割を担い、学校のみならず地域社会も巻き込んだ活動を進めた。また、学校外でも熊本県生徒会連盟の創設に向けてSNS等を最大限活用しながら活動を行うなど積極的に活動した。応募書類からは、活動に対して自らがどのような課題意識に基づき、実際にいかなるリーダーシップを取ったのかが十分読み取れない点もあったが、活動の質・量共に優れている点を加味し、優秀賞を授与するに至った。

個人の部:綿貫 鈴(広島県瀬戸内高等学校)

生徒会活動を効率的に進めるためのシステムづくりを推し進めた点を高く評価した。活動に際しては、生徒からの丁寧な意見調査にもとづきながら、5W2H(When/ Where/Who/What/Why/How/ How much)を明確化したり、PDCAサイクルを徹底したりすることで質の高い取り組みを持続的に行っている点は注目に値する。このような生徒会システムを効率的に運用する中で、学校内の設備や服装規定の改正などを実現するなど実際の成果が上がっている点も評価に値する。以上の観点から優秀賞を授与するに至った。

学校の部:熊本県立熊本農業高等学校生徒会執行部

学校内活動においては、組織図の再編や生徒会役員の選出方法と罷免の規定を盛り込んだ生徒会憲章の改正、校則の見直しや積極的な広報活動などを行っている。特に罷免に関しては、生徒会役員だけでなく委員長の罷免も可能となる規定を制定した点は、民主主義的機関にするための努力として高く評価できる。また、校則の見直しに際して、オンラインツールを活用した生徒へのアンケート実施や、保護者や地域、企業へのアンケート実施を行った。学校外活動においては、地域のボランティア活動への参加やSDGs普及活動を行い、学校内外において生徒会役員の積極的な行動力は評価に値する。
このような活動を今後も継続できるように取り組むと同時に、生徒会組織をより民主的な組織へと変えていくために、役員選出プロセスの更なる改善について考え、その取り組みが行われることを強く期待したい。

学校の部:桐朋学園生徒会

生徒会の組織改革では、選挙で掲げた公約の実現に向けた検討を行う小委員会の設置や、運営の効率化を目的とした責任者制度の確立を実現した。特にこの組織改革の際に行った生徒会会則の改正は、専門の小委員会を通じて改正に向けた検討が行われており、役員だけに議論が集中することなく、多くの人を検討に巻き込むことができた点が民主的な過程として高く評価できる。また、特定の委員への活動の偏りを是正する取り組みについても評価に値する。さらに学校外活動においては、「服のチカラプロジェクト」や「核に関する学習会」といった活動や、他校との二校間交流や生徒会団体との交流を積極的に行い、自らの活動につなげようとしたことが評価できる。
今後は、組織改革によって誕生した様々な生徒会システムや、交流により培うことのできた他校や団体との関係が持続できるように取り組むと同時に、民主主義の充実を目指した更なる改革と発展を通じて、大いに活躍することを期待したい。

(3)奨励賞

個人の部:亀崎 巧(順天高等学校)

従来、会長による指名制をとり内輪で進められていた生徒会活動の体制を改革し、校則改正を試みるなど活動の幅を広げようとした点を評価した。活動にあたっては、執行部役員の任命制度を見直して参加希望制に切り替え、意欲を持って活動に取り組む生徒を増やした上で彼ら/彼女らを部署ごとに振り分けて効率的に活動を進めた。このような改革の結果、従来の業務に加え校則改正の検討を開始するなど、本来生徒会活動が取り組むべき課題に向かう契機を作った。以上のような改革を、リーダーシップをもって進めた点を評価し、奨励賞を授与するに至った。

個人の部:坂本 優樹(浅野高等学校)

生徒会活動に対する課題意識をきちんと持ちながら、常に幅広い視野に立つことを意識し活動をリードした点を評価した。活動の準備にあたっては、生徒へのアンケート調査や関東圏の高校への学園祭に関するアンケートなどを行うことで、幅広い意見を集めることを意識した。また、活動を進めるにあたっても、安易に多数決で物事を決定するのではなく徹底した議論を重視するなど、常に多様な視点を取り入れることに腐心した。以上のような取り組みを評価し、奨励賞を授与するに至った。

学校の部:渋谷教育学園渋谷中学高等学校生徒会

生徒会の活動において生徒に理解を得られない原因の一つに生徒会のブラックボックス化が挙げられるが、その問題に対し渋渋TODAYの創刊などをメインにオープン化に取り組んでいる姿は他校の見本になると考えられる。
また、生徒会の現状の問題である先生の下についている生徒会という問題に対しても解決の糸口を見つけようとする姿勢は持続可能な生徒会に当てはまるのではないかと考えた。以上の点を評価し、奨励賞とした。

学校の部:清教学園高等学校生徒会

生徒会活動において様々な学校が問題とし、活動を行っている校則改定という大きな課題に対し、学校の生徒像を明確にするという着眼点を持ち様々な角度から方法を模索する姿はこれから学校の校則を変えていこうとする生徒会の参考になる手本となるだろう。
また、生徒会と教職員が妥協点を見出さないまま対決するような形ではなく、生徒会が主導し生徒全体で活動を行う姿や、お互いが理解を示し合い、落とし所を見つけ合う方法による校則改定に関してはこれからの生徒会において非常に重要なスキルだと思われる。
以上の点を評価し、奨励賞とした。

(4)特別賞

学校の部:埼玉県立所沢高等学校生徒会

生徒の所持品管理方法の問題に端を発した議題について議論とステップを多く重ね、生徒総会開催前からの粘り強い準備、そして総会・臨時総会での議論における生徒の活発な意見表明が行われた環境の整備は、学校における直接民主制の運用という面において評価に値する。
一方で、教員視点での生徒会の評価のため、生徒会の活動によって得られた評価というよりも、一部の生徒を通じた全体指導によって得られた教員による教育成果のように見える箇所の存在を指摘する。教員による指導も生徒会活動には重要だが、生徒の視点があると、生徒の活動を直接見られない主体にもその光景が広がって見える点が意識されることを今後の活動で期待したい。

学校の部:箕面市立第一中学校生徒会

「生徒会って何をしているの?」という指摘を受ける現状を改善しようと、生徒会内部と生徒議会の改革を行った。生徒会内部では、これまで不明確であった活動日やそれぞれの役割を明確にし、報告・連絡・相談の徹底を図った。生徒議会については、活動を報告するという形から学校の課題を議会が設定する形に変更し、さらにその解決策を各委員会で検討し全員に共有を行った上で実行するというシステムを構築した。一連の改革は、民主的運営の基盤を見事に整備したものであり、その実績は特に高く評価できる。全校生徒が所属する生徒会だからこそ、民主的なシステムや運営は必ず求められるものであり、課題解決に多くの生徒が参加できるというのは、優れた改革であると同時に冒頭の指摘がされにくい環境へと改善しているといえる。このような活動を生徒だけではなく、学校全体で取り組むことができたということは大きな成果である。「生徒会とはどういった組織なのか」・「民主的な運営とはどういったものか」という問いを常に意識し、さらなる生徒会の民主的システムの向上と生徒会活動への果敢な取り組みを今後さらに期待したい。

日本生徒会大賞とは

日本生徒会大賞は、全国各地の学校生徒会・生徒会団体・生徒会役員を対象としています。生徒会の活動内容やシステムなどを評価することによって、生徒会活動が持つ本来の意義を再確認し活性化させることを目的とした賞です。今回多数の審査対象から受賞が決定いたしました。
今後も継続して日本生徒会大賞の開催を計画しております。詳細が決定いたしましたら、生徒会.jpにてご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。