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福岡県の生徒会の架け橋:「第10回日本生徒会大賞」受賞者インタビュー 福岡生徒会連盟

福岡県の生徒会の架け橋:「第10回日本生徒会大賞」受賞者インタビュー 福岡生徒会連盟


2026年実施の『第10回 日本生徒会大賞』。団体の部の日本生徒会大賞には、高校生・学校の部同様に開始以来初めて2団体が選出されました。

今回は、全国での取り組みを背景に自らの地域における生徒会活動の活性化を目指す、福岡生徒会連盟の事例をご紹介します。

福岡の生徒会をつなぐ架け橋に

 一般に現在の学校の生徒会は、部活動と比較して他校との交流がしにくい状況にあるため孤立感が生じやすく、個々の課題を抱えがちな状況にあります。これを解消すべく、福岡県内すべての生徒会が繋がり合おうというビジョンから設立されたのが福岡生徒会連盟です。

 福岡生徒会連盟の設立は2024年12月で約1年半経過したところですが、多くの学校を巻き込む力と規模拡大の勢いには目を見張るものがあります。連盟設立前ではあるものの、第1回交流会には10校102名の参加がありましたが、第5回交流会では32校240名に達しています。これは対面による生徒会に関する交流機会の中で国内最大規模であり、人数集積という観点では注目に値します。

 2025年度の学校基本調査によると、福岡県内には公立私立合わせて163の高等学校が所在しています。すべての生徒会が繋がるという意味ではまだ道半ばではありますが、着実に成長を続けて設立理念である「高校と高校、人と人をつなぐ架け橋」となる存在に近づいていると見ることができます。

当日プレゼンテーション資料より引用

生徒だけでなく、顧問にも学び合いの場を

 福岡生徒会連盟の更なる特筆点として、生徒だけではなく顧問である教員にとっても交流や学び合いの場となっていることが挙げられます。多くの生徒会団体では生徒による自主的な運営をしてきた経過があり、顧問の帯同を必須としていないことがあります。一方で、福岡生徒会連盟では学校を介して交流会への参加を呼び掛けるなどして規模の拡大を図ってきた経緯があり、団体・生徒-教員間の距離が他の団体と比較して近い状況にあります。そのため、交流会への引率帯同の際に顧問間での交流を企図しやすく、生徒・教員それぞれの立場でよりそれぞれの学校へと還元できる機会を創出している点は、大変興味深いといえます。

 生徒会活動は確かに生徒の自主性も大事ですが、いかに顧問、ひいては各学校の教員の学校運営に対する参画・意見表明のしやすさが担保されているか、という点も重要な要素です。各学校の中で閉じられやすい生徒との伴走方法などについても共有され、より生徒のエネルギーを高める場になることを期待したいところです。

活動の3つの柱

 福岡生徒会連盟の現在の活動の主軸は、主に3つあります。それは、①対面交流会、②オンライン交流会、③募金活動です。①対面交流会は先述の通りですが、②オンライン交流会では場所を選ばないことから県外からの参加もあり、毎回30人以上の参加を堅実にしているようです。全国各地の情報を収集できるという参加者のメリットのほか、生徒会顧問と生徒の間のコミュニケーション方法について相互に学ぶ機会を設けた実績もあり、柔軟な運用がされていると見受けられます。

当日プレゼンテーション資料より引用

 ③募金活動では、統括本部の生徒が兼任する能登半島地震復興支援を目的とする団体NSF Projectsとの協働により、街頭での募金活動が行われ、実際に博多駅での4時間の活動で5万円を超える金額を集めるという実績を有しています。今後は募金活動にとどまらない地域社会との連携を検討しており、自治体や企業との連携を通じた高校生目線の社会への関与を目指しているとのことです。

当日プレゼンテーション資料より引用

以下、『第10回 日本生徒会大賞』決選大会のプレゼンテーション後に、受賞者の福岡生徒会連盟(以下インタビュー中、連盟)第2期三役にインタビューしてきましたので、合わせてご覧ください。

受賞者インタビュー

大賞の福岡生徒会連盟 統括本部第2期三役(左から上田さん、井上さん、向井さん)

インタビュー参加者

※役職はインタビュー当時

<インタビュイー>

井上 葉月さん:福岡生徒会連盟統括本部代表(福岡県立新宮高等学校 HR委員長)
向井 康道さん:福岡生徒会連盟統括本部副代表(九州産業大学付属九州高等学校 生徒会長)
上田 翔太郎さん:福岡生徒会連盟統括本部副代表(西南学院高等学校 元生徒会長)

<インタビュワー>

五十嵐 誠(一般社団法人生徒会活動支援協会 理事)

受賞の感想と周囲の反応

一般社団法人生徒会活動支援協会 理事 五十嵐 誠(以下、五十嵐):
『第10回 日本生徒会大賞』団体の部大賞受賞、おめでとうございます。大賞受賞と知ったときのご感想はいかがでしたか?また、どのような反応が周囲からありましたか?

福岡生徒会連盟 井上 葉月 統括本部代表(以下、井上代表):
連盟の先輩から勧められて応募させていただきました。大賞の受賞を聞いてすごく驚きましたし、「自分たちって本当にすごいことをやってたんだ」と認められた感じがして、きつかったこともたくさんあったんですけど、「頑張ってよかったな、認められたな」と思えました。

目に見える実績ができて本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。プレゼンに行ってくると周りに話した時は、「え!生徒会にもそんなのあるの?」という声が多く、みんな最初はイメージがついてなかったみたいでした。

ですが、実際のYouTube配信や盾、賞状を持ち帰って大賞を受賞したと報告したときは、「全国1位?!すごい!!」とさらにいい反応で褒めて貰えました。

福岡生徒会連盟 向井 康道 統括本部副代表(以下、向井副代表):
自分は連盟の活動自体に特別感はなかったんですけど、自分たちが当たり前って思っていたのが、他の地域からしたら当たり前じゃないのかなっていうところで、福岡という特徴を生かした生徒会活動の発展に対してアプローチできていることを、今回の大賞の受賞を通して感じています。

部活でインターハイに進んだことがあり、生徒会大賞も全国規模というところで同じ空気感を感じることができました。

ただ、生徒会活動や連盟の活動は結構ブラックボックス化しがちなので、活動を深く知られることがあまりなかったので、自分たちの存在証明であったりとか、これまでの自分のやってきたことを再認識できましたし、この大賞の価値を周囲の生徒会活動をする仲間に知ってもらえたと思います。

福岡生徒会連盟 上田 翔太郎 統括本部副代表(以下、上田副代表) :
私たち統括本部だけでなく、支えてくれる第1期の先輩方や連盟メンバーの応援があったからこそ、全国の場で大賞をいただくことができ、本当に嬉しく思っています。また普段の活動で、大規模交流会を当たり前としてやってきて、こうやって賞として評価されることで、自分たちの証明にもなったと思いました。

今後、福岡で生徒会が発展する上においても、とても意味のある賞なのではないかなと考えています。褒めていただける言葉みたいなのが非常に嬉しかったです。

学校の先生方には東京に行くための顧問の先生の許可取りの際に大賞受賞の話をした時に、教頭先生からもお褒めの言葉をいただきました。正直全く関わりのなかった先生から生徒会について褒められて、すごく嬉しさを感じました。

「関東・関西に対して遅れている」外務活動の危機感からの連盟設立

五十嵐:連盟は現在第2期と、スタートを切ってまださほど経っていないと伺いました。どのような経緯で設立されたのでしょうか?

井上代表:立ち上げは2024年の12月です。県内の生徒会団体がコロナで無くなってしまった後、発起人である第1期だった東福岡高校の田中十和さん(第10回日本生徒会大賞 個人の部 優秀賞)が、日本生徒会大賞や全国高校生徒会大会に参加するなどで東京に行くたびに、関東・関西と比較して福岡での生徒会の盛り上がりが足りておらず、遅れを取っていると感じていたそうです。この問題意識から、東福岡高校で10校が参加した生徒会交流会を開催するに至りました。

そこに参加した学校の生徒会メンバーを中心とした約10名でこの連盟の立ち上げを構想し、OBが所属する特定非営利活動法人生徒会活動振興会(以下、振興会)の方を交え、伴走支援していただきながら毎週ミーティングを行いました。

この連盟では私たちが福岡の生徒会の中心となるのではなく、「高校と高校、人と人をつなぐ架け橋」となることを目指しました。新しい団体を作ったから新しいことをやるということではなく、とにかく土台を固め、着実に交流が出来る場を作ることを第一に考えていたので、丸々1年間かけてやってきました。

そして、その土台作りをする中で他の団体とのコミュニケーションを持つことも重要だという考えを共有し、引き続き振興会との連携や学生団体NSF Projectsとの協働による福岡での募金活動を企画しました。

上田副代表:私は第5回交流会の後、12月頃から今までの生徒会活動の経験から他の2人のサポートができるのではないかと考えて統括本部に合流しました。

コミュニケーションについて勉強してきた自分が加わることで、より連盟を皆で前に進められると思いました。実際に募金活動を行ったり、外部との連携をするうえでは、培ってきたものを発揮できたと考えています。

架け橋となることを企図した学校の巻き込み方

五十嵐:連盟の活動では、多くの学校や生徒をかなりの勢いで巻き込んで規模を拡大していると思います。皆さんの活動のどんなところが、それほどまでに多くを惹きつけてると考えていますか?

井上代表:活動というよりも、まだ参加したことのない高校へ、参加の呼びかけを頑張ってきたことにあると思います。

目的が数を増やすことだったら、「各学校から何名以上連れてきてください」みたいなのもできたと思いますが、福岡全体の生徒会を盛り上げたいと考えてきたので、参加する学校を増やすためのアプローチをかけたからこそ、「あそこの学校が行くなら私も行こう」という考えから広がっていったのかなと思います。

上田副代表:私たちは創設して2年目の組織で、まだまだ知名度はないので、ただ地道に色んな学校に「こういう交流会をやります」と声をかけて、とにかく自分たちで多くの学校にFAXを送ったり、身近な生徒会でつながっている子に声をかけてみたりだとか、そういう地道な作業をしました。

まず福岡生徒会連盟の名前を福岡中に広めるために地道にやってきた努力の結果、交流会にたくさんいろんなところから来ていただけるという結果になったんじゃないかなと思っています。

向井副代表:「交流会をする」と宣伝をして実際に来てくださるっていうことは、福岡にもポテンシャルはあるという表れだと思っています。自分たちから学びに来たいという意思が参加者の人数に表れていると思っています。

こまめに宣伝をしたり、色んな人の伝手を頼らせてもらったりと協力もあったからこそ、こういう交流会ができたんだと思っています。

生徒の交流会に顧問の交流会を自ら設定した意図とは

五十嵐:様々な生徒会団体の活動を見る中で特に目を引くのが、生徒主導の顧問交流会の実施です。あまり類を見ない取り組みですが、どのような経緯で始められたのでしょうか?

向井副代表:この連盟では、日本最大級の生徒会交流会を実施してきましたが、交流の場で生徒だけではなく、顧問の先生方も成長できる場所を我々が作らないといけないんじゃないかと思っていました。

生徒会活動では、生徒主体や生徒による自治というワードが真っ先に出てくるのが主だと思いますが、私は生徒だけでできることには限りがあると感じています。

実際に私の高校は「生徒による自治」「生徒主体の生徒会活動」を掲げてやってはいるんですが、教員との関わり合いが鍵になることを日に日に感じていまして、例えば生徒だけでは学校の上層部に情報が伝えきれなかったり、他校に勝手に連絡できなかったりしますし、我々生徒が知らないことを顧問の先生方が知っているとも限りません。

生徒がちゃんとしている生徒会を作るためには顧問の先生方も重要だと思っているので、「福岡の生徒会活動の発展」という目標を掲げた我々の中で、先生も変えていくことを目的として実施しました。

交流会当日は30人余りの顧問の先生方がいらっしゃいましたが、生徒だけのディスカッションの裏で顧問交流会を実施していたので、顧問交流会の参加者自体は10人程になりました。

顧問交流会の内容としては、主にこちらからテーマを提示したディスカッションになっていて、生徒が普段知ることのない、学校や生徒会の予算や行事の運営の教員側の役割などに関して共有していただきました。例えば、自校の文化祭や体育祭での教員側で行った取り組みや、生徒会役員との情報共有の方法などです。

生徒から見てもレベルは高いですが、やはり我々自身も悩みとして抱えている情報の報連相や行事運営においても先生方も悩んでいましたので、参加された先生方は問題解決の糸口をつかめている感じはしていました。

五十嵐:先生の参加のメリットがあるように思える一方で、参加される先生が半分以下と少なかったようですが、他の先生方は何をされていらしたのでしょうか?

向井副代表:顧問交流会の宣伝をしたんですけど、生徒のディスカッションの参観に回る方が多く、集まった先生方は10人ちょっとという形です。1校から顧問が複数人来てそれぞれに分かれる、という学校もありましたが、生徒に付きっきりという先生方が多く見受けられました。

生徒会役員の生徒会活動に対する意識と、顧問の先生方が交流会への引率を単にタスクとしてこなしているという意識の差が垣間見えたかなと思っています。自校でも生徒会の交流会をする中でも、顧問の先生方は顧問交流会にあまり前向きに参加していらっしゃらないような雰囲気でした。

生徒がディスカッションしている裏や会の前後で、先生方が名刺交換をしてちょっと世間話して「また会いましょう」で終わってしまうのを私は何度も目にしてきたので、そこからもう一歩がこの顧問交流会の役割なのかなとずっと思っています。

実際に事後アンケートには、「普段でもここまで踏み入って他校の内情について話は聞けないから、このような交流会は新鮮だった」というような意見もありましたし、直接「この場を作ってくれてありがとう」という感謝の言葉をいただいたりもしました。

井上代表:私は写真撮影で顧問交流会を見ましたが、先生方も生徒と同じように話を真剣に聞いてメモを取ってる姿だったり、他校の状況を聞いたりしている場面も見られたので、先生たちも生徒と向き合おうとしているんだと感じました。

この交流がもっと他の学校の先生方にも広がっていったらいいなっていうのも思いましたし、生徒会にしっかり向き合ってくださってる先生方もいるっていうのが見えたので、この輪を広げるために、もっと魅力を発信していかないといけないなと思いました。

上田副代表:生徒会顧問の先生には生徒の活動に対して放任的である人も制限的な人もいると思うんです。生徒会は学校では顧問の下にいる組織なので、顧問の先生方が交流会に参加する機会を作って、ブラックボックスを中からぶち破ることができれば、福岡のそういう生徒会が変わるきっかけの一つにもなるんじゃないかなっていうのは、そばから見てて思いました。

社会とのつながりを持ち、拡大していく

五十嵐:この福岡生徒会連盟としてどんな活動を目指していくか、そして今後の展望についてどう考えているか、教えていただけますか?

井上代表:まずは7月に対面の交流会があるんですけれど、『高校生のじかん』という福岡県を中心としたテレビ番組に交流会へお越しいただき、テレビやSNSなどに広報のアプローチを広げていく予定です。

一番の目的である福岡の高校の生徒会を盛り上げ、たくさんの高校に参加してもらうために、広報の幅を広げることによって、安心して参加できる団体であることを証明できていけたらなと思ってます。

また、それによって信頼度や安心感が変わってくると思うので、外部への制限が厳しい公立高校も参加しやすい環境を作れたらなと思っています。

上田副代表:プレゼンや受賞に対するコメントでもいただきましたが、交流会をやって人が集まるフェーズにある意味の限界に今自分たちは来ていると思っています。その一環として、生徒会役員が様々な目的を持って交流をすることを考えています。

何か生徒会が楽しめることをやろうみたいな話がありまして、それで今回『高校生のじかん』という番組を呼んで、お楽しみ会的な行事を行おうというふうに考えていたり、今後の交流会では、生徒会の仕事上の付き合いだけでなくて、友達や仲間になる人たちが見つかるような場所を提供していきたいなと考えています。

他団体とのつながりで言えば、今年の我々第2期は連盟創設当初から伴走支援をしていただいている振興会に加え、新たに関わったのが今のところNSF Projectsだけです。NSF Projects以外にも福岡で活動している学生団体はいろいろありますし、それこそ県や市という行政機関などとの連携先があると思います。

第3期に関しては、行政に関わったり、外部団体との関わり方を増やしたり、様々なボランティア活動への協力などを通じて、福岡生徒会連盟という名を広げていただけたらいいなとを思っております。

向井副代表:実際、福岡の生徒会活動は我々が交流会を開いてから目まぐるしく進化していて、色んなところで交流会が開催されていたり、自分たちで学生団体を立ち上げようという方も出てきています。我々はその開拓者になれたのかなと思っているので、私たちなりに矜持を持って後押ししていくなど、これからの活動を続けていきたいというのはあります。

また、福岡生徒会連盟は生徒だけの団体なので、これからは地域の企業さんや広報媒体を巻き込んで宣伝活動をお手伝いしていただきながらも、我々も生徒会としてできる福岡という地域に対してできることを最大限やっていこうと思います。生徒会活動としての範疇は超えるかもしれませんが、これからの新しい生徒会の一種の形になるんじゃないかなと思っています。

上田副代表:今後私たちの交流を広げるという意味でも、より地域へのかかわりを持つという意味でも、まだまだ参加の少ない公立高校とのつながりを持ちたいと考えています。現状では福岡市近郊の高校が多く参加している一方で、県内の他のエリアからの参加は北九州に数校ある程度でまだ全県に広がっているとはまだ言えない状況です。

第1期が土台を作って、この第2期で連盟の規約を作ったりするなど基礎固めをしてきたので、第3期に本格的にいろんなところに足を伸ばして活動してほしいなという感じに思っています。

向井副代表:我々福岡生徒会連盟は実際まだ完成形ではなく発展途上ですので、我々の力だけではできることに限りがあると考えています。

我々は常にフレッシュな風を求め続けているので、福岡を飛び出して九州全体の生徒会活動のレベルの底上げをしていきたいです。

また、日本最大級の交流会を行っていることを他の生徒会団体が真似してくれて、そこでも大規模な交流会が各地で起きて、他の国と引けを取らないような日本ならではの生徒会活動が誕生したら、ヒントを与えられる側になれたらなっては思っています。

五十嵐:皆さんの力強いお考えがとても伝わりました。改めまして、大賞受賞おめでとうございました。


【文】五十嵐 誠(一般社団法人生徒会活動支援協会 理事)