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「若者の地域社会参画」のモデルケースになれるか:日本高校会議所第1回総会


8月4日、富士宮市民文化会館(静岡・富士宮)において、「日本高校会議所第1回総会」が開催された。2016年に富士宮市で発足した「富士宮高校会議所」を先駆けに、現在では兵庫県明石市や愛媛県今治市においても、高校会議所が組織され、活動を行っている。それら地域ごとの高校会議所の上部組織として2017年11月に「日本高校会議所」が設立され、今回の総会開催に繋がったという背景がある。

なぜ、今「高校会議所」なのか

今後の「若者の地域社会参画」の一端を担う可能性を持つ枠組みとして、地域生徒会団体と同様に、”高校会議所”の活動に着目している。

2015年6月の公職選挙法改正に伴う「18歳選挙権」の実現、あるいは2018年6月の民法改正に伴う「成人年齢の引き下げ」が目前に迫る現況において、高校生・若者が地域社会により一層参画する事は、シティズンシップ教育やキャリア教育の一環としてのみならず、その事自体に一定のニーズがあると指摘しても過言ではないだろう。

総会第1部「開会式」

今回の総会は大きく4部で構成された。第1部においては、日本高校会議所会頭の中村真緒さん(写真右)が「富士宮の生徒の取り組みが日本全国に展開している事に意義がある。この総会で全国の仲間達との繋がりを深めたい」と挨拶した。

来賓を代表して富士宮市長の須藤秀忠さん(写真左)が「政府が地方創生という旗印を掲げ、そして公職選挙法の改正によって18歳選挙権が実現した現在、このような取り組みが富士宮で始まった事は誇り。それぞれの地域を盛り上げ、ひいては日本を盛り上げて欲しい」と式辞を述べた。また、日本高校会議所のゲストサポーターとして、タケノコ王の愛称で活動を行う風岡直宏さんからもエールが送られた。

総会第2部「高校生地域活性化プロジェクト発表大会」

第2部・“第1回高校生地域活性化プロジェクト発表大会”においては、今回の総会に参加した日本全国の6団体による、プレゼンテーション形式による活動報告が行われた。

各団体からの報告タイトル

  • 下田伊豆高校南伊豆分校チーム(静岡・南伊豆):「育農 〜地域を生かす新しい農業経営〜」
  • ThinKyo北海道:「今日、教育をthinkする。ThinKyo北海道」
  • 千葉県チーム:「高校が塾を運営 in里山 〜私たちは北風と太陽の太陽になる〜」
  • あかし高校会議所(兵庫・明石):「あかし高校会議所の軌跡』
  • 藤枝北高校チーム(静岡・藤枝):「過疎化地域の活性化プロジェクト〜高校生農家民宿への挑戦〜」
  • 富岳館高校チーム(静岡・富士宮):「被災地に緑を!〜全国の農業クラブと挑戦した環境保護活動〜」

下田伊豆高校南伊豆分校チーム

ThinKyo北海道

千葉県チーム

藤枝北高校チーム

富岳館高校チーム

総会第3部「交流会」

第3部では、総会に参加した高校生同士が親睦を深め、同時に活動を支える社会人ともコミュニケーションを図る場として「交流会」が催された。会の途中、ショートピッチ形式で会に参加する高校生が自己紹介などを行った他、総会開催にあたって協力を行った大正大学学長補佐の福島真司さんや同大の学生からも、簡単な挨拶があった。

また、会場では、富士宮高校会議所が商品開発を行った「マスマヨバーガー」や「マスコロ富士山」など、特産品のニジマスを活かした軽食が振舞われ、参加した高校生は勿論のこと、見学や取材に訪れていた皆が舌鼓を打つ光景が見られた。

総会第4部「閉会式」

閉会式では、総会開催にあたって貢献のあった「富岳館高校ものづくり部」やロゴの作成者に対する表彰が行われた。また、日本高校会議所の次期会頭選出にあたっての総選挙結果が公表され、堀川舞帆さん(静岡県立下田南伊豆分校・高3)が会頭に選出された。加えて、第2部・発表大会の結果も発表され、藤枝北高校チームが金賞の評価を得て、表彰された。

インタビュー

日本高校会議所のメンバーや参加した高校生、会議所の活動を支える社会人にインタビューを行った。

中村 真緒さん(日本高校会議所 初代会頭)

Q:総会を迎えての率直な感想は?

A:日本高校会議所は2017年11月に発足したが、それまでも富士宮で1〜2年弱活動していた。その活動の中で、「この様な活動を全国に広げたい」という思いを皆が共有してきた。日本高校会議所の発足から9ヶ月経ち、こうして同じ志を持った同志と交流できる・発表し合えることは嬉しく、純粋に楽しい。日本高校会議所としては全国規模で何かやりたいと考えている。期待しておいてほしい。

宮地 里佳さん(あかし高校会議所/兵庫県立明石・高2)

Q:総会に実際に参加してみてどうだったか?

A:今回参加して、皆さんがすごい活動を行っていて、他の団体の紹介の内容は、高校生が行なっていないかの様な活動。私たちも、(他の参加団体の様な)活動を行えればと感じた。

野本 貴之さん(一般社団法人富士宮青年会議所 副理事長)

Q:「若者の地域社会参画」「若者の政治参画}に関してどの様に捉えているか?

A:富士宮青年会議所に限らず、様々な地域の青年会議所が「若者の政治参画」に関する活動を行なっている。とは言え、「政治」や「教育」という切り口は難しく関心を持ってくる高校生は少数派に過ぎない。中間層の高校生に対する働きかけが大切であると考え、この様な活動をサポートしている。

渡辺 英彦さん(富士宮やきそば学会 会長)

Q:市長から「大きなサポート役になった」との紹介があったが、富士宮で高校会議所の取り組みを始めたきっかけにはどの様なものがあるのか?

A:もともと「B-1グランプリ」などの地域の人たちが自発的に街を元気にしようとする活動に携わっていた。これらの活動の持続性という観点から人材育成が欠かせないものであり、次世代を生む為のツールの一つとしてこの様な活動を考えついた。地元の富岳館高校の高校生の活動にも影響を受けた。また、地元の高校の間もなく退職を迎える先生も、今後も人材育成に携わりたいという思いがあり、この活動に協力頂いている。地域に役立つ人材を育てないと、まちづくりはうまくいかない。高校の間にこの様な活動を行なっておけば、地元に戻ってくる人材が生まれるのではないか。富士宮高校会議所が成功モデルになる様に、サポートを行なっている。

おわりに

現在は「若者が地域社会で何かに取り組むこと」が、これまでになく求められ、それを推し進めようとする様々な組織や”大人”たちが現れている。こうした動きは基本的に歓迎すべきものであり、喜ばしいものであることは疑いようがない。

その一方で、“お飾り参画”と指摘せざるを得ない事例、換言すれば「若者を前に出しておけば良いだろう」という発想に基づいた「参加する若者」の主体的な意思が見過ごされている事例がない訳ではない。同時に、参画しようとする若者自身が「若者」という立場に固執する事例もないとは言えない。

であるからこそ、一人一人が地域をより良くするために何ができるのか、その純粋な思いに基づいた『若者の社会参画』が推進されていくことを願ってやまない。そのモデルケースの1つとして、高校会議所の可能性を改めて感じた会となった。

【文・写真】栗本 拓幸/一般社団法人生徒会活動支援協会 常任理事

投稿者プロフィール

栗本 拓幸
1999年生まれ、慶應義塾大学総合政策学部在学。一般社団法人生徒会活動支援協会常任理事、一般財団法人国際交流機構理事、日本シティズンシップ教育フォーラム会員など。生徒会活動が持つ主権者教育や次世代型教育としての可能性に着目。各種研究・コンサルティングの他、文部科学省に対する提言発出等を実施。また、若者の政治・社会参画を進める「若者政策」のアドボカシーにも参画。富士通総研「トポス会議」などに登壇。