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生徒会団体をアップデートする:「生徒会団体シンポジウム」レポート


11月11日、早稲田大学戸山キャンパス(東京・新宿)にて「生徒会団体シンポジウム(共催:神奈川県高校生徒会会議・さいたま生徒会連合・一般社団法人生徒会活動支援協会)」が開催された。シンポジウムのテーマは「団体に求められるものとは」。生徒会団体について理解を深め、それぞれの生徒会団体について深く考えることを目的として開催された。午前に神奈川県高校生徒会会議の2018年度代表である不二山七海(高2・森村学園)、本協会の理事である栗本拓幸、理事長である荒井翔平の3名によるパネルディスカッション、午後に各種生徒会団体関係者を主に十数名、学校教員や生徒会団体OB等の見学者を交えた討論が展開された。

パネルディスカッション

1. それぞれの生徒会活動と課題感

最初にパネリストらから、それぞれの生徒会活動の経験と課題感が語られた。神奈川県高校生徒会会議(以下KSと記す)の代表は神奈川県の強固なコミュニティの形成を重視しており、その為に現在進めている企業とのコラボ等の新企画について語った。新企画では現在KSが抱えている、参加人数、特に神奈川県の役員が少ないという課題をどのように解決するかがカギとなりそうだ。現在大学生で支援協会の栗本は自身の様々な生徒会活動の経験を語った。生徒会活動が様々な可能性を持ち多方面に発展していく中で、運営や方法論のノウハウ等が共有し切れていないことや中高生だけで行う活動の限界を課題に挙げた。協会代表理事の荒井は本協会の立ち上げに至るまでの歴史を語った。課題として生徒会活動への学校教員の協力を挙げており、また生徒会OBOG組織の必要性を説いていた点は生徒会を引退して十数年が経った者ならではの視点であると言えるだろう。また、自分たちを客観視して常に改善していくことの重要性も強調した。興味深かったのは“役員自らがどれほど活動を楽しめるか”も活動の上で重要であると語っていた点だ。生徒会活動に従事する役員が忘れてしまいがちであるが重要なマインドであるように思われた。

現在生徒会活動をしている立場、活動から身を引いた立場では課題を見出す点も異なるようだ。それぞれの立場からありのままの言葉が綴られた。続く2つの項ではパネルディスカッションで交わされた新規性のある話を共有したい。

2.今と昔の生徒会

今と昔の生徒会の比較についてのディスカッションが白熱した。生徒会団体の集客力に関しては発達したネット社会である今の方が格段に強い。紙媒体からネットへ、という一直線の変化に見ることも出来るが、紙媒体とネットという2つのメディアを用いることが出来るようになった、つまりメディアの選択肢が増えたという見方も出来る。目的に応じてメディアを使い分ける能力が今を生きる生徒会役員には求められているのではないか。

3.生徒のニーズをくみ取る

パネルディスカッションの進行役を務める神奈川県高校生徒会会議副代表の遠藤貴也さん

―生徒会本部への反発や批判にこそ生徒の「ニーズ」が表れているのではないか。
生徒の要求を満たすにはどうしたら良いかというというディスカッションに新たな視点がもたらされた。より良い学校づくりにおいて生徒の意見を聞くこと、ニーズをくみ取ることは欠かせない。しかし、生徒のニーズが顕れるものといえば「○○してほしい」というようなアンケートや目安箱の投書に記される直接的なものだけを連想しがちだ。生徒のニーズを生徒の細かな反応から探って活動をしていくことの重要性が示唆された。

日本における生徒会活動の現状・支援協会活動報告

本協会の常任理事である栗本から生徒会活動の起源と現在に至るまでの変遷と支援協会の活動状況が語られた。現役の生徒会役員にとっての障壁の1つに教員とコンセンサスがとれないことはよく挙げられる。その原因に学生紛争の歴史があり、それを恐れる教員が現在も存在しているという話がなされた。活動の障壁の原因を歴史に求めるということは、学校内の生徒会活動においても生徒会団体の活動においても重要であるかもしれない。校内に留まらず地域社会に参画していく新しい形の生徒会の提示と共に様々な課題が挙げられるなど、話題が多岐にわたる濃密な講演であった。

ディスカッション(午後)

「生徒会で最も重要なものとは?」「生徒会の存在意義とは」という2つの議題の下にワールドカフェ形式のディスカッションが行われた。

1.生徒会で最も重要なものとは

3つのキーワード「信頼」「民主的」「意識」に大別され、各グループごとに討論が行われた。1つ目のグループでは、生徒会役員間延いては学校組織全体で信頼関係を保つためにはコミュニケーションや情報公開を怠らないことが重要であるとという議論がなされた。2つ目のグループでは、生徒会本部は「下請け」の組織ではなく生徒の代表機関として生徒の利益と福祉を重視することが重要であるという議論がなされた。3つ目のグループでは特に行動力に力点が置かれ、行動することに拠って情報視野を広げ、結果から次の行動を起こすサイクルの重要性が議論された。どのグループも完璧な結論に帰着したわけではなく、個人が自分の中に問いを残すような形で終わった。活動の軸を定める上で、自分たちが最も重要だと思うことを随時言語化していくことも肝要であるのかもしれない。

2.生徒会団体の存在意義とは

3つのキーワード「情報共有」「コミュニティ」「学びの場」に大別され、各グループで討論が行われた。これらは独立しておらず、相互補完的な関係にあるように思われた。つながりが広がることにより情報共有の度合いは高まる、それが経験値を高め、生徒会として学校に還元する為のスキルを習得するだけでなく自己啓発にも繋がる。生徒会団体は原則自由参加である。自分や自校のニーズに合った団体を選ぶこと、1つの団体に留まらないことが個人(学校)にとっても全体(全ての生徒会団体)にとっても利益となるのではないか。

参加者インタビュー

WANの代表を務める富田真琴さん(日本女子大付属・高3)は、今回のシンポジウムについて「他の討論会ではあまり団体について話し合うことが無かったので、団体の代表として、マンネリ化している状況を解決につなげられる意見が多くありました」と語っており、「信頼を大切にしたいと考えています。信頼を得ることでつながりが広がり、1つひとつの団体の規模が広がる、という良い方向に向かいます。学校内でも学校外でも信頼とそれによるつながりを大事にしてWANを大きな団体にしていきたいと思います」と今後の活動に関してビジョンを描いていた。

次期東海生徒会連盟の運営に携わる、田路裕也さん(三重県立津・高2)は連盟には一度も参加をしたことがない。そんな彼が「連盟の中で地域との取り組みを強化していく、ということが新鮮なアイデアだなと思いました。議論を活発にするだけではなくて、地域との関りも活発なのが理想の生徒会団体だと思いました」と語っており、シンポジウムを通して理想像の輪郭がはっきりしたようだ。

今年青森で発足したばかりの学生団体LINDEALの代表を務める、吉田悠馬さん(八戸工業大学第二・高2)は「地域密着型の生徒会団体があったり、情報共有から生徒会活動の活性化を目指す団体があったり、団体によって役割が違うことが新しい発見でした。情報共有をメインとした団体をイメージしていましたが、地域に貢献していくような活動も取り入れたいと思いました」と語った。固定観念にとらわれず団体を発展させていってほしい。

イベント開催から見えてきた今後

小規模な開催となったが、結果的に参加者間で深く濃い議論が交わされ今後の各種生徒会団体の活動への期待が高まる。また、今回のイベントでは多種多様な立場で「生徒会活動」が語られることにより様々な色や課題が見えてくることがわかった。このようなシンポジウムの継続的な開催は各種生徒会団体の持続可能な発展に寄与するのではないか。

参加者の反応

当日イベント開催後、参加者の皆様には本イベントに関するアンケートの回答にご協力頂きました。その集計も先日行い、コンテンツごとに区切ってご報告いたします(以下回答紹介の際、同様な回答内容は省略させていただきましたのであらかじめご了承ください)。

パネルディスカッション

午前中に行われたパネルディスカッションの進行及び内容すべての回答者から「満足」回答を頂いた。
実際参加者から意見として挙がったものとして、役立つ情報を聞くことが出来たという声が目立ち、多く参加者にとって新鮮なパネルディスカッションであったことが伺えた。

  • 特に高校を卒業した先輩方の話は役に立った。
  • 生徒会団体の理念、活動内容について聞くことが出来た。
  • 連盟と地域で連携するなど、地元の高校生を集める為に新たな取り組みをすべきだということを教えてくれた。
  • 活動の様子が垣間見られて良かった。

さらに、具体的な団体の活動内容や、活動に当たってのコツ、生徒会団体の限界についてなど、更に深い内容について聞きたいという意見も挙がり、参加者は、生徒会団体における活動に対する意欲が高い印象があった。

小議題

パネルディスカッション直後に行われた小議題に関しては、特にコンテンツに対する不満回答は見られなかったが、この場でも生徒会活動に纏わる更に具体的な方策などについて議論したかった、というような意見が、実際に以下の通り見られた。

  • もっと様々な団体について知る場面が欲しい
  • 生徒会団体の限界の打開策(?)
  • 後輩育成、引継ぎについて
  • 生徒会の外部イベントの情報など

以上の意見を見ると、今後具象的な生徒会活動の議論を求める人が当日の参加者として居たことが分かる。

各生徒会団体の紹介

各生徒会団体の紹介の時間は、当日イベントに参加していた各運営の方から口頭で、現在どのような活動を行っているのか説明があった。
その当時に関して参加者の中から、口頭での紹介でわかりにくかったという意見があり、紹介内容の正確な把握ができる環境が、十二分に整っていなかったことが浮き彫りになった形だ。
他にも、生徒会団体のみならず、学校単位の生徒会活動の報告も聞きたかったという意見が見られた。

日本における生徒会の現状報告

「生徒会の現状報告」のコンテンツに関しては、回答者全員が「満足」回答であった。

  • 自分も刺激を受けた。
  • 全国的な課題が浮き彫りになってきていると感じた。
  • 自分の学校にも変えるべき点が多くあるのが改めて分かった。

参加者からは、各々が、生徒会に関する問題意識を改めて持ち直す参加者が多数見られ、今後参加者が活動していくにあたって、良い問題提起としてこのコンテンツの役割を果たすことが出来たのではないかと考えられる。

ディスカッション(午後)

午後のディスカッションに関しての評価は人それぞれで、「とても満足」の回答から、「不満」回答まで見て取れた。

  • 生徒会団体の存在意義
  • 新たな討論方法について。(進行の)マンネリ化防止策など
  • 生徒会団体でできる新たな試み
  • 生徒会の今後の活動について。方向性について(継続)

その中で「今後同様なイベントがあればどのような議題で話してみたいのか」聞いたところ、多くの参加者から、今後生徒会団体での活動において、新たな取り組みを探し求めたいといった意見が多数挙がり、各々が継続的な団体運営について向き合っている様子が伺えた。
一方で「不満」回答として、当日は一般的なディスカッションとは異なった形式で執り行われた為、「ディスカッションの進行で少々混乱をした」ことが挙げられていた。

イベント全体への評価 ―最後に

参加者からは本イベントの全体的な評価として、有意義なイベントだったという声、次回開催への期待の声があり、一定のレベルで有意義な時間を参加者に提供できていたことが見て取れる。

  • とても貴重な話を聞けてすごく良い時間を過ごすことができた
  • この会議は本当に有意義だったので次回はもっと人数を集める(規模を拡大する)とより良いものになると感じた。

その一方で、「各校及び各地区生徒会の現状報告と今後の活動について、具体的に話を聞ける場がほしい」といった要望・意見もいくつか挙がっていたことも事実であり、今後も同様なイベントの開催をする機会があれば、今回見られた改善点を反映し、参加者にとって有意義なイベントの提供を目指していきたい。

改めまして、参加者の皆様につきましては、本イベントにご参加いただきましてありがとうございました。感謝申し上げます。

【文・写真】楠瀨 千尋/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員

投稿者プロフィール

楠瀬 千尋
1999年奈良県生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会運営委員。奈良女子大学附属中等教育学校卒業、早稲田大学教育学部に在学。