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持続可能な外務活動を続けるために:「外務・内務を捉える」第3回


前回までのコラムでは,外務活動とは何であるかやそれを有意義なものとする方法等を紹介してきました.最終回となる第3回では,持続可能な外務活動が行われるために今考え直すべきであろうことを再考しました.

初心者が参加するメリット

はじめに今一度,初心者が外務活動に参入することの利点を生徒会団体の視点から考え直してみたいと思います.初心者と一口に言えど,学校として初めて参加する役員から,代替わりして先輩から引き継いで参加する役員まで幅広いです.ここでは包括的に,外務活動を行ったことが無い全ての人を指すことにします.では初心者が外務活動,殊に生徒会団体の意見交換会に参加する利点とは何なのでしょうか.

一言で言えば「新鮮さ」に尽きると思います.というのも,初心者が参入することで団体に新しい視点や言葉が持ち込まれるからです.筆者は,参加者が外務活動に慣れれば慣れるほど「それっぽい言葉」で議論を出来るようになってしまう傾向があるのではないかと危あ惧しています.継続的に意見交換会に参加している役員であれば実感を伴ってその状況を想像できるのではないでしょうか.

本コラムの第2回において述べた「具体化」の話に共通項を持つ話ではあるのですが,コミュニティ内で無意識に多用されている言葉があるはずです.そのような言葉で議論され共有されるイメージ(ex. 理想の生徒会長)は,言葉の上ではまとまっていても具体性や精密さに欠くことが多いです.団体の代替わりの時期は特に,新しい視点で見られ,新しい言葉で語られる生徒会・外務活動に敏感になってみてはどうでしょうか.

実行が困難である原因の分析

先に述べたように,初心者にとっては外務活動は新鮮で刺激的でありモチベーションがかなり高められます.しかし間違いなく誰もがモチベーションが最高潮に達した後にぶつかる壁があります.それが実現の難しさです.いくつものアイデアが思い浮かんでもいざ実行しようと書面に文字化し始めると現実味を失う,提出した企画書が拒否される,自校の役員に賛同者を得られない等々の問題が尽きません.これは断言できますが,アイデアを全て形にする万能な策はありません.そしてアイデアがたくさん生まれたと言えど実現できるものは少ないです.その上で,実現できないものに関してその原因を細かく分析[解]することをおすすめします.例えば,筆者の経験上原因は①役員の能力・やる気,②学校制度,③教員や一般生徒との関係性の3つに大別されます.中でも校内外問わずよく見聞されるのは③のケースであるように思います.ここでは一見どうしようもないように見える③こそが分析のしようがあり,他のケースへの応用可能性があるのではないかということを提案します.というのも,人間の感情にはその人のニーズが隠れているからです.つまり教員からの反対,一般生徒からの反発や批判には必ず彼らが生徒会に求めているものとそうでないものが顕れているということです.偽善的で表面的に聞こえるかもしれませんが,企画書が拒否された際には是非教員や一般生徒と対話をしてみてください.求められているものをくみ取ることが出来れば,より実現可能性のある新たなアイデアが出てくるはずです.

挑戦のすすめ

最後に,外務活動が今以上の価値を持つよう,生徒会団体に所属する役員へ常に挑戦的であることをすすめます.生徒会団体は発足当時よりも非常に安定した組織になってきました.一方で,私たちは生徒会団体に依存するようになってはいないでしょうか?何かを議論することに関しても,新しいアクションを起こすにつけても,団体が提供してくれる場や議題に全てを求めてはいないでしょうか?少し厳しい表現を用いますが,惰性で参加・運営している限り自分たちの求める理想の生徒会団体にはなり得ません.参加すること自体に満足していてはいけないと誰もが思っていますよね.筆者は1つの理想的な状況として「安定した土台から常に新しいものが生まれ続ける」というものが挙げられると考えています.受け身にならず,新しいことを随時形にしていってほしいと思います.何かしたい!そう思った時には既に同じ志を持って取り組める仲間が周りにいるはずです.

ここまで全3回のコラムは如何だったでしょか.具体的な方法論というよりは概念や根本に焦点を当てました.あくまで執筆完了までの私の考えを述べたまでであり,これからもそれは変化して行くでしょう.恐らく読者の多くは生徒会関係者であると思いますから,私のコラムを批判的に捉えてみたり,自分なりに考え直してみたりしながら外務活動を行って下さることを願います.全3回,お付き合い頂きありがとうございました.

【文】楠瀬 千尋/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【写真】荒井 翔平/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事長(2012年に初回が開催された生徒会大会.当時は首都圏地域の各団体から多くの参加者が集った)

投稿者プロフィール

楠瀬 千尋
楠瀬 千尋
1999年奈良県生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会運営委員。奈良女子大学附属中等教育学校卒業、早稲田大学教育学部に在学。