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有意義な外務活動にするには:「外務・内務を捉える」第2回


前回のコラムにおいては,外務活動の定義を確認し,その意義や可能性を追ってきました.今回は有意義な外務活動を行う為のキーポイントや思考の方法を紹介していきます.

目的の設定と共有

最初に目的を設定すること,その設定した目的を本部役員間,ひいては生徒会全体で共有することが重要です.その利点を2つ紹介します.1つは手段の目的化を防げるということです.とりあえずの外務活動を行っていると,どれほど議論が白熱しようとも吸収できるものがありません.もっと的確に言えば,何を吸収できたのかに気づくことが出来ません.これはすごく勿体ないことです.また,「そういえば何で毎月意見交換会に参加しているんだろう」と疑問に思い始めた時期には任期満了を迎える,などということも珍しくありません.目的を設定し本部役員間で共有出来ていれば,目的を達成する為に必要な情報を意識的かつ効率的に吸収することが出来ます.外務活動はあくまでも内務活動の為に存在します.手段の目的化を防ぐことに努めましょう.2つ目は一般生徒や教員から理解を得やすくなるということです.外務活動で得られたことはすぐに目に見える形で学校に還元出来るわけではありません.その為に「ただ他校の生徒と楽しく交流しているだけなのではないか?」と疑われたり,本部役員ではない生徒から批判の的になりやすいのも事実です.だからこそ,交流会や意見交換会に参加したという事後報告をすることも大事ですが「○○の為に参加します」というように目的を予め共有しておくことも非常に大事です.しかし1つ注意点があります.これはあくまで外務活動への理解を得るための手段であるということです.つまり,本部役員間で共有する目的とそのほかの生徒を含む生徒会全体で共有する目的の内容とそのレベル感は必ずしも同じでなくても良いということです.例えば「染髪に関する校則を変えるために参加します」などと具体的でスケールの大きいことを言ってしまうと,理解を得るどころか一般生徒の期待を高め本部役員への監視の目が強まることになりかねません.保険をかけるという意味ではありませんが,どの程度の内容を共有するかは各々で判断しましょう.

これら2点とは別枠ですが,“目的を持って行動すること”は“自信を持って活動すること”にも繋がると考えています.

具体化

今や非常に多くの学校が生徒会団体に所属しており,毎回の意見交換会の参加人数も増えています.その結果,ディスカッションにおいて以前よりも多種多様な意見を聞くことが出来るようになりました.一方で,議論における結論の一般化・抽象化が強いられるようになってしまったようにも思います.というのも,議論後の発表・共有や議事録,参加者の満足度を考慮すると便宜的に結論を出す必要があるからです.異なる条件下にある学校(個別事象)から共通項を見出し結論付けるとなると当然抽象度の高いものになってしまいます.ですから,結論が出たらゴールだと思わず,そこから自校レベルの話へと具体化する作業が必要となります.例えば「学校へ還元する」という結論があったとしましょう.これを自分の学校ではどのように実現できるか,制度と分野の2つの観点から考えて具体化してみます.(1)制度については,そもそも本部役員がどの程度学校運営に関わることが出来るかという話です.ここで予算の決定権,学校行事の実施決定権が生徒会にあるか否かで出来ることが変わってきます.(2)分野については,文化祭や体育祭,はたまた校則など,何において還元をするのかという話です.分野が決まれば誰がどのような仕事をすれば良いのかがわかります.こうすることで「学校行事の実施決定権はないけれど予算の決定権はある.だから既存の行事である体育祭において新しい競技を取り入れよう.その為に必要な道具の購入費を来年度の予算に組み込もう」というような還元のモデルを1つ立てることが出来ます.ここでは2つの観点しか紹介しませんでしたが,より細かい観点から結論を具体化すればするほど今自分たちは何をすべきで何が出来るのかが見えてくるはずです.

問いを持つこと

最後に,外務活動をする上で各々が問いをもつことを勧めます.この問いを便宜上“大きな問い”と“小さな問い”に分類します.以下に簡単な定義づけを行い,その具体例を挙げます.

  • 大きな問い
    • 根本的な考えや事象に対する,明確な答えの得られない問いのことです.換言すれば批判的な視点をもたらす問いとも言えます.例えば「本部役員に求められる能力とは」「生徒会の理想像とは」といったものです.
  • 小さな問い
    • 具体的な事象に対する,明確な答えを得られる問いのことです.例えば,他校との個別交流会において「この設備はどれほど有用であるか」,生徒会団体主催の意見交換会において「○○というイベントは一般生徒や教員からどのような評価を受けたか」といったものです.

前者には明確な答えが無くとも,その時々に応じた最適解はあるはずです.だからこそ常に問い続けることに意味があります.後者は意見やデータといった形で答えを得ることが出来ます.ですから,積極的に答えを得て知識のように堆積していくこと,それを企画立案等で活かしていくことに意味があります.当然ですが,求めない限り得られるものはありません.常に問いを持ち続けましょう.

今回は生徒会役員の皆さんが外務活動をする上で恐らく何となくは気づいているであろうことを言語化してみました.1つの方法論として実践してもらえれば,そして少しでも外務活動を有意義なものにしてもらえたら幸いです.

【文】楠瀬千尋/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員
【写真】第6回全国高校生徒会大会の様子(栗本拓幸/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事)

投稿者プロフィール

楠瀬 千尋
1999年奈良県生まれ。一般社団法人生徒会活動支援協会運営委員。奈良女子大学附属中等教育学校卒業、早稲田大学教育学部に在学。