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「声をかけやすい生徒会を目指して」~綿貫鈴さん(瀬戸内高校)インタビュー後編〜


今回も、引き続き個人の部・優秀賞を受賞された広島県瀬戸内高等学校のインタビューの様子をお届けします。(受賞理由は、こちらからご覧ください。)
前編はこちらからお読みいただけます。

インタビュー概要

瀬戸内高校生徒会は生徒会活動を効率よく行うためのシステム作りを推し進めており、5W1HやPDCAサイクルの徹底による質の高い活動を持続的に行っている点などが高い評価を得た。今回、生徒会長の綿貫鈴さん、生徒会顧問の米今陽子先生にインタビューを行った。

参加者

<インタビュイー>

  • 綿貫 鈴さん/広島県瀬戸内高等学校 生徒会長
  • 米今 陽子先生/広島県瀬戸内高等学校 生徒会顧問

<インタビュアー>

  • 川名 悟史/一般社団法人生徒会活動支援協会理事

インタビュー

顧問の先生から見た生徒会活動について

川名:次に、顧問の先生に何点か質問させていただきます。差し支えなければ何年ほど生徒会顧問をお勤めなされているかお伺いしたいです。
米今先生:瀬戸内高校の生徒会顧問になってからは4年が経ちました。
川名:かねてから瀬戸内高校では生徒会活動が活発だったとお聞きしましたが、顧問の先生から見てもそうだったのですか?
米今先生:そうですね。元々活動が活発ではありました。綿貫の代になるまでは、前年の活動をお手本に少しずつ改善をしていくスタイルでしたが活動の多くに大人の手が入っていました。しかし、綿貫の代からは新型コロナウイルスの感染が拡大していき、学校生活自体が変化したことによって、対応がガラッと変わってしまいました。この代からは今までの伝統を大事にしつつ、全校生徒が限られた中でもいきいきと充実した生活を送れるようにしていこうという考えの元、活動を進め、生徒たちの中で意見を出し合って決めていくという新しい試みを自分たちで作り上げてきたというイメージです。
川名:なるほど。教員から生徒へという流れから生徒から教員へという動きにシフトしていった感じとお見受けしました。生徒会のカラーがガラッと変わったとおっしゃっていましたが、先生の目から見て役員が変わった点や、成長した点があればお聞きしたいです。
米今先生:まず、生徒は自分たちで考えることをしています。瀬戸内高校は全校生徒が1,300人ほどおり、それだけの生徒をまとめるとなると、失敗も恐れますし、生徒を動かすことも難しいので大人に意見を聞くというのがあるのです。綿貫の代も相談はしてくれるのですが、「まず相談」ではなくて「まずは自分たちで土台を作ってから相談をする」といった感じで、大人からの投げかけではなく生徒たちからいろいろ立ち上げていくっていう部分が、彼女の代から育ってきているように思います。
川名:ありがとうございます。生徒が上手く先生方を巻き込む活動に変わっていったのですね。先生から見たときに生徒会のカラーが変わった際、生徒からいろいろな要望があると思うのですが、先生方も生徒がそのようなスタンスで活動することに関しては歓迎されていたのでしょうか。それともストップをかけるような意見はあったりしたのでしょうか?
米今先生:生徒の活動に対してストップをかけるような意見はありませんでした。生徒からの要望等に関しては、実際に組み上げてきたアイデアや生徒総会で吸い上げてきた意見などをそのままの状態で提案する訳ではなく、まず生徒会執行部の中で精査をして、生徒たちが見極めたうえで、教員に提案という形で持ってきてくれました。しっかりと理由をつけて論理立てて、学校の方に提案をしてきますので、それに対して教員の方は最初から突っぱねることはないですね。まずは「話を聞こう」っていう形になっています。そういった中で、一番しんどい想いをしたのは,生徒会役員だと思います。生徒からの「あの意見は叶えてくれないの?」という声を教員にではなく、生徒会役員たちが直接受け止めることになったからです。
川名:ここまでお話を聞いていて、学校が協力的で受け入れてくれるような印象を感じるのですが、他校よりも自由な校風なのでしょうか?
米今先生:そうですね。本校は「生徒主体」を大きな柱としています。生徒会の生徒が直接校長先生に相談や要望を持ってお話に行くこともありますし、そのほかの生徒も校長先生に直接お願いごとや相談をしに行くという事もあります。校長先生側も「いつでも来てください」というように門戸を開いているので、生徒たちものびのびと活動ができています。加えて、「失敗をしてもいいよ」という風に校長先生が言ってくださっているので、生徒が自分たちで考えて動いていけるよう学校全体で動いています。
川名:ありがとうございます。生徒会活動は生徒が頑張るだけではうまくいかない場合も多く、教育的な活動ですから学校側の理解や協力も必要だと思います。先生が生徒会活動に携わる上で気を付けているところや意識していることがありましたら教えていただきたいです。
米今先生:つい、活動について口を出したくなってしまうのですが、まずは自分たちで考えてみることや自分たちで発信をしてみることを意識するよう伝えています。どうしても生徒会役員の生徒はみんなのためを思って熱くなりがちなので、一度出た企画書を全く知らない人が読んで、どこまで理解ができるかというように、「自分達で一度考えて、温めて、客観的に見てみようね。それから全校生徒に降ろしていこうよ。」というようなことを指導の際、心がけています。
川名:ありがとうございます。話を聞いている感じだと先生と生徒の仲が良さそうに感じました。先生のおっしゃる指導上の心がけを果たす際、生徒との信頼関係がないと難しいように思うのですが、関係を構築するうえで意識されていることはありますか?
米今先生:コミュニケーションが一番大切だと思っています。ただ、生徒は学校の中でクラブ活動や生徒会活動をしているだけではないので、担任の先生や、教科担当の先生とも連携を取っていくことがすごく大切だと思っています。
川名:生徒会顧問としてだけではなく、学校全体として生徒や生徒会との関係を築くというのが重要ということですか?
米今先生:そうですね。私と綿貫に関しては生徒会顧問としての関わりもありますが、授業を担当することもあります。しかし他の場面でも、もっと良いところや、私だけでは気づけないところがたくさんあると思います。そのため、担任などと話してみたら知らない情報が出てきたり、そこでのコミュニケーションがあれば、こちらもまた違うアクションを起こせたり、本当に伝えたいことは別のことなんだっていう気づきができたりするので、生徒たちもコミュニケーションを大事にしてもらえたらよいなと思います。加えて、大人も対生徒とのコミュニケーションもそうですが、学校はチームだと思うので、教員同士も一人で生徒を見るのではなく、みんなで関わっていくことが大切だと思っています。
川名:生徒会活動を支援するのは難しいと思いますが、そのうえで先生が重視している大切なことは何かありますか?
米今先生:生徒会活動は生徒たちのものだと思っています。学校は生徒ありきだと思いますが、大人がどうこうしたいではなく、生徒たちが「自分たちで頑張りたい」と思ったことを発信できる核となるところが生徒会だと思っているので、そこは大人が侵してはいけない場所と考えています。助言や間違ったところに対する軌道修正はしますが、生徒会は生徒たちの大切な場所であって、大人のものではないと思っています。

最後に

川名:米今先生から、全国の生徒会顧問の先生に向けてなにか、アドバイスやメッセージがありましたらお聞きしたいです。
米今先生:生徒たちの力は無限なので生徒を信じて応援していくことが先生の役割だと思っています。生徒たちの「無限の力」を信じて応援しています。
川名:綿貫さんには、活動をする中で大切にしていたことについて教えていただきたいです。
綿貫さん:メンバーが限られていた中で後輩を頼らないと活動が回らないという時もありました。相手のことを知らない時には、まず得意なことや人間性を知ろうということを意識してきました。そのうえで向いている仕事をお願いして、仕事を回すと自分自身も楽になるし、お互いに気持ちよく活動ができるかなと思います。
川名:最後に、今回のインタビューをご覧になっている生徒会の方々にメッセージをいただけますか。
綿貫さん:「これは無理だろう」と思ったことでも、意外と先生たちは協力をしてくれるので、自分から壁を作らずに色々なことに挑んでほしいなと思います。
川名:綿貫さん、米今先生、本日はありがとうございました。

インタビュー時の様子


【聞き手】川名 悟史/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事
【文】鈴木 莉恩/一般社団法人生徒会活動支援協会 運営委員

投稿者プロフィール

鈴木 莉恩
鈴木 莉恩
2003年東京都生まれ。東京都私立昭和第一学園高等学校卒業、桜美林大学在学。多摩生徒会協議会、こども国会運営、全国オンライン学生祭実行委員などを務める。高校1年から生徒会長として様々な生徒会団体の企画に参加をしてきた。