生徒会のあり方を振り返る:2019年度初の多摩生徒会協議会
4月28日、頴明館中学高等学校(東京・八王子)にて、 今年度初めてとなる多摩生徒会協議会(多摩協)の第1回定例会が開催され、8校から約20人の中高生が参加した。今回は議題が「生徒会のあり方」と「今後の生徒会」という2つ設定され、3つのグループを組成してそれぞれ議論と発表を1時間サイクルで行った。
1つ目の議題「生徒会のあり方」では、各校の生徒会が行っている業務は本当に生徒会総務(執行委員会等)がやる必要があるのか、という生徒会の存在意義について意見が交わされた。2つ目の議題「今後の生徒会」では、1つ目の議題を踏まえて、現状の体制から更に活動に効率化を図れるよう、現実的・着実な方策を打ち立てる為の議論がなされた。
それぞれの議題の報告では以下の意見が目立ったので紹介させていただく。
「生徒会のあり方」
- 生徒の代表でありながら、学校の代表にもなる立ち位置である
- 雑務ではないが委員会レベルでは取り組む必要のない業務をする団体である
- 生徒に活動を示したり、生徒の意見を取り入れたりして生徒に身近な機関だと思ってもらえるべき立場である
- 委員会レベルを超えた、学校全体の意見を取りまとめる機関である
「今後の生徒会」
- 生徒からの信頼が厚く、意見集約や情報共有が多く行われる場にする
- 生徒の代表として、先生との橋渡し役としての機能を高めるべきである
- 生徒会活動を広報紙等で提示するのではなく、生徒自身に気づいてもらえる行動にシフトしていく方策がある
今回が外務活動の参加自体が初めてだという、西條正寛さんと松橋佑樹さん(共に東京都立小平・高2/写真)は、自らの手で生徒会の運営を改善するヒントを得に来たとのこと。「校則・会則や生徒会の運営方法が全く違う学校の人が多く集まる中での意見交換は、自校のルールについて改善するための話し合いの時に役立てると感じた。固定概念ばかりにとらわれずに活動していきたい。」と話してくれた。
学校が神奈川県に位置しており、地域越境という形で参加した立花美優紀さん(日本女子大附属・高3/写真)は、他の生徒会のイベントでこの会の存在を知ったそうだ。多摩協については、「他の団体とは違い、ずっと張り詰めた空気感があるわけではなくアットホーム感があって安心した。それでいて議論もきちんとできるのが魅力的だ。」と述べた。今回の多摩協で実感した大きな事は、自校の生徒会の仕組みが他校のものとは全く異なるが、目指す方向が他校と同じであるのが面白く、またその差から学べることが多い事だったそう。
今年度議長を務める曽根理紗子さん(穎明館・高2/写真)は初回の手応えについて、書記として活動していた前年度とは違い、グループそれぞれの状況を汲んでどのような方向性に議論を持っていくかの助言に難しさを感じたという。多摩協議長の抱負を質問したところ「団体の特性上、多摩という狭い地域を中心に活動していますが、今回の一部の参加者のように他の様々な地域にある学校の役員の方にも来てもらい、様々な意見を共有したり互いに刺激しあったりできる場にしていきたい。」と力強く語ってくれた。今後のビジョンとしては、「行事運営のような、毎年の反省の積み重ねが次年度の活動にかかわってくる事を多摩協という場で共有し、相互に高めあっていける環境を整備することで、協議会の存在意義を高めることを目指します。」と述べた。
今回の議題設定の目的は自校の生徒会の仕組みの改善である。参加者心理としては他校の一見甘美で魅力的な多くの実践事例が短時間に紹介され、それらを耳にしただけで満足してしまいがちだ。しかし、情報を受け取る側にとっては完全なヒントになるわけではない。当たり前だが生徒会役員/顧問の考えは学校によって大きく異なるからだ。今回の参加者にはいかに参加者1人1人が自ら求心力を持って情報を組み替えられるかに懸かっているという事を早期に自覚し、今後の活動に取り組んでもらいたいものだ。
団体結成から11年目を迎えた多摩生徒会協議会。今後も活発な議論や交流が行われ、多摩地区の高校生徒会へのインフルエンサーとしての役割を果たせるよう、発展を願ってやまない。次回は6月中に開催予定であるとの事。日程は生徒会.jpでもお知らせする。
【文】五十嵐 誠/多摩生徒会協議会 前議長
【写真】荒井 翔平/一般社団法人生徒会活動支援協会 理事長
投稿者プロフィール
- 2000年東京都生まれ。東京都立八王子東高等学校、信州大学工学部を卒業し、同大学大学院総合理工学研究科工学専攻水環境・土木工学分野に在学。高校在学時には生徒会会計役員として会計規定の改正と生徒の業務簡略化を図った。2017年度多摩生徒会協議会議長。現在は、教育と土木計画学の関連を専門としている。
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