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首都圏高等学校生徒会連盟の活動から生徒会外務活動の意義を考える


首都圏高等学校生徒会連盟(以下高生連)は首都圏で最も大きな生徒会団体だ.私は,この高生連の副代表として一年間活動してきた.高生連は,12年前の2005年に早稲田実業学校高等部を中心に発足した団体である.首都圏にある高校生徒会を対象に,生徒会の自主的活動の推進を目的として活動を続けてきた.現在では加盟校は40校を超え,毎回の連盟会に50名程度が参加し意見を交わしている.

首都圏高等学校生徒会連盟の10周年イベント(2016年12月)

定期的に行われる意見交換会“連盟会”は年に6回行われており,各校の校内での活動(内務活動という)を主とした報告を行う「活動報告」,委員会やボランティアなどと参加校生徒会がどのように関わっているのかを発表する「意見交換セッション」,生徒会とはどうあるべきなのか,など抽象的な議題を90分で7~8人ごとに分かれて議論する「グループディスカッション」を3本の柱として開催している.そして,毎年11月には「生徒会大会」という首都圏最大規模の生徒会外務イベントを主催している.これは,通常の連盟会で行われるものとは違い,役職ごとに議題を分け丸1日かけて議論をしながら,連盟会よりも具体的な解決策を導き出している.2016年は会長・副会長・内務・外務・会計・広報・文化祭の7議題・計17班に分かれた.

私が高生連に初めて参加したのは2014年であった.当時の代表が盛んに発していた言葉で「還元する」というワードがある.これは,校外での活動(外務活動)で得た他校の政策などを自校の生徒会活動に活かすことである.しかし,そんな簡単に「還元する」ことができていたとしたら,生徒会に対してこのような言い方をするのは不適切かもしれないが,参加校の生徒会活動は飛躍的に「成長している」はずだ.しかし,ひとつの生徒会団体が12年目の活動を迎えていて,毎年同様の議題で議論している時点で,その目的は完全に果たすことができないままきてしまっていることは明白だ.

私は,今後も外務に参加する人全員が学校に還元できるようになることはない,と考えている.一番大きな要因は,ほとんどの学校で生徒会活動が2年間という限られた時間でしか活動ができないからだ.では,どこに外務活動の意義を見つけるのか.2016年度の高生連代表の言葉を借りて言えば「間接的還元」を目指すことにあると思う.間接的還元とは,外務活動に出ることによって自分たちより活発に活動している学校にインスピレーションを受け,他の生徒会役員にやる気が伝播し,内務活動への還元を図るものだ.また,その中には,「人脈」を広げることも挙げられる.学校の看板を背負って外務活動を行う,いわば学校の「代表者」が集まるので,普段の学校生活では聞けないような話や,自分が知らない知識を教えてもらうことができる.そのことによって,内務活動に活かせるものを見つけたり,やる気をもらったりする.しかし,この「間接的還元」を全面に押し出すことはいかがなものかとも考える.学校に還元できないことへの言い訳のように聞こえてしまう.

外務活動の課題はここにあると思う.両面から還元を進めることが出来るように,団体の運営者は豊かなコンテンツ準備をする必要があり,参加者は“学校に寄与するため”という目的意識を持って外務活動を行うことが欠かせない.他校との議論で,ひとつの結論を作っていく外務活動は楽しい.しかし楽しいだけでは意味がない.何を以てして進歩したと決められるようなモノサシがない生徒会活動だからこそ,このような外務活動というものが生まれたのだと思う.内務・外務の両輪で全国の生徒会が活発な活動をできるようになれば,ますます生徒会の可能性が開けていくはずだ.

【文】青木憲伸/一般社団法人生徒会活動支援協会運営委員
【写真】荒井翔平/一般社団法人生徒会活動支援協会理事長


本稿は「子どもの権利条約ネットワークニュースレター」128号に掲載された原稿を一部修正したものです.

投稿者プロフィール

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青木 憲伸
2017年から2019年まで一般社団法人生徒会活動支援協会運営委員。明治大学在学。生徒シンポジウム2017実行委員長や首都圏高等学校生徒会連盟副代表などを歴任。