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自分の町は自分たちで作るという意識:石巻の町から学ぶこと


石巻市子どもセンター「らいつ」(宮城・石巻)を7月29日に訪問した。石巻駅から車の多い通りを歩いて10分ほど。木の香りが漂い、2階まで吹き抜けで開放感のある空間。笑顔で溢れている、明るい場所がそこにはあった。訪問して非常に驚いたことが二つある。一つは、幅広い世代の子どもたちが、同じ場所でともに過ごしていることだった。



“学童保育”という形で小学生が利用できるスペースは全国で整備されている(全国1718市町村中、1612市町村)。ただ、厚生労働省は「学童保育」の定義を、「共働き・一人親の小学生の放課後(土曜日、春・夏・冬休み等の学校休業中は一日)の生活を継続的に保障することを通して、親の仕事と子育ての両立支援を保障すること」としている。

小学生に限らず、高校生以下であれば誰でも利用できるという「らいつ」のようなところは多くはないと感じる。訪問したのは夏休み中であったにもかかわらず、小・中学生を中心に20人弱が利用していた。乳幼児が母親と一緒に絵本を読んでいれば、小学生がバドミントンをしている、中学生がカードゲームをしている。また、ホワイトボードをいっぱいに使ってなにかアイディアを出し合っているところもあった。それぞれ部屋は区切られていたが、各部屋が「遮断されている」空間ではないように感じた。

もう一つは「子どもたちが全てに参加していること」だった。「らいつ」の建物の設計の段階から、子どもたちの意見を中心にまとめてそれを形にしてきた、と子どもセンターの吉川恭平さんは語ってくれた。楽器をやれる部屋が欲しい、という意見で防音室を作ったり、図書コーナーが普通の図書館とは違って、ゴロゴロしながら本を読めたり。「大人から何か『これをやろうか』ということはなくて、子どもたちが本当にやりたいと思ったものを手助けするだけです」「もちろん、いじめなどがあれば割って入ることもありますが、基本的には自分たちで解決するように見守るだけです」という。

施設内でのルール作りも子どもたち主体で進めている。人気漫画の紛失が相次いだので、カバーだけをコーナーに置いて、借りたい場合は事務室に行く、などと自然と自治的な活動が行われている。また地域との企画などを多数実施しており、2014年には立町大通り商店街のマップ「HONOBONO まちあるき」を制作している(2017年に第二弾を発行)。

実際に街を歩いてみたところ、「らいつ」と地域とのつながりが非常に深いと感じた。商店街にある“IRORI石巻”というオフィススペースに子どもたちが作った七夕祭りの飾りつけを持って行ったり、「らいつ」完成から3周年を記念したイベント「らいつの日003」を実施した際も、市内の街づくりについての検討組織「子どもまちづくりクラブ」が合同で開催したりと、積極的に地域の人々との関わりを作っている。

学校の外に自分たちの居場所があり、そこで地域と触れ合うこともできる。子どもの社会参加のロールモデルがそこにあった。石巻の復興、活性化に「らいつ」が大きな力となっていることを強く感じた。

投稿者プロフィール

青木 憲伸
一般社団法人生徒会活動支援協会運営委員。明治大学在学。生徒シンポジウム2017実行委員長や首都圏高等学校生徒会連盟副代表などを歴任。